………………
…………
…
私の足元で痙攣を続ける少女
その顔は幸せに包まれている
私の胸の中も幸せそのものだ
愛しい人を悦ばせる
共に果てる
全てが全て心地いい
しかし
私の心の深いところからそいつが顔を出す
「わかってるよ…」
私は
どこまで行っても私なのだ
――しゅる
私は髪ひもを解き、呪を唱える
そして、それを姫の首に括りつけた
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
儂はエントランスから携帯式の魔導通信機を使って城の外の魔女たちと連絡を取っておった
援軍に駆け付けた兵はおよそ5000
最早完全にこちらに利は無かった
「『ルリアか!? 城門前の兵たちはどうしておる!?』」
『はい。九尾の妖狐、ユイファ様が広範囲の幻術で敵軍の多数を無力化してくださってます。ですが、数が多くて長くは持ちそうにありません!』
「『分かったのじゃ!今すぐにそちらへ向かうのじゃ!お主らは何とか退路を開けよ!』」
儂は急ぎ室内へ戻ろうとした
『は、はい!どぉかご無事で…
…………おらぁ!てめぇら!バフォメット様が帰ってくるぞぉ!意地でも道を開きやがれ!オラオラオラァ!!男ども退きやがれぇ!尻に風穴開けられてぇのか?あぁん!?』
………………
………
え?
What?
い、いや
儂は何も聞いておらんのじゃ
なんかかわいいロリ魔女が突然ロア○プラの歩く死人みたくなった気がするが、きっと気のせいなのじゃ
だってそんな…
ロリっ子魔女が『尻に風穴』って…
『おらぁ!ぼぉっと突っ立ってんじゃねぇぞ!あの男がタイプ?ファァァァァック!!知るかボケビッチ!てめぇの脳みそはミルクでたぷんたぷんか?あぁん?いいからさっさと男どもをぶっ殺してこいや!オラァ!邪魔だファッキンデブ!男は嫌いなんだよ!吐き気がするぜ。あたしのバフォメット様に傷の一つでも付けてみやがれ!貴様らの空っぽのドタマに鉛玉ぶち込んでカラカラ音鳴らしてやんよ!』
……………………
あ、あ…
あわわわわわ〜
聞こえな〜い なのじゃ
いや、だってこれ…
え、嘘?…
そ、そうじゃ
きっと人違いなのじゃ
誰か別の、そう。ちょっとロリ声のミノタウロスとかの声が偶然入っておるだけなのじゃ
「『あ、あのぉ〜…ルリア…様? じゃ…ないですよね? あの…大変申し上げにくいのじゃが…まだこれ、マイク入ってますよ?』」
『あぁん?あ………………きゃ、きゃる〜ん♪てへっ☆何か聞こえましたぁ?』
「『あ、いえ、ごめんなさい』」
『…………ちっくしょぉぉぉぉぉおお!!こうなりゃヤケだ!てめぇらまとめてぶっ殺してやるぁぁぁぁぁぁぁ!!』
――ぶち
――ツーツーツー
………
ど、どうしよう…これ…
い、いや
儂は何も聞いていないのじゃ
百合っ子妹系魔女と思ってたルリアが実は酒と金と暴力で成り立ってる街の住人だったなんて全然知らないのじゃ
知ってたとしてもたった今忘れたのじゃ
いかんのう
歳は取りたくないものじゃな ふぉ…ふぉ……
……………
って、
あんなインパクトでかい記憶流石に忘れられないのじゃ!
交通事故で頭打っても
頭の中の消しゴム使っても絶対に落ちないのじゃ…
ちょ、誰か、MIBのあのピカって光る奴貸して!
きっとあれでピカってやれば消えるのじゃ!
って、この世界には宇宙人も渋いおっさんとイケメン黒人のコンビもいないのじゃったぁぁぁ!
あぁ…もう…
次からあやつにどう接していいのか全く分からんのじゃ…
ああ。もうなにこれ?
ピンチとか撤退とかもうどうでもよくなるくらいショックがでかいんじゃが?
「一人で百面相とは、何とも楽しそうで安心したぞ、バフォメット殿」
「ん?」
背後から見知らぬ声の見知った口調が話しかけてきたのじゃ
「……あれ?もしかしてシェルクなのか?」
「いいや。私はバフォメットだ“なのじゃ”。ふぉふぉ」
バフォメットだと名乗る黒いバフォメットが意地の悪い笑みを浮かべてワザとらしく笑った
間違いなくシェルクらしいのう
っつか、
「これっ!儂の真似をするでないのじゃ!」
「マネなどしていないぞなのじゃ!」
「してるのじゃ!やめるのじゃ!」
「そっちこそ私の真似をするななのじゃ」
「マネなどしておらんのじゃ!」
「頭の先から尻尾の先まで真似をしているではないかなのじゃ」
「そっちは角の形も違うし毛皮も黒いのじゃ!どう見てもお主が偽物なのじゃ!」
「ならばそっちは変なところにあほ毛はあるし、毛皮も私と違って茶色いではないかなのじゃ。そっちが偽物ではないかなのじゃ」
「魔物図鑑に載っておるのは儂なのじゃ!そっちは載ってない上に後からバフォメットになったのじゃから真似しておるのはそっちなのじゃ!」
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