「ふぅ…食った食った。」
夕食も終え、自室に戻りベッドの上に寝転がった。
レイとルカの作る料理はどれも美味しく手が止まらないほどだった。
本人達は謙遜していたが満更でもない様子で、ヴェン自身も高く評価していた。
聞くところによると普段はヴェンが作っているらしいのだが、忙しい姿を見て何か手伝えないかと二人が名乗り出たらしい。
他にも少しずつだがヴェンが楽に出来るようにと皆手伝っているらしい、ヴェンも大助かりだそうだ。
後から来たラズとロイスは俺の姿を見てかなり驚いていた。
「言ってくれれば…」とかなんとか言いそうだったので俺が話してやるとラズは顔を赤くして俯き、ロイスはいやぁ…と頭を掻きながら照れていた。
その二人を彼女達は「この幸せ者め!」と冷やかしていたが、それと同時に俺への危なげな視線を投げかけてきたので俺はあえて気づかない振りをした。
…触らぬ神になんとやらだ。
そして肝心の聞けなかった部分を皆に聞いたのだが、…簡単にはぐらかされてしまった。
ヴェンに至ってはその様子を見て微笑ましく見ているだけだったし、俺だけ仲間外れにされている気分だ。
「一体なんなんだ…?」
考えても仕方ないのでヴェンに言われた通り待ってみる事にした。
今思えばヴェンは彼女達に会わせる為に俺をここに呼んだのではないだろうか?
それなら辻褄も合うが…そうだとしたら何も遠まわしに言わなくても良いのに…。
俺も彼女達に会えるのはとても嬉しいのだから機会があればいつでも会いたい。
まぁ、今日は皆とも会えたし…ちゃんとした話は明日にでもしよう。
窓の外は暗くなっており、ランプの炎が部屋を照らしてくれていた。
夜も更け、そろそろ寝ようかと思ったとき。
コンコン。
「?」
ノックの音が聞こえ、俺はベッドから身体を起こした。
こんな時間に誰だろうか…?
とりあえずドアを開けてみるとそこには…。
「…レイ?」
「ア、アレス、起きてたのか?」
ドアの向こうには寝巻き姿のレイが立っていた。
尻尾が不規則に揺れ、気のせいか少し緊張してるようだ。
「こんな時間に…どうしたんだ?」
「い、いや…その…えっと…。」
「?」
レイは顔を赤くしてもじもじしながら話し続ける。
「その…私と…。」
レイは少し間を空けて搾り出すように言った。
「私と…『』、してくれないか?」
「…え?」
言うのが恥ずかしいのかレイはさらに顔を真っ赤にしている。
声が小さくて言ってることが良く聞こえない。
「なんだって?」
「だから…『』、してくれ。」
「…悪い、良く聞こえないのだが。」
「だから…その…『』を…。」
「???」
声が小さすぎて肝心の部分が聞こえない。
俺が何回も聞いているとレイはやっと聞こえる声で言った。
「私と…『交尾』、してくれ…。」
「…え?!」
彼女の口からとんでもない言葉を発せられた。
驚きのあまり俺はしばらく言葉が出なかった。
徐々に彼女が近づいてくる。
「いや、そんな事急に言われても…。」
「私じゃ…不服なのか?」
「そうじゃなくて…ほら、皆もいるし…。」
「大丈夫だ、皆寝てるよ…。」
「いや…しかし…。」
レイは近づきながら服をはだけていき、大きく開いた胸元を強調してきた。
俺はなるべく見ないようにしながらも後ずさりしていく。
「アレス…お前が好きだ、私の身体、好きにしていいんだぞ?」
「う、うわぁ…。」
「ほら…触ってくれ。」
どうやら完全にスイッチが入ってしまったようだ。
このままじゃ朝まで相手をする事になりかねない。
嫌ではないが…ここはヴェンの他に彼女達もいるんだぞ?
流石にそれは皆に悪い…。
「レイ、…すまない!」
何とかレイの横を潜り抜け、部屋の外へと逃げようとしたのだが…。
「アレス…?ちょっとお願いがあるんだが?」
現実はかなり非情であった。
「リ、リザ?!」
「ア、アレス…?」
俺が部屋から逃げようとした先にはリザが立っていた。
恐らく俺が出ようとした瞬間にリザは部屋に入ってきたのだろう。
タイミングが悪いにもほどがある。
というよりなんで下着姿なんだ?!
「どうして…。」
「いや、これは…。」
これは流石に気まずい、俺は何とか言い訳を考えていたのだが先にリザが口を開いた。
「…レイがここに?」
「リザこそ…何故アレスの部屋に?」
「…へ?」
二人は驚いたように目を見張っている。
一体どういうことなんだ?
「リザ…お前は確か『アレスに稽古をつけて貰うから先に寝る』とか言って部屋に戻ったんじゃないのか?」
「レイこそ…『じゃあ私も付き合うから今日は早めに寝よう』とか言って同じように部屋に戻ったではないか?」
俺を挟んで二人は睨み合いを始めた。
どうやら二人とも相手を出し抜こう(?)とし
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