新しい学年に進級して、一か月……
最近隣の席の女の子が気になって仕方ない。
授業中さりげなく隣を盗み見る。
まず身長が高い。
男子の中でもそこそこ背が高い僕とほぼ同じ身長なのだ。
必然的にクラスの女子では一番背が高い。
髪は濃い茶髪のボブカット。
垂れ気味の眉にどこか眠そうな表情。
プロポーションも抜群で、その……胸とお尻もかなり大きい。
正直制服の上からでも分かるその膨らみに目を奪われた事は一度や二度ではない。
性格はとても穏やかで、のんびり屋さん。
昼休みになると、中庭のベンチでひなたぼっこしてる姿を良く見る。
そんな彼女の名前は、熊谷 日向(くまがい ひなた)。
僕のクラスメイトで、気になる女の子……いや、曖昧な表現は止めよう。
ぶっちゃけ好きだ。
今だってこうやってチラチラ見てしまうし、彼女の事を思って眠れない夜を過ごす事も多い。
ああ……可愛いなぁ熊谷さん……
やっぱり彼氏とか居るのかなぁ……
でもそう言う話は全然聞かないし……
そんな事を考えながら彼女に見惚れていると、不意に目が合った。
ドキリとする僕に彼女はふんわりと微笑みかけてくれた。
うわ……何だこれ……!
体が熱くなって、心臓がドキドキする。
顔が真っ赤になってるのが分かる。
嬉しくて恥ずかしくて……僕は咄嗟に顔を逸らしてしまった。
ああっ……何やってんだ僕……!
せっかく熊谷さんが笑いかけてくれたのに……!
もう一度、横目で彼女の様子をうかがう。
彼女は元通りのぼんやりした表情で、黒板の内容を板書していた。
……とりあえず怒ったり、不機嫌になってる様子じゃ無さそうだ。
とはいえ、彼女が内心どう思ってるかまでは分からない。
ひょっとすると嫌われてしまったかも知れない。
そう思うと、不安で仕方無い。
……こう言う時は本人に直接謝るに限る。
自分1人で悶々と悩むより、サッサと謝った方がお互いの為になる場合が多い。
丁度今の授業が終われば昼休み、その時に彼女をお昼ご飯に誘って謝ろう。
……それにそこから会話が弾んで、少しでも彼女と仲良くなれるかも知れない。
我ながら都合の良い考えだが、こういう時ネガティブになりすぎると大抵ロクな結果にならない。
そんな訳で僕、元木 厚(もとき あつし)は熊谷さんにアプローチをかける事を決意したのだった。
昼休みになると、僕は一度深呼吸して気持ちを落ち着ける。
……良し、行くぞ!
僕が意を決して彼女に声を掛けようとした瞬間
「ねぇ、元木くん
#12316;、良かったら私と一緒にお昼ご飯食べない
#12316;?」
間延びした声で、熊谷さんの方から僕を誘って来た。
ニッコリと笑った笑顔が眩しくて僕は……
「へっ? あ……ひゃ、ひゃい、喜んで……!」
うろたえて声が裏返ってしまった。しかも何だよ、喜んでって返事は……!
しかし彼女は気にした素振りも無く、ほんわかした表情で
「良かった
#12316;、今日はお天気も良いし中庭行こっか
#12316;?」
そう言ってくれた。
どうしよう、マジで嬉しい!
好きな娘とお昼を一緒に食べれるってだけで、僕の心の中はお祭り状態だ。
「う、うん。じゃあ一緒に……」
2人で一緒に教室を出て中庭に向かう。
僕の胸はずっと高鳴っていた。
中庭に着くと僕らはベンチに腰を下ろす。
来る途中に適当に雑談したけど、結局授業中目を逸らした事を謝れなかった。
「じゃあご飯食べよっか
#12316;?」
そう言ってトートバッグからお弁当箱を取り出す熊谷さん。
でもその前に……
「……あのさ、熊谷さん。さっきの授業中の事なんだけど、その……ゴメンね?」
「うん
#12316;? 何のこと
#12316;?」
熊谷さんは小首を傾げる。そんな仕草も愛らしい。
「ほら、授業中に目が合ってさ、熊谷さん笑いかけてくれたよね?
なのに僕目を逸らしちゃってさ、ひょっとしたら気を悪くしたかなって不安で……ゴメンねホント」
「ああ
#12316;、大丈夫、気にしてないよ
#12316;。たまにあるよね
#12316;、そういう事
#12316;」
熊谷さんはそう言って、ふんわり微笑む。
ああ……熊谷さん優しくて可愛い……
僕は彼女のこのほんわかした笑顔にいつも見惚れてしまう。
彼女は自分の弁当箱を開けると、僕の方を見る。
「元木くん、ご飯食べないの
#12316;?」
「いや、うん食べるよ。ちょっと待ってね?」
笑顔に見惚れてボーッとしていた僕は、慌てて自分の弁当を袋から取り出す。
僕の準備が終わると、彼女はいただきますと手を合わせ食べ始める。
僕も彼女に倣い、いただきますと言って食事を始める。
「お日様の下で食べるゴハンは美味しいね
#12316;」
「うん、そうだね」
モグモグと
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