トレジャー≒とれじゃぁ

−−−−−−どうして・・・。
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ッ!」

−−−−−−どうしてオレは・・・。
「ハァ・・・ッ!ハァ・・・ッ!」

−−−−−−どうして・・・オレは・・・っ!
「ハァ・・・ッ!ハァ・・・ッ!ハァ・・・ッ!ハァ・・・ッ!」

「いたわ!こっちー!」
「見つけたのね!みんなー!いたわよー!」
「アガレスくーん!逃げないでー!」
「「「結婚してーーーー!!」」」


「洞窟の中で追われながら求婚されるんだぁーーーーーーーー!!!」





・・・あぁ・・・・・・オレ・・・なんでこんなことをしてるんだろう・・・。



−−−−−−オレはとある小さな村で生まれた。特に不自由も無く、村の中ではまあまあ裕福だったと思う。
オレには自慢のじいちゃんがいて、小さい頃よくじいちゃんが若い頃の話とかを聞かせてもらっていた。じいちゃんは教団の騎士団長だったらしいんだ。
魔物を討伐するために、森に行ったり、山に行ったり、海に行ったり・・・。全て話そうとするときりが無い。でも、そんなじいちゃんにすごく憧れてた。いや、じいちゃんみたいにかっこよく魔物を倒したりしたいわけじゃなかったけど。

オレはとにかく『冒険』がしてみたくなったんだ。

それですっげぇ宝を手に入れて、母さんや父さん、じいちゃんやオレの弟、村のみんなを幸せにしてやりたかった。
でも、じいちゃんにそう言うと・・・。

「アガレス・・・よく聞け・・・。今は魔物は、美しい女の姿になって人間を誘惑して来る。だがそれに誘われるがままについて行ってしまうと、頭からムシャムシャと食べられてしまうぞ。」
と魔物の恐ろしさをこれでもかと言うくらいに教えられてきた。だから魔物の誘惑なんかには絶対に負けないって決めたんだ。

−−−−−−オレは成人になるとともに海賊になった。海賊といっても、人から物を奪ったりするような非道なやつらじゃない。
海に眠る金銀財宝を捜し求める・・・そんなやつらが集まった所にオレは入れてもらった。
どんなことがあっても絶対に財宝を手に入れる。そんな固い絆を結んだ同志だった。
同士だったのに・・・今では海の魔物と結婚していろいろとよろしくやってた。仲間を冒険に誘っても
「えー?俺はかみさんがいるだけで幸せだから、もう金銀財宝もいらねぇかなー。なんで思ってるんだわ。すまねぇな!」
と言われ、挙句の果てには船長まで・・・
「まぁ若ぇ時はそれくらいの勢いがあったほうがいいだろうな。俺は俺の幸せ・・・いや、俺にだけのとんでもねぇ財宝を見つけちまったんだ。山分けできねぇ財宝が、な・・・。」
とか、無駄にかっこつけて言われてしまった・・・。

オレは絶対に諦めたくなかった。一人ででも宝を求めて海に出たが・・・サハギンやらネレウスやらが執拗にオレのことを追い回してきたので海は諦めた。何しろ分が悪すぎる。海の上ではろくに戦えないのだ。荷物やら船やらを囮にして死に物狂いで何とか逃げ切った。

今度は山に登ってみることにした。山の奥にある洞窟や、運がよければダンジョンを見つけられるかもしれない。そう思ったオレは教団本部の街から遠く離れた名前も無いような山に行くことにした。
ここならまだ誰も手をつけてないようなお宝があると思った。だけど現実はそう甘くなく何も見つからないので帰ろうと思った時に・・・。

足を滑らせて崖から落ちたんだっけ・・・。




−−−−−−「ん・・・んん〜・・・。」
体中が痛い。死んでも体って痛いもんなのか・・・。
・・・あぁそうだ・・・。崖から落ちたんだ・・・。さすがにもう死んだかな・・・オレ・・・。
そうだ、目を開けたらそこは楽園。天使やきれいな蝶が飛び交う楽園なんだ・・・。
そう思って目を開けたら・・・。

見知らぬ家の天井だった。

「・・・・・・は?」
でも楽園にしては質素な造りだな。安っぽい木だし・・・。むしろオレの実家と大差ない造りだ。
ベッドも木で作られた安物のベッド。イメージしてた楽園の−−−貴族しか使えないようなふかふかのベッド−−−とは大違いだった。
・・・いや、待てよ?もしかしたら楽園は自分のもっとも心安らぐ場所を真似して作ってくれるんじゃないか・・・?なるほど、それなら合点が行く。
一人で納得していたら、ドアが開かれた。
そこにいたのは・・・

「あ・・・目が覚めたんですね!」

天 使 の よ う な か わ い こ ち ゃ ん だ っ た 。

「・・・・・・え?」
「驚きましたよ。崖から男の人が降ってくるなんて、滅多に見ませんから・・・って、どうかしましたか?私の事をじーっと見て・・・。」
彼女が頭に?マークを浮かべたような顔をしてオレに問いかけてくる。イカン、どうやら相当な間抜け面を晒していたようだ。
「あ、い
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