第九話 魔物と勇者

悪魔が口づけてくる
暖かな感触
そして、柔らかな舌が私の舌に絡みついてくる
熱い

「ん。ちゅ…。安心して。力を抜いて」
「あ…あ…ぁ…」

顎に力が入らない
気持ちいい
こんな…
口づけだけで…
ぴったりと付けた唇から
そして絡み合う熱い舌から
この美しすぎる悪魔から
私の中に膨大な量の魔力が注がれてくるのがわかる
死んでいたはずの体の感覚がまるで産まれるように再生していく
痛みなどは感じず、ただただ私という器に暖かなお湯が注がれていくように
冬の日にニアが作ってくれたチョコラテのように
胸から暖かさが広がって
指先までがぼぅっと熱く…

「そうよ。素直になって。私に。そして自分に…」
「あぁ……う……」

呆けた口からは言葉が出ない
ただ、悪魔が私の心を読み取ったかのように微笑み

――きゅ

抱きしめられた
あたたかい
やわらかい

気が付くと
私は動くようになったばかりの腕で、必死に悪魔にしがみついていた

――ぽろぽろ

涙が流れ落ちる
嫌な涙ではない
これは
私の喜びの涙
私の全てが受け止めてもらえた
その喜びに対する涙

「貴女の強さも優しさも。ぜんぶ私に分けて。私も、私の全部をあなたに分けてあげる」
「うん。欲しい。私もほしい…」

まるで幼子のような言葉
でも
私の心だった
これが
これが魔物の王の力なのか
私なんかが…
敵うはずがない
だからこそ、すべてを預けられる
だからこそ、すべてを曝け出せる
私は

――ちゅ

自分から悪魔に口づけた

――んちゅ…あむ……ん……

甘い
とろけそうなキス
暖かく温かく
私が融けていく

「今度は、あなたが私を受け入れて」
「うん…」

悪魔がささやきかける
天使のような声で
私は、嫌がる気持ちさえ起きなかった

――くちゅ

「ぁん…」
「大丈夫。痛くないから。きっととっても気持ちいいから」
「うん……」

私のそこに何かが触れる
熱い

――ずぷ

悪魔の尻尾
熱い思いが
入ってくる…

「んあぁ…」

――ちゅ
――んん…あむ……くちゅ…


ついばむ様に
舌を絡ませて
熱い
甘い
唇から繋がる

――つぅ…

銀色の糸が

――つぷ

千切れて

「あぁぁぁ!」

身体の奥を雷が撃ったような快感が駆け巡る

「あ…あぁ……」

でも、それがじんわり温かく

「いい?動くよ?」
「うん…うん…」

私よりも一回り小さな体
でも、私は幼子のように彼女に抱き着いて

「んあっ!……あぁん!」

彼女の芽が私のそこに擦れて痺れる
熱い彼女の思いが私の膣内でのたうち

――…じゅく…じゅむ…

「ふあぁぁ…だ、めぇ………」
「んぁ…大丈夫よ。はぁ……ちゃんと感じてぇ。これが私の思い。あなたへの想い」

気持ちいい
全てが変わっていくような
全てがダメになってしまうような

「んはぁ…あん……」

これが魔に堕ちる感覚
これが魔に変わる快感
こんなの…

「だめぇ…きもちぃ…」

抗えもしない

「綺麗なおっぱい。真っ白な肌に、桃色。ふふ…れろ…。あむ…」
「ひ、ひゃぁぁぁん!…それ、だめぇ……」
「感じて。もっと…もっと……」

擦れあう肌
すべすべの彼女の肌

「ちゅぷ…あむ…ちゅぅぅ」
「んはぁぁ!」

吸い付かれる
彼女の舌が躍る
私の胸

「あぁん。しっぽ、気持ちいいよぉ…。あなたの中、とっても熱くて、とろとろで、とってもえっち…」
「やぁ、言わないで…んあぁぁ」

広がってくる
おへその奥から
彼女が呼びかける
だめ
でも
もう…

「あぁぁぁ!もうだめぇ、出ちゃう。んんっ…出す…出すよぉ!」
「だめ、だめぇぇぇぇ!!!」

――ビュク

大きく脈打って

「んはぁ「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」

重なる






私は
堕とされた






―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「はぁ…はぁ……」

彼女が焦点の合わない目で必死に私を見据えてくれる
黒曜石のような瞳
濁りひとつない心
愛しい
愛しい、愛しい
これが人間

その人間が

――ドクン



――ビク、ビクッ

生まれ変わる

「ん、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

――ビクンビクン

彼女の身体が嬉しそうに跳ねる
白い肌が玉のような汗を流して
薄く桃色に色づいていく

――しょわぁ

透明な飛沫がそこからこぼれ出て
まるでお母さんが破水したみたい

「い、いやだ!私は…んあぁぁ!きもちいい。だめ…でもぉ…うあぁぁぁ!!」

私を見つめていた黒い瞳が、透き通るように紅くなって
彼女の美しい体が、目の前で縮んでいく
長くしなやかな手足が細くてかわいく
おまんこに生えていた黒い艶やかな毛も抜け落ちてすべすべとした柔らかそうなすじに

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