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少しだけ過去のハロウィン
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……それは、それほど離れていない昔の話。
「……ほら皆、パイが焼けたわよ!!」
『はーい!!』
ハロウィンの夜に、ママ先生は僕達にパイを焼いてくれた。
サクサクしててとっても甘くて美味しい、カボチャのパイだった。
「美味しい!!ママ先生、これどうやって作ったの!?」
「うん?作り方知りたいの?じゃあ、今度教えてあげるわ」
「ええ!?二ティカだけズルい!!私も教えて!!」
「私も!!」
「はいはい。そうね……今度一緒に皆で作ってみましょうか?」
『わーい!!』
二ティカも、クロノも、ジルも、他のみんなも、いっぱい喜んでた。
幸せな時間。
こんな時間が、いつまでも続いて欲しいな。
真っ暗で綺麗な夜空を見上げながら、僕はそう思ったのだった。
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どこかの誰かのハロウィン
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「とりっく、おあ、とりーと」
……私の後ろで、妻がそう言って抱きついてきた。
「ははは……今私はお菓子を持ってないよ……困ったなぁ……」
「じゃあ、悪戯するしかないわね?」
「……君になら、いくらでも悪戯されてもいいかな?」
「…………ふふふ……」
妻は私の隣に座った。
「……ねぇあなた、あの子達、元気かな?」
「竜司達かい?多分、元気だろうね」
「そう。あなたが言うなら、大丈夫なんでしょうね」
「クスクス……心配かい?」
「当たり前よ。私達の息子なんだもん……」
「はは。大丈夫だよ。私達の息子なんだから」
「でも、心配なものは心配だもの……」
少しだけむくれた妻は、とても可愛かった。
思わず私は妻と唇を重ねる。
「……ん……ライカ…………」
「そうだな……そろそろ二人目も欲しいかな……」
「ふふ……あなたも寂しい?自分の子供がそばに居ないのは」
「まぁね……」
………………………………
……ハロウィンの夜、人々は自分の幸せを感じながら、長い夜を過ごすのだった……
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いつか未来のための次回予告
喫茶店“アーネンエルベ”のハロウィン
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「いらっしゃいませ」
「あの、パンプキンパイを貰いたいんですが」
「それでは、列の方にお並びになってお待ちください」
……次々とパイを買いにくる客を店員が必死にさばくが、行列はなかなかなくならず、むしろ増えている気がする。
「……あぁあ、よくもまぁあんなに並べるわね……」
「……そうだな。しかし、それは俺たちが早くにパイをいてに入れられたから言えることだ」
そんな中、俺達はその列を見ながらコーヒーを飲んでいた。
「まぁね。でも、すごい人気ね。私が考案だったけど、まさかここまでとは……」
「……まぁ、いいんじゃないか?ここも儲かって」
「リースさん、ジルさん、出来れば手伝って欲しいんですが……」
「えぇ!?あれを!?」
「ええ。私一人では捌き切れなくて……」
「私は嫌だけど……」
「ああ。俺はやるぞ」
「はいはい……頑張ってらっしゃい……」
隣の魔女は適当にヒラヒラ手を振りながらため息をついた。
俺は店員を手伝って客を捌き始める。
…………ハロウィンという日は次の年からここでは、休めない、大変な日という認識が根付くのだろう。
喫茶店“アーネンエルベでは、閉店時間を少し過ぎるまで客はいなくならかった…………
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