2日目:生体記録。

おはようございます。

背中が痛い。

そりゃそうだ。

板張りの床で寝たら誰だってそうなる。

わたしだってそうなる。

動きに支障があるといけないので軽くストレッチ。

いっちにーさんしっ。

ごーろくしっちはっち。

ゴキゴキ言いながら体をほぐす。

すごく痛い。

ストレッチしたことで少しはマシになった。

というわけで昨日使った傍目から見てもボロボロな木の斧とまだ新品同様の木のつるはしを持って近場を探索しようと思う。

出来れば石が豊富なところが見つかればいいな。

流石に木の道具だけでこの先生きのこるにはちょっと。

いや、大分厳しいと思う。

あ、きのこ発見。

・ ・ ・ ・ ・ ・

昨日の草原に来た。

相変わらず草花以外は何もない。

いや、一つ異様なものがあった。

道具一式が入っていた謎の箱だ。

そういえば道具を取り出してそのまま放っておいたままだ。

この箱、物置に使えるのではないかと思ったので持って帰ることにした。

しかし持ち上げようとしても持ち上がらない。

仕方がないので昨日、木を切ったように斧を使ってみる。

初めは壊してしまわないか心配だったが杞憂だったようだ。

斧で何度か叩くと箱は小さなブロックになって、今はわたしの手の中にある。

便利だ。

もしかしたらこの中に入れて持ち歩けば荷物スペースの節約になるのではないか?

試したくなったので一旦箱を地面に置いてその中に手持ちの道具を全部入れる。

そして斧で叩いて箱をブロックにしてみる。

中にしまったものが全部小さなブロックとして出てきた。

どうやらズルはできないらしい。

しょぼーん。

そして木の斧がお亡くなりになった。

しょぼーん。

出来ないものは仕方がない。

あふれ出た道具を全部拾って再びポケットの中にしまう。

周りを見渡して、石がありそうな場所を探そう。

遠くを見るようにぐるっと見渡して見ると視界の端に何かが映った。

黒と白のホルスタイン柄の服を着た人のようなものだ。

わたしと同じくこの世界に来た人だろうか?

焦りと嬉しさで自然と駆け足になってしまう。

とりあえずその人物と接触してみることにした。

・ ・ ・ ・ ・ ・

牛だ。

そうとしか言いようのないほど牛だった。

たしかに人の形はしている。

豊満な乳房を持ったかわいらしい女性の形をしている。

しかし、話しかけてもかわいらしい顔で首をかしげるだけ。

言葉も話せないらしい。

鳴き声はかわいらしい声で鳴いていたが。

とりあえずかわいいことはわかった。

ちなみに二足歩行だ。

四つん這いではない。

牛柄の服を着た女性・・・いや、女の子はじーっと不思議そうな目でこちらを見ている。

とりあえず頭を撫でてみよう。

笑った。

気持ちよさそうに撫でられている。

かわいい。

・・・。

・・・。

・・・。

・・・。

はっ。

そんなことをしてなごんでいる場合ではない。

とりあえず、この牛の女の子はおそらくはここの原住民なのだろう。

言葉も喋れない、目的もなく草を食べている姿を見るとそうとしか思えない。

ちょっとがっかりしたがこの世界にはわたし独りというわけではなくなったのだ。

またちょっとさみしくなったらここに来よう。

さて、石を探しに来たのだ。

ちょっとした山や丘のようなところがあればいいのだが。

牛の女の子に背を向けて歩き出す。

てくてくてく。

てくてくてく。

足音が二重に聞こえる。

てくてくてく。

てくてくてく。

また足音が二重に聞こえる。

後ろを振り返ってみる。

牛の女の子がいる。

気にせずまた前に進んでみる。

てくてくてく。

てくてくてく。

足音が二重に聞こえる。

後ろを振り返ってみる。

牛の女の子がいる。

見つめてみる。

牛の女の子はかわいらしい顔で首をかしげる。

頭を撫でてみる。

安心しきったような顔で頭を撫でられている。

・・・。

・・・。

・・・。

・・・。

はっ。

またなごんでしまった。

どうやら変になつかれたらしい。

試しにそのあたりにあった草をちぎって与えてみる。

牛の女の子は嬉しそうにそれを受け取り、食べ始めた。

満面の笑みだ。

かわいい。

そしてその草を食べ終えると、しっぽを振りながらお腹のあたりに頭をこすりつけてきた。

猫か。

どうやら本格的になつかれてしまったらしい。

ペットを飼えるほどの余裕はないが、このままここに放置することは出来なそうだ。

このまま家までついてきそうだからだ。

このまま石を採掘しに行くのは危険だと思ったのでとりあえず一旦家に帰ることにしよう。

というかこの牛の女の子にかまいすぎて日が傾き始め
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