木々の生い茂った山の中を歩く小さな影…
白い羽根に 蛇の尻尾 白髪の頭にワンポイントの赤い鶏冠 小柄な体ながらもむっちり程よく肉ののったイイ脚
彼女はコカトリスだった
しかしその足取りは妙にオドオドしている
☆
「ひっ ひぃ〜 怖いよ 怖いよ…」
こ、こんにちは!私…コ、コカトリスです…!
今日も山の中をご飯を求めて探索中…なんだけど…
ガサッ
「ひっひぇえぇ〜っ!怖い〜っ!」
突然の物音に私は脇目も振らず逃げ出した
「ひぇぇんっ! なにっ!?なにっ!? 今の音なにぃ〜! うわぁぁん」
ドドドドドドドっ!
そして私は数百メートル走ってようやく落ち着いた
「ハァハァ もう大丈夫だよね…!?」
へにゃ と地面に腰を下ろし一息つく
「はぁ…私ってなんでこんなに怖がりなんだろう?」
ほんのちょっとした物音でびっくりしてしまう 山の中でオーガさんやグリズリーさんにあった時なんて大変だった 数キロは逃げ続けてた あぁ失礼だったろうな…
なんで怖いのか?なんて理由なんてなかった怖いものは怖い 私はもう世界の全てが怖い…
だけど、それで困った事がある
それは…
男の人が怖い…
男の人に興味がない訳じゃない
私だって魔物娘だし、あの…その…えっ…エッチにだって憧れは…ある
…けどコカトリス特有の体質で私から溢れるフェロモンで狂わされた男の人は問答無用に私に向かって襲いかかってくるのだ
それがどうしても怖い…
友達が男の人に捕まった所を見たけどあんなの私には耐えきれないあんなに激しく…見てるだけで気絶しちゃった…
はぁぁ〜自分の種族の体質を恨むわ…
もっと優しくゆっくり近寄ってきて なでなでしてくれたらいいんだけど… はぁどんな性癖でもバッチコイなサキュバスさんが羨ましい…
はぁ… でも言っててしょうがないよね どうせこんな山の奥なんて誰も来やしないんだから…
ふぅ そういえばご飯を探してる途中だった よしっ!ご飯 ご飯っと…え〜と
「あっ虫ぃっ!」
ヒョイパクっ!
ん〜おいしぃ〜♪
「るるるん♪」
「ららららん♪」
「るるるのるん♪」
同じく山の中 そこに陽気な足取りで歩く巨大な影…
★
やぁ僕はきこりさ!
絶賛お仕事頑張り中!
うぅ〜んやっぱり山の中で体を動かして仕事をするのは気持ちがいいね!
空気は爽やか!言うことなし!
「う〜ん」
ぐぃ〜
少し休憩して腕をストレッチ
「さいこーぅ♪」
僕は毎日体をいっぱい使って働いて充実した毎日を送っていた
だけど、こんな僕にも悩みがある
それは 女の子が苦手なのだ…
女の子を目の前にすると緊張して口をパクパクするだけで何にもしゃべれなくなるんだ
みんなからは図体ばかりでかくて小心者だなぁってバカにされちゃうし
だって緊張しちゃうし…体力には自信あるのになぁ どうしてこう気が小さいんだろう…
まぁいいや!仕事仕事!今日は気分がいいから もうちょっと山の奥まで行ってみよう!
『るるるんっ♪』
『らららんっ♪』
『るるるのるんっ♪』
☆★
「あぁ美味しかった♪ あっ あの木!いっぱい虫が住んでそう♪行ってみよう!」
『おっ!あの木はとってもいい木だ!素敵なお家になるだろう!行ってみよう!』
「るるるんっ♪」
『らららんっ♪』
「るるるの」『るるるの』
「『るんっ♪』」
「『!!!?』」
『うっ!ふっフォオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
「ひゃあっ!い、イヤァアアアアアアアアアアア!!!!!」
ズドドドドドドドドドっ!!!
「いやぁあああ誰か!誰か!助けて!たっけてー!」
突然現れた巨大な男に私はパニックを起こしながら全速力で逃げ出す
しかし、一向に引き離せない、木や岩の陰に隠れても全部なぎ倒してアイツはどこまでも追いかけてくる
ううっ!こ、こんな人間がいるなんて しかもあんなに大きい…
それにあの血走った目、恐ろしい顔!まるで物語の魔神!
アレはそうよ私のこと食べちゃう気だわ!私の手羽先や胸肉、モモ、皮、モツなんかもムシャムシャと食べちゃう気だわ!
捕まったら終わりだわ !
ううっ怖いよぉ〜!!
「だっだれか!誰かいませんかーーーー!」
誰でもいいから助けてください!
臆病仲間のつぼまじんちゃん!
おっとりしているおおなめくじさん!
ぼけっとしているマタンゴさん!
誰でもいいから助けてください
っと自分の数少ない怖くない友人達を思い浮かべるが、よしんば彼女達が来てもどうにもならないだろう
私は走りながら、助けを求めて叫ぶ
すると天の助けか誰かの人影が見えた
剣術修行中のリザードマンさんだった、いつもだ
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