とある森の中に、とても可愛い白百合の女の子が住んでいました
名前をララと言います
ララはとっても優しく明るい娘で ハニービーやグリズリー達にすぐに蜜をわけ与えていました
『ララちゃん蜜をわけて
#9836;』
『ララちゃん お腹が すいたんだなぁ〜』
『ララちゃんとってもおいしいよ
『ララちゃーん』
『ララちゃんっ!』
だけど夜になって みんながお家に帰ってしまうと ひとりぼっちになってしまいます
「くすん くすん さびしいよぅ さびしいよぅ」
ひとりの夜は さみしくて かなしくて せつなくなって いつもララは泣きながら眠るのでした
そんなある時
この日は雨が降っていて、いつものように みんなも遊びに来てくれません
ララは一人でさみしく雨にうたれていました
「ふぇえ さみしいよぅ さみしいよぅ」
ララが泣いていると遠くの方で
ガタゴト ガタゴト
ある反魔物領の馬車がこの森の近くを通りかかりました
中にはキレイな服を着た女の子が お人形を抱いて座っていましたが
『む〜 このお人形 かわいくないし、もう飽きちゃった い〜らないっ!』
ポーンっ
馬車の中にいた貴族の女の子は 窓から人形を投げ捨てました
ベチャ
雨が容赦なく人形を打ち付け 泥水が服を汚して 無残な姿になりました
その光景をララは見ていました
シュルシュル
ララは蔦を使って雨にうたれている人形をやさしく引き寄せました
きちんと濡れないように 葉っぱで傘を作ってあげました
「かわいそうに…あなた ひとりぼっちなの…? 」
「…」
「わたしも とってもさみしいの ねぇ おねがい 私といっしょにいて…?」
「…」
「ありがとう わたしララっていうの♪ 」
「…」
「えへへ かわいい
#9836; そうだ あなたのお名前はなぁに?」
「…」
「そうなの メアリーって言うの よろしくね メアリーちゃん♪ メアリーちゃん大好き♪」
ララは満面の笑顔でメアリーをギュッと抱きしめました
「えへへ もうさみしくない♪」
それからララとメアリーの生活が始まりました
ララは片時も離れずメアリーといっしょにいました
「メアリーちゃん 太陽がポカポカあったかいねぇ」
『あっ ララちゃん そのお人形なぁに?』
「ダメッ!メアリーちゃんに触らないでっ!ぷんぷんっ」
「メアリーちゃんのお洋服 だいぶ汚れちゃったわね ようし お洗濯してあげる!」
「♪〜 ♪〜 ♪〜」
……
「ひっく ぐすん… ごめんねメアリーちゃん… お洋服が… やっぱりお蜜で洗濯しちゃダメだったのかなぁ」
「そうだ! わたしの花びらと蔓で んしょっと 」
チョキチョキ
ぬいぬい
チョキチョキ
ぬいぬい
「ようし できたぁ♪ メアリーちゃんのお洋服! できたよ♪」
「…」
「喜んでくれるの? 嬉しい! あとこれ♪」
ストッ
「わたしの花の髪飾り♪ えへへ お揃いだね♪」
そうして 月日が経ち まわりが雪景色となる頃
「寒くなってきたね メアリーちゃん…」
「わたしは いつも冬がキライだった… ずっとひとりぼっちで眠らなきゃいけないから とてもこわくて さみしかった…」
「でも もうこわくないよ だってメアリーちゃんがいてくれるから 」
「それじゃあ おやすみメアリーちゃん…」
ララはメアリーを抱きしめ ゆっくりと花弁を閉じて冬ごもりに はいるのでした
…
……
………
そして冬を越え 雪が解け 緑が芽吹く暖かな春を迎えました
「すぅ すぅ むにゃむにゃ」
お寝坊なララは春が来たのにも関わらず かわいい寝息をたてて眠り続けていました
「くぅくぅ メアリーちゃん…すぅすぅ」
「…ちゃん」
「ララちゃん… ララちゃん起きて…」
「むにゃむにゃ」
「ララちゃん…起きて…」
「…すぅすう…」
「ララちゃん!おっきなさーい!」
「はにゃにゃにゃ!? だっだれぇ!? はわわわわ」
ララは突然だれかに起こされ あわてて花びらを開き あたりを見渡しましたが誰もいませんでした
「あれぇ?おかしいなぁ?今誰かの声が…」
「ララちゃん…ララちゃん」
「はへっ?だれ?どこ?」
「ここよ ここ」
ララが下を向くと
「ララちゃん♪」
「ええっ!?メアリーちゃんがしゃべった!?」
なんと言うことでしょう 自分が今抱いている お人形のメアリーがしゃべったではありませんか
ララは驚きます
「なんでぇ?どうしてぇ?」
メアリーはやさしく微笑みながら答えました
「ララちゃんが 私の事をずっと優しく愛してくれたから… これからはお喋りできるわね ありがとうララちゃん」
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