もうすぐ日も暮れようとする時刻の中 1人の女が薄暗い森の中を歩いていた
その女はオーガだった
オーガは戦闘を好みいくつもの戦場を渡り歩く剛の者であった
今回も次の戦を求めて 移動している途中だったのだが…
「やれやれまいったね 日も暮れて来たのにまだ次の街に着かないよ」
オーガは溜息をついた
「この分じゃあ 今日も野宿かな ハァ」
もちろん 戦場暮らしの長かったオーガは野宿やサバイバル術にも長けていたが
やはり街で宿をとる方が熟睡できるし
その上
「あ〜 今日も酒抜きかぁ〜 」
と言うことである
「しょうがねぇ 本格的に暗くなる前に 野宿の準備すっか! え〜っと飯はまだ残ってたかな…げっ!もうこんだけか… 近くに魔界豚でもいりゃあ 狩ってくるんだがな よっしゃ!じゃあまずは飯を確保じゃ」
そう言うとオーガは森を駆けていった
…
……
………
「ちぇっ…こんだけか…」
オーガの収穫はわずかばかりの木の実を得られただけであった
「おかしいな?こんだけデカイ森ならもっと生き物がいてもいいのにな 今日は酒断ちに 肉断ちかぁ」
「しゃあない じゃあ適当な場所で火の準備を…」
「うぇぇん ひっく うぇええぇん」
「あん?」
森の奥の方で女の子の泣き声が聞こえてきた
「なんだぁ?誰かいるのかぁ?」
オーガは泣き声のする森の奥に進んでいった
その先にいたのは…
「え〜とアルラウネ…なのか…?」
ほんのり明るい魔灯花の光に照らされた白い花と緑の肌をした少女が泣き続けていた
「うぇ〜ん ひっく さびしいよぅ さびしいよぅ うえぇえ〜ん」
「え〜っと お〜い そこのおめぇ どうしたんだ? 腹でも減ったのか お〜い 」
オーガはその少女に声をかけた
「うぇ〜ん うぇ〜ん ふぇっ?」
少女はピタリと泣き止みオーガを見つめる
「おっおい? どうしたんだ?なんで泣いてるんだ? 腹減ってんなら これ食うか?」
そして はじめびっくりした表情だった少女の顔がみるみるうちに明るくなり
「……うわぁあああああああああ おねぇちゃんだぁ〜!!!!!!!!」
「へっ?」
今まで涙に濡れていた瞳はあっという間に喜色に溢れて
「おねぇちゃんだ!おねぇちゃんだ!やったぁ! おねぇちゃんが来てくれた! うれしい!うれしいよぉ!」
「おねぇちゃんが来てくれた!これで勝つる!」
「おいおい! ちょっとちょっと待て!」
「おねぇちゃん!おねぇちゃん!おねぇちゃん!」
「ちょっと話しを…」
「おねぇちゃん わっしょい! おねぇちゃんだひゃほぅ! おねぇちゃん陛下バンザイ!」
「話しを聞けーーー!!!!!!!」
「なあに?おねぇちゃん?」
「はぁはぁ…その おねぇちゃんってのはなんだ?」
「えっ? おねぇちゃんはおねぇちゃんだよ?」
「おねぇちゃん?」
「おねぇちゃん!」
「おねぇちゃん?」
「って 俺ぇええ!?いや 俺はおめえの姉ちゃんじゃ ねぇぞ? だいたい俺はオーガで母ちゃんもオーガだし おめえは アルラウネだろ?」
「うそっ! うそだもんっ!おねぇちゃんはわたしのおねぇちゃんだもん! 肌の色だって同んなじだし ずっとひとりぼっちで寂しがってた わたしを助けに来てくれた 優しいおねぇちゃんなんだもん! うぇ〜んえんえん」
「おいおい泣くなよ おめぇずっと ここでひとりぼっちだったんか? 誰もいなかったんか?」
「うん…誰もわたしに近寄ってこなくて…くすん」
「こんな小さい娘がずっとひとりで… しょうがねぇ どうせ野宿だったんだ 今日は俺のこと姉ちゃんと思って甘えていいぞ!」
「やったぁ ありがとう!おねぇちゃん」
少女に笑顔の花が咲く
「へへっ 俺はアスナってんだ おめえは?」
「リリィ! わたし リリィ!」
「そっか!よろしくなリリィ! そんじゃあさっそく ここに寝床の準備だな…」
ガサガサと荷物を漁るオーガだが
「ねえ おねぇちゃん…こっちこっち」
「あぁ?」
「あの…その…お花の中に…来て…」
「えっ!? いや それはおめぇちょっと問題があるんじゃねぇか!? ほら おめえらアルラウネは旦那しか花の中に入れねぇんじゃねえのか? 」
「ううっ おねぇちゃんが入ってくれない…グスン…ふぇえ」
「あー待て待て!入ってやるから泣くなよ おめぇがいいってんなら入ってやるからから!」
「えへへ やったぁ」
「まったく なんでこんなことになっちまったかねぇ… うおぉすげー! 蜜が金ピカでキラキラしてんなぁ じゃあちょっくらお邪魔…」
「おねぇちゃん!」
「ん?なんだ?」
「あの…服脱いで…欲しいな…」
「あっ!そっか わりぃわりぃ 」
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