馬車に荷物を載せた商隊が街道を進んでいた
現在、魔界に近い場所を進んでいるため、商人、御者、傭兵、皆一様に厳しく、緊張した表情をしていた
そして、その商隊を狙う者達ー
「今だぁっ!みんなかかれぇ!」
「ぷひぃいいい!!!!」
長の号令と共に一斉に襲いかかる魔物の群れ
豚の特徴を持った獣人“オーク”だ
「ひぃいい!魔物だぁ!!傭兵隊!傭兵隊!やつらを追い払え!」
「うぉぉぉおおお!!」
魔物と人間との戦いが始まった
鳴り響く怒号と剣戟
しかし、商隊の馬車の荷台の中にー
「ひぃいい!ダメだぁもう、終わりだぁ」
馬車の片隅で縮こまっている一人の青年がいた
顔面蒼白 身体はブルブルと震えて怯えている
「うぁあ こ、こんなことならこんな仕事するんじゃなかった」
僕は後悔した ちょっとお金がいいからってかじった程度の剣術で傭兵の仕事をしてみたのだが
はじめて見る“人を喰らう魔物”を見て足が竦んでしまう そしてあの数 も、もう終わりだぁ
「ぐわっ!」
荷車の近くで男の呻き声が聞こえた
「ぷっひっひっ イキのいい男は大好きだよ さぁ来なっ!可愛がってやるからよ! ぷひっ!」
「うわぁ!助けてくれー!」
隙間から覗くと僕に色々教えてくれたベテラン傭兵が魔物に連れ去られていった
「あっ…あぁ」
訓練ではまったく敵わなかったベテランさんがあんなにあっさり…
「も、もうだめだぁー!」
僕は剣も鎧も何もかも捨てて逃げ出した
「ぷひっ?1人馬車から逃げ出していったプヒ
#9833;ぷひひ みんな気付いてないプヒ ぷひひっ
#9833;独り占めプヒ♪」
一人のオークの娘が男を追っていった
「ハァッ!ハァッ!ハァッ」
僕は必死で走った 死にたくなかった 早く安全な場所に行きたかった
しかし、
「ぷひひっ!待つプヒ」
魔物が追いかけてきた 僕を捕らえて食べようと
見つかってしまったー
「うっうわぁああっ!誰かっ!誰か!助けてくれー!」
魔物から逃れたくてめちゃくちゃに走り回った
藪を抜けて 川を渡って 崖を飛んで 森の中を走り抜けて行った
だけど、魔物を振り切ることができなかった
魔物はしつこく僕を追いかけてくる
「ぷひっ!逃がさないプヒ ほぅら痛くしないから止まるプヒ」
馬鹿な事を言う魔物だ、痛くても痛くなくても食べられるのなんて誰でも嫌に決まってる
「嫌だっ!嫌だー!死にたくないっー!」
だけどそんな命をかけた追いかけっこも終わりに近づいていた
「ヒィヒィ ハァハァ」
体力の限界
今までの火事場の馬鹿力も長くは続かなかった
脇腹が痛い
息が上がる
足がもつれる
も、もうダメだ…
「ああっ!!」
ガッ
僕は石につまづき地面に倒れこんでしまった
「うわっうわぁぁあっ!」
後ろを振り向くとすぐそばまで魔物が迫っていた
僕は尻もちをついたまま後ろに下がる
「ぷっひっひっひ
#9829; ぷひぷひしてやるプヒ〜
#9829;ぷひぷひしてやるプヒ〜
#9829;」
魔物はニヤニヤといやらしい笑みでジリジリと近づいてくる
「誰かっ!助けてくれー! 死にたくないっ!死にたくないっ!主神さまっ!主神さまー!おかあさーん!」
「さぁお待ちかねの男プヒ
#9829;」
もうダメだ!そう思ったその時!
シュルルルっ
「ぷひぷひ… ぷひっ!?」
突然近づいてくる魔物の動きが止まった
なんだ!?どうしたんだ!?主神様への祈りが通じたのか?
グィン
「ぷひいぃいいいぃいい!???」
魔物が急に 宙に浮き上がった
そして僕は気付いてしまった 更なる絶望を
「ひっひぃっ!」
僕と魔物の周りを取り囲むように おびただしい数の 触手が蠢いていた
聞いたことがある 魔界には魔物ですら餌食にする凶悪な植物が生息する
“触手の森”があることを
僕はそこに迷い込んでしまったのだ!!
「ぷひっ!ぷひいいいぃ」
魔物の身体は触手に巻きつかれ宙吊りの状態になっていた
捕らえられた憐れな魔物は悲鳴をあげ、暴れもがく
しかし、抵抗虚しく触手は緩むことはなかった
更に触手が魔物の身体をウネウネとまさぐり、衣服を無理矢理剥ぎ取っていく
「プヒンっここは!? やっやめろっ!そんなつもりでここに来たわけじゃ…」
パシィンッ!
「ぷひぃっ!」
パシンっ! パシィン!
「ぷひいぃん!」
パシィンッ! パシィンッ!パシィン!
「ひぃいいんっ!ぷひぃいい」
魔物の身体を鞭の様な触手で叩く
弱らせようってつもりなんだろう…
パシィン!パシィン!パシィン!
「ぷっぷひぃ
#9829;ぷひいぃいん
#9829; だっダメぷひ やめるぷひ そんな激し
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