第十章「ミラーサバト」

四日後、ついに僕達はミラーサバトがあるという森の入り口に到着した。

「…………ここで……フィスの呪いが…………」
「かもしれない、っていう、可能性の話しだけどね…………」
「そう悲観することもあるまい。母上は優秀な術師じゃ。絶対に解けるじゃろう」

ふふん、と胸を張りながらアーシェさんが言う。
お母さんのことが誇らしいのだろう。

「…………あ、そう言えばフィスはアーシェさんのお母さんに会ってるんだよね?どんな人なの?」
「うーん…………なんていうか…………ねぇ?」
「うむ…………なぁ?」

アーシェさんのお母さんについて訊くと、二人は苦笑いをしながら互いを見ただけで何も教えてくれない。
いやいや、アーシェさん?さっきは誇らしく胸を張っていましたよね?

「…………それはそれ、これはこれじゃ!!」

……いったい、どんな人なんだろう…………
僕は少し不安に感じながらも、僕二人と一緒に森の中に入って行った。


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森の中は、暗くて見づらい。
というのも、今の時間帯のせいだ。
時刻は…………分からない。
が、すでに夜となっていて、木々の影のせいで月光すら入ってこない。
これじゃあサバトを見つけられないんじゃないの?と言ってみたのだが…………

「「そこは魔力を読めば大丈夫でしょ(じゃろ)?」」

と、返されてしまった…………
…………うん。僕、魔力なんて読めないんだけど……
まぁ、そんなわけで、サバトの捜索はフィスとアーシェに任せ切りで、僕は二人について行くことしか出来なかった。
…………なんというか、役に立てないって、淋しいな…………
歩きながらそう思ってしまい、少しの間遠い目になっていたのは二人には内緒にしておく。
まぁ、二人の位置は分かっても顔は分からないくらいの暗さだし、多分ばれないだろう。

「…………うぅむ、にしても、本気で暗いのぅ……触手なんかが紛れていたら分からんわい……」
「ちょっ!?怖いこと言わないでくださいよ!?」
「…………多分、大丈夫だと思うわよ?私がこの森を出た時はそんなの全くなかったし」
「それなら大丈夫じゃろう。…………と、そんなことを話しているうちに見つけたぞ」

ほれ、向こうじゃ。と、アーシェさんの影が指差す方向に明かりが見えた。

「あ、本当だ。良かった今日中に見つけられて」
「うん。そうだね……………………はぁ…………」
「?どうしたのじゃ?」
「……いや、なんでもないよ」

…………本当に見つけちゃったよ…………
全く役に立てなかったなぁ、なんて思って嘆息しながら、僕は二人と一緒に明かりの方向へ向かっていった。
………………正直、すっかり忘れていた。
いや、油断していたと言ってもいい。
……………………そういえばここ、サバトだったんだよな…………
最初の疑問は雑多な人々の声。
結構大きい上に、このなんて言っているのか分からないくらいの雑多さだと、それなりに人がいるんだろう。
…………そう。まだそうとしか考えてなかった。
いったいそれがどのような声だかは分かっていなかったのだ。
次の疑問は二人の反応。
二人はこの声を聞いて呆れたようなため息をついたのだ。
それを聞いた僕は、何か下らないことでもやってるのかな?とか、普通の基準で考えてしまった。
忘れてた。この二人も魔物だったことを。
…………そう。明かりの場所、サバトでは今…………

「…………ゑ…………?」
「はぁ……毎夜毎夜よくやるわ…………」
「全くじゃ……他のサバトでもこう毎夜毎夜ミサは開かんと思うぞ…………?」

男女の性の狂乱…………大乱交が行われていた。
男達の相手は勿論全て小さな女の子。
ってあっ!?そんなことして大丈夫なの!?
ちょっ!?え!?何あれ!?あんなもの使ったら…………!!
いやいやいやいやそれは駄目だろう!?しかも男!?
待って待って!?おかしい!!おかしいから!!
なんなのこれ!?なんなの!?

「……おーい、ルー君?大丈夫〜?」
「ふーむ、混乱していて完全に思考が跳んでるの…………まぁ、仕方がない。わしは母上に挨拶に行くが、お主はどうするのじゃ?」
「…………うん。ルー君をちょっとここから離してくる」
「りょーかいじゃ」

…………あ、フィス。なんでそんなニコニコしてるの?
え?僕をどこに連れてくの?
え?え?え?
いろいろとわけが分からないまま、僕はフィスに手を引かれたのだった。


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やってきたのはサバトから少し離れた人目につかない場所。
……といっても、ここは森の中だから人目につかない場所ってどういう所だか分からないんだよな……
まぁ、とにかく、周りに誰もいない所だね。ここは
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