いわゆる社畜というやつである俺は、その日も日付が変わる寸前まで残業していた。
終電に揺られていた俺の頭の中にあるのは、早く帰って寝たいという思いだけだった。
座席の背もたれに身を預けて、ウトウトしていると段々と意識が遠のいて来る。
疲れと眠気が限界だったのだろう。
いつしか俺の意識は微睡みに沈んで行った……
ガタン、と電車の揺れる音と振動で目が覚める。
しまった、寝過ごしちまったか……! 今どこの駅だ?
慌てて車外の様子を確認しようとした俺は、その場で固まってしまう。
えっ……何だよコレ?
車外の光景は異様、の一言だった。辺り一帯にピンク色の霧が立ち込めているのだ。
霧の濃度はかなり濃く、数メートル先も視認出来ない。
所々に照明の光が見えるので、どこかの駅なのだろうと言う事は分かるが……
自分の置かれている状況が飲み込めず混乱していると、プシューと音がして電車のドアが開く。
車内にピンク色の霧が入って来ると同時に、1人の女性が乗車して来る。
その女性を一目見た瞬間、俺の脳裏に一つの単語が浮かぶ。
ーー魔女ーー
思わず見惚れる程の美女だ。
切れ長の目に、整った鼻筋。
巨乳、いや爆乳と言って良い程大きな胸。
キュッと括れた腰にむっちりとした太もも。
そんなワガママボディーを包む蠱惑的な衣装。
胸元を大きく開き、お腹と太ももを露出したセクシーなローブ。
黒と紫を基調にした色合いは、柔らかな白肌を強調しており実に扇情的。
紫の髪はかなりのボリュームだ。膝くらいまであるだろうか?
恐らくウィッグだろう。あの量の髪を染めるなんて現実的じゃない。
そして頭部には魔女帽子。
まるでゲームやアニメに出て来る魔女そのものの出で立ち。
そんな彼女に見惚れているとプシューと音がして電車のドアが閉まる。
ガタン、と揺れて電車が発車する。
彼女は俺をじっと見つめると不意にニタリ、と笑った。
「……っ!」
その笑みを見た瞬間、俺の全身は硬直する。
ギュッと心臓を鷲掴みされたかの様な感覚。
身体が熱くなり……呼吸が荒くなり……喉はカラカラ。
彼女から目が離せなくなり、下半身にドロリとした熱が生まれる。
心臓の音がうるさくて、体中の毛穴から汗が吹き出し、股間に甘い疼きが走る。
何だ、コレは……
#8265;
#65038;
まるで俺の身体が「何か」の準備を始めたかの様な興奮、高揚感。
俺が自分の身体の異常に混乱していると彼女が動いた。
カッ、カッとヒールを鳴らして近づいてくる。
歩くたびに大きな胸が揺れて、思わずマジマジと見てしまう。
彼女は俺の目前で立ち止まると、こちらを見下ろしながら話しかけて来た。
「ねぇ、アナタ名前は?」
低く、セクシーな声。本物の美女は声までエロい。
俺がボーッとその声に聞き惚れていると、
「ねぇ、聞こえてる?」
と言って前屈みになって身を乗り出して来る。
彼女の美しい顔が目の前に迫って来て、胸が高鳴る。
「あ、ああ……名前、ですか? 俺の名前は安藤 和樹(あんどう かずき)って言います……」
その女性に見惚れながら何とか名乗る俺。
彼女は俺の瞳をじっと覗き込むと、穏やかな笑みを浮かべこう言った。
「カズキ……カズキ、か。素敵な名前ね」
……っ!
胸が締め付けられ、顔が熱くなる。
ただ名前を褒められただけ。
たったそれだけで、魅了された。
彼女の微笑みがあまりにも眩しくて……
その優しげな声が耳に残って……
魅入られてしまった、目の前の彼女に。
その美貌、豊満な身体、声、匂い……
全てが俺を惹きつけて止まない。
そんな俺の耳元に彼女はフーッと息を吹きかける。
「うっ、ああ……」
背筋がゾクゾクした。股間がズクンズクンと疼く。
身体が自分の意思に関係無く、ビクビクと震える。
吐息一つで俺は腰砕けにされてしまった。
「ミラージュよ」
「えっ……? ミラージュ?」
「私の名前。呼びにくかったら、ミラって呼んで。
親しい人は皆そう呼ぶから」
「ミラージュ……いや、ミラさん」
それが彼女の名前。ミステリアスな彼女に良く似合う響き。
……名前まで素敵だ。どんどん魅了されていく。
その自覚があるのに止められない。転げ落ちる様に深みにハマる。
虜にされてしまったのだ、ミラさんの。
「カズキはおっぱい好き?」
ミラさんは唐突にそんな質問をして来た。
「えっ……? ええまあ……好き……ですね」
俺はミラさんの胸の谷間を見つめながら答える。
前屈みになったミラさんの爆乳が電車の揺れに合わせてブルン、ブルンと揺れている。
こんなの見るなって方が無理だ。
「ふふっ……♪ そうなんだ」
ミラさんは妖艶な笑みを浮かべると体を起こす。
ああ……おっぱいが遠ざかってしまった。
残念がる俺を見下ろしながら、ミラさんは
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