「おい!エリオ!起きろ!!」
「んぁ?…うがっ!」
俺は聞きなれた声で目をさまし、覚ますと同時に襲ってきた頭痛に襲われた
ひどい痛みだ
「なあんだよ…うぅ…」
俺はぐわんぐわんと音を立てるような立ちくらみの中、体を起こした
「あれ?どこだ?ここ?」
見慣れない部屋だった
安っぽい装飾が至る所にちりばめられた部屋
ああ
そうか
俺はあの後娼館へ行って…
だめだ、思い出せない…
「ずいぶんと探したぜ?エリオ」
「んあ?ああ、フーガか…どうしたんだよ…ぅぷ…いったい…今日は休みだろ?」
「お、おい、吐くならそっち向いて吐けよ…。って、そうだ、それどころじゃない」
「んえぇ?」
「近衛兵がお前の事探してるぞ?いったい何をやったんだよ!?」
「ん?ああ。気にするな。ちょっと首ちょんぱされるだけだ」
「ブッ!く、くびちょんぱって…ほんとに何やったんだよ!?」
「わからん。俺は何もやってない。でもどうやら捕まるみたいだ…。まいったなぁ〜もう…」
俺はスプリングの弱ったやわらかいベッドから降り、外されていたベルトを閉めなおした
「お、おい。どこにいくんだ!?店の前では近衛兵が待ってるぞ?」
「いいよ。どうせ逃げてもつかまるんだ。おとなしく捕まってくるさ。まいったなぁ〜もう…」
「そ、そうか…」
「あ、俺が死んだら、俺のベッドの下のへそくり全部やるよ。みんなで仲良く分けるんだぞ〜」
俺はふらつく足で愉快に部屋を出て行った
俺はへ騎士たちに連れられるまま、王宮の方へ歩いていく
ん?なんだ?もしかして公開処刑でもされるのか?
なんて呑気なことを考える
――エリオット=アイヴズを連れてきた
――よし、入れ
普段なら絶対に入ることなどないだろう王宮の中へ
すれ違う高そうな服を着た人々
美男美女の人間や魔物
「ふへぇ〜。さすが王宮だぁ〜」
「おい!きびきびと歩け!」
騎士に注意されつつも俺は奥へと歩いていく
と…
「止まれ!」
「ん?」
突然大きな扉の前で足止めされた
「んん?処刑場にしちゃあずいぶんと立派ですね?」
「はぁ?お前の目にはここが処刑所に見えるのか!?」
兵士が呆れたように言ってきた
「ほら、身なりを正せ!」
そう言って扉に控えていた兵士が俺の服を正していく
「ふむ…まぁいいだろう。入れ」
そういって扉が開かれる
「ふぉぉ……」
言葉を失った
見たこともない世界が広がっていた
大理石と蒼い絨毯
ロイヤルブルーと金やプラチナでできた装飾品
壮大な作りのエントランス
そして、その正面には
玉座
……玉座!?
「え?………」
俺は再び言葉を失った
「スウェルバルト国国王、リアン1世である!」
突然大きな声が聞こえ、正面右側の扉から数人の男女が入ってきた
「え?え!?」
俺は訳が分からず右往左往する
そうしているうちに、一人の青年が目の前の豪華な椅子に腰かけた
「え?」
この人がリアン王だというのだろうか?
思っていたよりもずっと若い
それに…
「あ、あんまり緊張しなくていいよ。名前だけの王様だからさ」
それに、ずいぶんと王様らしくない
い、いや、こんなことを言ったら失礼なのだろうが、なんというか…
威厳たっぷりの王様 っていうか…
俺がポカーンとしていると
「陛下の御前であるぞ!?図が高い!!」
突然凛とした女性の声がして、俺はあわてて片膝をついた
「ああ、いいよ。あんまり畏まられると顔が見えないからさ」
リアン王はそう言って
俺は顔を王様に向けた
何とも抜けたような表情だ
確かに王様らしい身なりはしている
顔も美形の部類に入るのだろう
しかし、見ているものの緊張を解きほぐしてしまうような、そんな空気を持った人だ
「君が検査官のエリオット?」
「…は、はっ!エリオット=アイヴズであります!」
俺はあわてて答えた
ふとその時に気付いた
王様の右腕には包帯が巻かれていた
「ん?ああ。これのことは気にしないで。きっとマルクスにいろいろ聞いたんだろうけど、かすり傷だから。こんなのより母さんに殴られた方がよっぽど痛い」
王様が困ったように言った
「もぉ〜。そんなことないよぉ〜」
王様の言葉に隣に座っている白銀の髪をした女性が答える
すごいスタイルのいい女性だ
身長も高いし、それに何より
――ぷるんぷるん
すごいおっぱいだ
って、おいおい
相手は王族だぞ!?邪な視線を向けるな!
俺は自分に言い聞かせる…が
しかしすごい胸だ
それに外見とは裏腹な柔らかい空気と表情
見ているもの全てを癒してしまいそうだ
「ん?」
待てよ?
あの人が母君ってことは…
『怪物の方も偶然そばを通りかかった陛下の母君が拳一つで殴り殺s』
昨日聞いた騎士の言葉がよみがえる
なんとい
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