「おーいクロちゃん。Trick or Treat!!だぜ!!」
「……ガキか……」
ハロウィンにちなんで仮装してからクロちゃんに言うと、クロちゃんに呆れたようなため息をつかれてしまった。
「せっかくのハロウィンなんだぜ?ちっとくらいクロちゃんに甘えてもいいじゃんかよ!!」
「……マークは甘えすぎだと私は思うんだがな……」
今度はジト目。
「……でもまぁ、久しぶりにお菓子を作るのもいいか……」
しかし、少しした後にため息をつき、そう言って台所へ向かった。
「オッシャー!!クロちゃんの手作りお菓子だぁ!!」
「そ、そんなに喜ぶな……////」
「っと、俺も手伝うぜ?なんかやって欲しいことあるか?」
「いや、邪魔になるだろうからいい」
「……たまーにクロちゃんって冷ぇよな……」
「事実は事実。しょうがないだろう。まぁ、見てるくらいならいいがな」
「おう!!じゃあ見せてもらうぜ!!」
「……まさか本気にするとは……」
「なんか言ったか、クロちゃん?」
「いや、なんでもない」
そんなわけで、俺はクロちゃんのお菓子作りを見ることにした。
材料を混ぜて、生地作って、こねて……
「ほうほう、クッキーか」
「ああ。これが一番楽だからな」
「他にはどんなのが作れんだい?」
「結構作れるぞ?シフォンケーキにマカロン、それにパイとか……結構ママ先生に教えてもらえたからな」
「?ママ先生?」
「ああ。私の育ての親だ。私は孤児でな、ママ先生に拾われて、孤児院で育ったんだ」
「……いや、クロちゃん、そんな重い話、なんでもないように言わない方がいいと思うぜ?」
「いや、別に重くはないだろう。私は親の顔など知らないし、何より、ママ先生のことが好きだったからな。胸をはって自分は孤児だったと言える」
「クロちゃん…………」
「……さて、準備完了。後は焼くだけだな」
「じゃあ、焼いてる間はクロちゃんを……」
「駄目だ。焼き加減を見なければいけないからな」
「しょぼーん…………」
ということで、大体五分後、美味しい美味しいクッキーが焼けましたとさ。
クロちゃんを食べられなかったけどね……
まぁ、それはともかく……
「じゃあ、いただくぜい!!」
「はいはい。召し上がれ」
クッキーを一つ口に頬張る。
「おう!?美味い!これは美味い!!」
「そ、そうか……それはよかった////」
ホッとしたようにクロちゃんは言う。
ああちくしょう、可愛いな……
「……にしても、ハロウィン、10月31日か……もう、そんな時期なんだな……」
「ん?ああ。そうだね。俺がこっちに越してきてから大体8ヶ月ちょいってところかな?」
「ん?ああ、そうだったな」
「……え?その事じゃなかったの……?」
「ああ。すまないがそれよりも私にとっては重要なことがあるんだ」
「ふぅん。そうなんだ?」
「ああ…………あ、と言っても、お前のことも大切に思ってるぞ////」
「……クロちゃん可愛い!!」
「ちょっ!?こら!!いきなり抱きつ……ひにゃんっ!?」
クロちゃんを食べながら、俺は思う。
これ、クッキーを作ってもらったり、孤児だった話し聞いた以外はいつもの調子だな。と。
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