――グオォォオォオオ
喉を震わせて雄たけびを上げる
小さな餌どもが逃げ惑う
楽しい
――ゴォォォォオ
――ズゴーン
私の息の一つで山が裂ける
――グギャァァァァァアア
爪の一振りで餌の城が千切れとび
――ズドン ズシン
私が歩けば地が揺れる
もっと遊びたい
もっと暴れたい
世界が壊れてしまうまで
「違う」
もっと――
「ちがぁぁぁぁう!こんなの私じゃない。私はこんなことしたくない」
もっともっと――
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「は!?」
俺は寝苦しさに目が覚めた
「お?目が覚めたかい?大丈夫かい?ずいぶんと魘されていたみたいだけど?」
「あれ?サラマンダーさん…ここは…」
俺はどうやらベッドに寝ていたようだ
どれくらい眠っていたんだろう?
もしかしてずっと付き添っていてくれたのだろうか?
サラマンダーは戦っていた時のような怖い目ではなく
優しそうな微笑で俺を見ていた
そのせいだろうか?
逃げなくてはいけないなんてこれっぽっちも思わなかった
「いやぁ〜すまないね。あんなにわくわくした勝負は久しぶりだったから、ついついやりすぎっちまったよ。軽く腕試ししてやるつもりが、危うく殺すところだった」
「ははは…」
危うく殺されるところだったのか、俺
「城主様。やりすぎですよ」
「ははは。…面目ない」
そう言って隣に現れたのは少し童顔のかわいいワーウルフだった
しかしかわいい顔立ちとは裏腹にその顔は半開きの目(はやりの言葉でじと目というんだっけ?)と無表情な口元が何とも言えないギャップだ
ちなみにおっぱいは手の平サイズだ
そのワーウルフさんに注意され、少ししょげるサラマンダーさん
うつむいた拍子にそのおっぱいがたゆんとゆれた
ふむ、間違いなくあのサラマンダーさんだ
「あの、すみません」
「ん?なんだい?」
「ここはどこですか?っていうか、城主様って?盗賊王の城かどこかですか?」
俺は疑問を投げかけてみた
「ここはアルトリオ城のあたしの部屋さ」
「アルトリオ城!?」
「ああ。紹介が遅れたね。あたしはアルトリオの『いきおくれ』城主をやらされてるマゼンダだ。ってこら!誰がいきおくれだ!?!?」
「ほほほ〜♪ ほんとの事じゃないですか〜」
自分をマゼンダと名乗ったサラマンダーさんは絶妙なタイミングで『いきおくれ』を吹き込んできたワーウルフさんを追いかけまわした
っていうか、この人が城主なの!?
大丈夫なのだろうか…
いきなり新人に勝負吹っかける城主なんて…
俺の驚きと不安を余所に、二人の魔物娘は追いかけっこを続けていた
ワーウルフさんは意地の悪い笑みを微かに口元に浮かべつつ無表情のまま逃げ回った
ベッドの周りをぴょんぴょんと身軽に飛び跳ね逃げるワーウルフさん
――ぽむっぽむっ
それを追いかけるサラマンダーさん
――ゆっさゆっさ
ふむ
なるほど、いいコンビだ(`・ω・´)キリ
きっといいおっぱ…城主に違いない( ´∀`)
「ったく、逃げ足だけは早い奴だねぇ…」
「ほほほ〜♪ その胸についてる無駄な肉をそぎ落とせば捕まえられるんじゃないですか〜?」
「ほぅ〜。それはやきもちかい?」
「や、やきもちちゃうもん!事実だもん!」
あ、やきもちだ
「っと、すまないねぇ。こいつはシズル」
「このお城の家令を務めさせていただいてます。城主様にこき使われて、挙句の果てに親切で持ってきた見合い話も全部台無しにされているかわいそうな忠犬です。わうわう」
「なっ!余計なことを言うな!」
そう言ってまた追いかけっこが始まった
シズルか
珍しい名前だなぁ
そういえば顔だちも見ない感じだ
なんて言うか幼くて小さな顔だ
そういえばあの腰のサーベル
柄の作りが変わってるなぁ
「ん?どうしたのですか?私の腰をじっと見て。さっそく女子の身体をスキャンしているのですか?この変態」
「ええ、いい腰回りだなっと…。じゃなくて、その腰のサーベル」
「ほ、褒められたって嬉しくなんかないんだからね(無表情)。えっと、これは私の生まれのジパングに伝わる刀ですね。といっても、これは小太刀ですが」
「へぇ〜ジパングの人なんですか『どうりでいい腰回りなはずだぜ。ゲッヘッヘ』」
なんだか勝手にセリフを吹き込まれてしまった
どうやら癖のある人のようだ。シズルさん
「さて、次はあんたの番だよ」
俺がいろいろと思案していると、サラマンダーさんに促された
「えっと。先日付でこのアルトリオの守備隊長の栄誉を戴きました、エリオット=アイヴズです。よろしくお願いします」
「はは。そんな堅っ苦しくしなくてもいいよ。よろしくね。歓迎するよ」
「こちらもよろしくお願いします。腰好きさん」
「いえ、おっぱいの方が好きです」
俺は条
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