古い旅館。
日も沈み、虫たちが泣く頃。
薄暗い部屋の中で布団が一枚敷かれ、寒いのか頭まで被っている宿泊客とおもしき人物。
それはまるで何かに怯えているようにも見え、隠れているには程遠い間抜けな姿である。
そんな客人の部屋の襖がすぅー…とゆっくり開かれた。
「…ふふふ、よくお眠りになって。」
声はすれども姿は見えず、開いた襖の向こうには誰もいなかった。
だが、女性とも思える声は段々と近づいていく…それも天井の方から。
「この感じ…溜まりませんわ…。」
ゆっくりと天井から下りてきて声の主は布団の上に覆いかぶさった。
それはまるで蜘蛛の姿をしていて逃がさないと残りの足で布団の周りを囲んでしまう。
「さぁ、その綺麗な寝顔を見せてくださいな…?」
待ちきれない様子で布団に手をかけ毛布をめくった。
その中には―。
「?!」
大きな鞄が置かれていただけだった。
「そこまでだ。」
急に明かりが照らされ声の主が眩しさに目を細めた。
光で照らされたその姿は下半身が蜘蛛になった旅館の女将だった。
「女郎蜘蛛か…情報通りだな。」
仁王立ちする男、アレスが明かりの蝋燭を持って女郎蜘蛛へと近づく。
「…!」
女郎蜘蛛は隙を見てアレスに飛び掛ったが逆にアレスに首筋を掴まれ、アレスに押し倒されてしまった。
「妙な気は起こすなよ?」
女郎蜘蛛の首になにか冷たいものが当てられる。
それは女郎蜘蛛本人も良く知っている代物だった。
「…それは。」
「そう、これはあんたの同業者が使っていた痺れ針だ、威力は…聞かなくても解るな?」
「…二人をどうしたのですか?」
女郎蜘蛛は急に殺気を込めた目でアレスを睨みつけた。
どうやら彼女は勘違いをしているらしい。
「待て待て変な誤解をするな…ちゃんと生きてるよ、二人からあんたの事を聞いたんだ。」
「ななとたまから…、では私は売られたと?」
「だから誤解だ、俺は別にあんたを狩りに来たわけじゃない、その辺の説明をしたいがいいか?」
女郎蜘蛛は少しアレスを観察した後、諦めたように言った。
「…わかりました、どの道今の私に抵抗は出来ません。」
「ジパングの魔物は大人しくて助かる。」
アレスは女郎蜘蛛に向かい合って話した。
――――――――。
「なるほど…、魔王様の命ですか。」
「あぁ、だが強制はしない。…判断はそちらに任せる。」
「…さあて、どう致しましょうか?」
意地悪そうにふふっ、と笑う女郎蜘蛛の『アサギ』。
俺に危険がないとわかると手のひらを返したように生き活きとする。
彼女たちがこういう笑い方をするときは決まって良くない。
俺の長年の経験がそう言ってる。
「協力しても良いのですが、条件がございます。」
「条件?」
半ば予想できた答え、多分その条件とは…。
「私と一夜を共にし、満足させてもらえるなら貴方と夫婦になりましょう。」
やはりそうきたか…。
まぁどの道そうせざる負えなくなるが、問題は体力が持つかどうか…。
「…わかった、どうしたらいい?」
「ではまず…。」
そう言って急にアサギが俺の首に手をかけ優しく抱擁した。
彼女のその首筋から甘い女性の香りが鼻を擽らせる。
そして魅了を込めた目で俺に言った。
「動けなくしましょう。」
えっ、と俺が聞き返す前にアサギが離れていく。
その瞬間、俺は四方八方から飛び出してきた蜘蛛の糸の様なもので拘束されてしまう。
「い、いつのまに…。」
「ここは私の領域(巣)、このくらい出来て当然でございます。」
不敵な笑みをしながらゆっくりと近づいてくるアサギがおもむろに俺の浴衣に手を掛ける。
そしてするすると肌を露出させた。
その出てきたアレスの身体に、アサギはうっとりとした視線を向ける。
「はぁ…なんて逞しい、肩から胸に掛けての傷が痛々しいですが…それも一つの魅力…これほど魅力のある殿方は初めてですわ。」
「…世辞を言っても何も出ないぞ?」
「いいえ、出していただきます…このいやらしい臭いのする所から…。」
動けない俺を良いことにアサギは首筋や胸元を舌でねとりとなぞっていく。
その時に触れる彼女の豊満な胸がダイレクトに伝わり、生暖かく柔らかい感触が俺の肌に伝わった。
そして徐々に彼女の舌は下半身の方へと向かっていく。
「ふふふ、こんなに盛って…魔物の私でも興奮してくださるのですね?…苦しそうですし、慰めて差し上げます。」
彼女は反り立った肉棒を手で愛でながら先端を舌で擽った。
滑りとした感触が肉棒を包み、快楽を与えてくる。
「う、うわぁ…。」
「はぁ…その表情、良いですわ…そんな顔されたら頑張らないといけませんね。」
急にアサギが俺の肉棒を根元までくわえ込み、激しく口元を動かした。
空気の漏れるいやらしい音が
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