デーモン先輩に犯されたい!

突然だけど皆は運命の出会いとかした事あるかな?
その人と出会う事で、その後の人生が一変するような劇的な出会い。
……何となくそんなもの僕には訪れないと思ってた。
特に理由は無いけど、そんな出会いなんてあり得ない、とか思って卑屈になってた。
でもその時は唐突にやって来た。
僕の運命の女性、彼女は人じゃ無かった。
彼女はそう、
 ーーーーーー悪魔だ。

 僕の名前は、塚本 真(つかもと まこと)。
高校一年生の15歳。……身長は低めで、体型も痩せ型。
自分で言うのもなんだけど、表情や雰囲気も暗く、典型的な陰キャ。
それが僕だ。

学園の屋上の一角にあるベンチに腰かけて昼食を取る。
今日の昼食は購買で購入したサンドイッチとおにぎり、そしてペットボトルのお茶だ。
15歳の男子の食事量にしては少ないのかもしれないけど、元々少食な僕にとってはこれでも少し多いくらいだ。
サンドイッチを食べながら、何となく周りを見渡す。
僕以外にも昼食を食べている人達が大勢いた。
この学園の屋上は出入り自由となっており、大型のプランターに色々な花が植えられてたり、テニスコートまであったりとかなり豪勢な感じになっている。
だから晴れの日は結構大勢の生徒で賑わうことになる。
対人恐怖症気味の僕にとっては、人の多い場所は苦痛だった。
教室や学食だと、人の目線や話し声が気になってダメだった。
屋上も人自体は多いけど、皆それぞれのグループで話したり、ご飯を食べているため、僕みたいに一人で食べている人間に注目したり、声をかける人なんてまず居ない。
……その筈だった。

「ねえ、そこのアナタ」
体がビクッと震える。恐る恐る声のした方に視線を向けると、そこには一人の女生徒が立っていた。
彼女を一目見た瞬間、ドクンッと心臓が高鳴った。
高身長に長い手足、いわゆるモデル体型というやつだろうか。
腰まで伸ばしたキレイな黒髪。
整った目鼻立ちに、抜群のプロポーション。
そんなテレビの中でも見たことが無い様な美女が、
「お隣、良いかしら?」
と声をかけて来た。
彼女に見惚れていた僕は、
「えっ? あっ、はい……」
なんて間の抜けた返事を返すことしか出来なかった。
失礼するわねと言って、彼女が隣に腰かけてくる。
僕は慌ててベンチの隅に身を寄せるが、彼女はそんな僕を見てクスッと笑うと、グイッと間を詰めて来た。
「あら、そんなに離れなくても良いじゃない? これも何かの縁だし、私とお昼ご飯を食べてくれないかしら?」
正直ご飯どころじゃ無かった。心臓のドキドキは止まらないし、なんだか息も荒い。体は小刻みに震えてるし、顔だって多分真っ赤だ。
……言うまでも無いけど、僕には恋愛経験なんて無い。誰かと付き合った事はおろか、女子とロクに会話した事も無い。
そんな僕にこんな美女と一緒に昼食なんてハードルが高すぎる。
すっかり固まってしまった僕を見て彼女は、
「あらあら……緊張してるのね? フフッ、可愛い……
#9829;」
「……っ!」
そう言って笑った彼女の顔を見た僕は、背筋にゾクゾクした物が走るのを感じた。
なんだろう……? その笑顔はまるで、獲物を前にしたケダモノみたいで……
でも次の瞬間には彼女の笑顔は柔らかなものに変わっていた。
気のせい……だったのかな?
「そんなに緊張しないで? 私はただアナタとお話ししながらお昼ご飯を食べたいだけ。
だから一度深呼吸でもして落ち着きましょうか」
そう言って彼女は僕の背中を優しく撫でてくれた。
彼女の声と手つきはとても優しかった。
おかげで僕は少しずつ落ち着きを取り戻すことができた。

「ふう……」
深呼吸を繰り返し、なんとか落ち着きを取り戻した。
胸のドキドキは収まらなかったけど……
「あの……もう大丈夫です。ありがとうございました」
「そう、良かった。じゃあまずは自己紹介からね。
私の名前は月島 姫(つきしま ひめ)、2年生よ。よろしくね?」
「あ……えっと僕の名前は塚本 真って言います。一年生です。よ、よろしくお願いします月島先輩」
「私の事は気軽にヒメと呼んでちょうだい? 
その代わり私もアナタをマコトって呼ばせてもらうわ」
「えっ、でも……」
「ダーメ♪ 先輩の言うことは素直に聞くものだぞー、後輩クン♪」
「じ、じゃあヒメ先輩……で……」
「うーん、まだちょっと固い感じだけどとりあえずそれで良いわ。改めてこれからもよろしくね、マコト」
「こ、こちらこそよろしく……お願いします、ヒメ先輩……」
そういう所が固いって言うんだぞー、等と言いつつ僕の頬をつついてくるヒメ先輩。

ああ、駄目だ……
先輩の色々な表情を見るたびに、胸が高鳴る。
優しくて母性的なところとか、以外とお茶目な一面とか……
先輩の一挙手一投足から目が離せない。
これってやっぱり……恋、
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