とある親魔物領の近くの森、かつてはとんでもない四つん這いな凌辱劇が起こった所ではあるが、今は穏やかな木漏れ日がさす、落ち着いた場所になっている
そこを一人の魔物娘が歩いていた
褐色の肌の美少女に黒の犬の耳と四肢、尻尾 古のジャッカルの特徴を持った魔物娘 アヌビスであった
私の名前は、“ヌイ” 誇り高きアヌビス一族の一人だ
今までは、敬愛するファラオ様の下で王国復興の為に尽力していたが、ある時 同盟を組んでいたとある親魔物領の領主のリリムが突然 雌豚奴隷になるといってある街に移住してしまい 街は業務を行う者がいなくなり軽くパニックを起こしてしまった
そこで、管理能力の優れるアヌビスをこちらに派遣して欲しいと要請があり、特別優秀である私がレンタルでこの街で力を貸すことになった
まったく魔界の王女といってもだらしない奴だな やっぱり淫魔なんてみんな欲望に弱いものなのか? やはりウチのファラオ様の方が王としての資質に優れているな
しかし、私はここに来てよかった事もある
「す〜っっっはぁぁあ〜〜」
私は胸を膨らませ思いっきり深呼吸をする 森の新鮮な空気が肺を満たしていく
「あぁやはりこの森、木と言うものはいいものだな」
私の故郷のピラミッドはファラオ様が目覚めたばかりで 砂漠がまだ多くある
幼い時から聞いていた“森”と言う緑の植物達にずっと憧れていた
私は一足早くこの森に触れ合えて、とてつもなく感動している
あぁ早く私の故郷も一面こんな緑の木で埋め尽くしたいものだ
その為にはやはり、はやくファラオ様に良人をもってもらう事が大事だな
あとやっぱり…やっぱり…私にも番いが欲しいな…
そんな事を思いながら森の散歩道を進んで行くと
ガサッ
茂みの向こうから何か音がした 私は足を止めて その方向をみる
ガサッガサガサ
「? 獣か?」
私は妙にその音が気になりいつもの散歩道コースを外れ 茂みをかき分けていく
通常なら予定と違うことなどしない私だが この時はどうかしていたんだと思う そうこの時が運命の分かれ道だとしらず
少し歩くと その物音の正体がわかった
茂みを抜けたその先にはー
男が四つん這いになっていた
「???」
一体…どうしたと言うんだろうか? とりあえず私はその男に話しかけて見ることにした
「おっおい!そこの男!一体こんなとこで何をしてるんだ? 落し物でもしたか?」
私が話しかけると 男はこちらを向いた
男はみすぼらしい服を着ていたが、金髪碧眼 私達魔物娘にとって男性の美醜は気にならないものではあるが、人間で言うならばかなりの“イケメン”というものだろうか なかなかの面構えをしているな
「おいどうした? 落し物なら私も手伝おうか?」
そして、男は少し首をかしげ こう言った
「わふぅ?」
「は…?」
私は一瞬 思考が停止してしまった
「は…? おっおまえっ! なっ、なにを言ってるんだ? わふぅってお前 お前おおおおおお前は なっなんなんだ??!」
「わぉぉおん♪」
取り乱していると男は私に飛びかかって来た
「キャン! あわあわわわわわわ」
パニックになった私は押し倒され
「ハフハフ ペロペロペロペロペロペロ♪」
顔を舐めまわされた
「ほぎゃぁーーー! やっやめっ… わっぷ ちょ… かおを 」
「あーーーーーーーーー!」
ー
ーー
ーーー
「ブラッディハウンド計画!?」
私は あの後散々舐めまわされたが、なんとか抜け出し 街で一番物知りなバフォ様の研究所に男を引きずりながら連れて 調べてもらった
「そうじゃ、かつて非道な実験を繰り返す 教団の研究所を襲撃した時 その資料が残っていたのじゃ」
「人間の精神を破壊し、獣の心を宿らせ わしら魔物娘の魅力を受け付けず 容赦なく狩る血に飢えた猟犬“ブラッディハウンド”を産み出す狂気の計画じゃ! 」
「ブラッディハウンド…」
私はその恐ろしい計画を知りゴクリと唾を飲み込んだ しかし、
「へっへっへっへっへ」
「あのぅ ゴールデンレトリバーぐらい 優しい顔をしてるんですけど…」
目を細め 舌を出しながら呼吸している男をみると どうにもそんな恐ろしい実験の被害者に思えなかった
「う〜〜〜む まぁ実験は失敗だったと言うこともあるしのぅ 」
「バフォ様、この男の精神は治りますか?」
「むぅ まぁ調べてみんとそこはわからんな しかし、こやつの身元がわかるものはこれだけか…」
男の首にかけられたネームタグを見る そこには“ジョン”と彫られていた
「バフォ様! ジョンを、ジョンを治してやって下さい! このまま人の心を失ったままなんて、不憫すぎます!」
「無論 最善は尽くすが人
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