「で、…ここはどこなんだ?」
「僕が知るわけないじゃないですか…アレスさんについて行ったのに…。」
あの後、少し仮眠をとった俺たちはお昼頃に出発し砂漠を歩き続けた。
地図通りであれば町に着いていたはずなのだが、俺たちの前に現れたのは…。
「町にしては随分物々しいな、妙な像も立っているし。」
「いやあれ絶対『遺跡』ですって…。」
ハンスの言うとおり、どう見ても遺跡にしか見えない。
それもかなり大きい…ここらでは有名な遺跡なのだろうか?
俺は改めて地図を広げてみた。
「確か俺が向かっていた町はここのはずだろ、この辺に遺跡なんてないはずだが…どこで道を間違えたんだ?」
「アレスさん…ちょうど反対側にそれらしい遺跡の名前がありますよ、えーっと…名前は『サラーム』遺跡…って、ここがサラーム遺跡?!」
「しまった…知らないうちに反対側に行っていたのか、この遺跡はそんなに有名なのか?」
「有名も何も…あの『ファラオ』がいたと言われる遺跡ですよ…当の本人はもう亡くなっていますが…世界中から学者や財宝を狙ったトレジャーハンターが今でも後を絶ちません。」
「その割には…。」
辺りを見回してみるが人っ子一人いない。
観光名所ではないんだろうがそれなら少しぐらいは人がいてもおかしくないと思うんだが…。
「嫌に閉鎖的だな…もう全部持っていかれたんじゃないのか?」
「遺跡の中は罠で埋めつくされていて容易には入れません…それに、その遺跡を守っているのが―」
「彼女達ってわけだ?」
ハンスは無言のまま頷いて遺跡の方を見やった。
「で、これからどうするんですか?…離れるなら今のうちですが…。」
「俺達の目的を忘れたのか、彼女たちがいるなら向かうだけだ。」
「え、ちょっと…アレスさん!!」
俺はそのまま遺跡に向かおうと足を進めるとハンスが慌てた様子で止めに来た。
なんだ、忘れ物か?
「どうしたんだ?」
「どうしたじゃないですよ、いくらアレスさんが強いからって正面からは無茶ですよ…それにここにはより強い力を持った魔物がいると聞きます、ここは慎重に―」
「それもそうだな、じゃあお前は裏へ回ってくれ、俺は正面だ。」
「いやだからね…アレスさん、僕が言いたいのは―」
「それよりな、ハンス?…お前はこれからどうするんだ?」
「へ?」
また何か言おうとしていたハンスが俺の質問に目を丸くした。
「どうするって…?」
「俺は今から彼女達を妻にしに行くんだ、その間お前はどうするんだ?」
「あ、そうか…なら僕は―」
「お前も彼女達を妻にするか?」
「いやいやいや!!!僕は遠慮しておきますっ、もし見つけたら戦闘になるかもしれませんが…。」
「なんだ…嫌なのか?」
「僕はアレスさんみたいに器用じゃないし…第一僕はそういう経験は…。」
「…?」
「な、なんでもありません!!」
一瞬ハンスの顔が赤くなった気がしたが一体なんて言ったんだ?
小さくて聞こえなかったんだが…まぁいいか。
「じゃあ…出来るなら彼女達を見つけたら拘束しておいてくれないか、そのほうが手っ取り早い。」
「なんとかしてみます、でも本当に大丈夫なんですか?」
「こういうのには慣れているから心配ない、内部で合流しよう。」
「わかりました…お気を付けて。」
ハンスが行ったのを確認したあと、俺は正面の入口に向かって走っていった。
「アレスさん…本当に大丈夫かな?」
遺跡…正面入口にて。
「ふにゃ〜、今日もいい気持ち〜。」
いつもの様にあたしは古い台座の上でうんと背伸びをする。
ここがあたしの持ち場だから仕方ないけど…もうちょっとマシなとこなかったのかな?
ほんと…『アンヌ』様は何考えてるかほんとわかんないよ。
でもいっか…こんなに気持ちいいんだし。
ちょっと眠くなってきたな〜。
「お〜い、スフィアちゃ〜ん!」
「うにゃ?」
一眠りしようかと思っていた頃、マミーの『マーシャ』が遺跡の中から出てきた。
「おはよ〜スフィアちゃん、いい天気だね?」
「おはよう、と言っても…もうお昼だよマーシャ?」
「あれ、そうだっけ…いつも遺跡にいるから時間がわかんないや。」
「相変わらずね…で、あたしに何か用があったんじゃないの?」
「あ、うん、えっとね…アンヌ様が怒ってたよ?」
「…え?」
アンヌ様がお怒り?
あたし今日なんかしたっけ…?
「なんかね、部下の一人がついこの前…男と逃げたからだって?」
「あにゃにゃ…それ多分メルの事だわ。」
そういえば最近、メルに男の人紹介したんだっけ…?
まぁ、紹介っていってもここに来た侵入者に呪いかけて放置してただけなんだけどな〜?
まさか駆け落ちするとは…でもそんなんであたしに怒らなくたっていいじゃない。
腹の中で愚痴ってると、マーシャ
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