フェアリーちゃんをペロペロしよう!(2)

ーー夏本番!
今年の夏は猛暑で気温は連日35℃オーバー!
当然我が家も真夏の太陽の輝きに晒され、家の中は暴力的な熱気に包まれていた。

あぢぃ……溶けそう……

ベッドに寝そべりながらぼやく俺にリリィちゃんが相槌を打つ。

「ホントだねぇ……こっちの世界の『夏』ってこんなに暑いんだ……」

俺の顔のすぐそばに寝転ぶ彼女もこの暑さに参っているのだろう。
ぐでーっとうつ伏せになってへばっていた。
気のせいか背中の羽根もしなびてる様に見える。
窓全開にして扇風機の風を「強風」にしているが、焼け石に水だ。
……仕方ない、エアコンつけるか。
俺1人なら電気代ケチって我慢するんだけど、リリィちゃんが熱中症にでもなっちゃったら大変だ。
という訳でエアコン始動!
リモコンの電源ボタンを押すと、ブオォォンと低い音を鳴らしてエアコンから冷風が出始める。
窓を閉めてしばらくすると、部屋の中が冷気に包まれる。
おお……素晴らしきかな、エアコン!
リリィちゃんもムクリと起き上がり、両手を上げて喜ぶ。

「おー、すごく涼しい! これデンキの力なんだよね?」

リリィちゃんの居た妖精の国にも、電気ってあったの?

「ううん、無かった。アキノのおじいちゃんから教えてもらったの」

アキノのおじいちゃん? えっと……誰かな?

「おじいちゃんはこっちの世界から来た人間さん。
わたしにこっちの世界の事、いっぱい教えてくれたの!」

話を聞く限り……アキノさんって人はこの世界から妖精の国に転移したって事か。
リリィちゃんがこちらの世界に来ているって事は、双方向に行き来する手段が有るって事だ。いや、驚きだわ。異世界転移なんてラノベやアニメだけの出来事だと思ってたんだけどなぁ。

そのアキノさんって人はどうやって妖精の国に行ったの?

「多分わたしの仲間達に連れて来てもらったんだと思う。
そう言えばわたしも聞いた事無かったなぁ」

なるほど、リリィちゃんには帰る手段があるんだな。
なら行くあてが無くても全く慌ててなかったのも納得だ。

その時、俺の腹の虫がグウ
#12316;ッと鳴った。あー、そういや朝から何も食ってねぇや俺。休みだからって10時過ぎまで寝ちまったからなぁ。昨日の夜はリリィちゃんとエッチしまくってて明け方まで起きてたしな。面倒だけど、飯作るか。

さぁて昼飯何にするかな? とは言っても正直ガッツリ食うって気分じゃないんだよね、最近。暑くて食欲湧かねーし、凝った物作るのも面倒だし。……またそうめんで良いかな? 昨日もそうめんだったけど、リリィちゃんも結構気に入ってたし。

リリィちゃん、今日もそうめんで良い? 昨日とおんなじで悪いんだけど……

「うん、そーめん好き! チュルンとしてて美味しいし、食べてて楽しい♪」

うんうん、今日もリリィちゃんは元気で可愛い。彼女を見てるとこっちまで楽しい気分になって来る。きっとそれはリリィちゃんが何事も全力で楽しんでるからだ。俺も見習わなきゃな。

俺はキッチンに立つとまず鍋に水張ってコンロにかける。湯が沸くまでの間、棚からそうめんを取り出して準備する。量は……2束で良いか。俺自身そんなに食う方じゃないし、リリィちゃんも少食だ。後はボールとザル用意してっと……冷水張って完了。何となく後ろの様子を見ると、リリィちゃんが忙しなく飛び回って食事の準備を整えてくれている。食器の準備をしたり、冷蔵庫からお茶やめんつゆを出したり……彼女は意外に力持ちで冷蔵庫を開け閉めしたりドアノブを回したりもできるし、ある程度重い物でも持ち運び出来る。

リリィちゃん、ありがとね。準備してくれて助かるよ。

俺が声掛けると、彼女はニコッと笑って

「ううん、これくらい当然だよ。わたしキミのコイビトだもん
#9829;」

なんて言ってくれる……!
ああー、リリィちゃん可愛い! 可愛すぎる! その上健気!
今すぐペロペロしたい衝動に駆られるが、ここは我慢だ。
まずは飯作ろう。ペロペロは後でじっくりすれば良い。
俺は沸き立っている鍋の中にそうめんを投入する。
何つーかそうめんに限らず、麺茹でるのって楽しいよね。
パスタでも蕎麦でもうどんでもさ、この工程好きなんだよなぁ俺。
火加減を適当に調節しながら、菜箸でゆっくりかき混ぜて茹でる。
……良し、そろそろかな?
ザルに麺をあげて冷水にさらす。粗熱取って適当にほぐして……っと完成。
やっぱラクだわそうめん。それでいて結構美味しいし、良い料理だよホント。

お待たせー、出来たよ。

俺がザルに上げたそうめんを持って来ると、食卓の準備は完了していた。
1人暮らしの時は考えられなかった事だ。大切な誰かと一緒に暮らすって良いモンだな……その幸せを噛み締める。

「エヘヘッ、待ってたよー♪ 準備出来てるから早く
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