俺とイヴが出会ったあの年。
あれから十年の月日が流れた。
イヴがテンタクルという魔物娘に成長した日に、俺もインキュバスとなっていた。触手植物状態のイヴも多少の魔力を持っていたみたいで、魔物娘に変わったのと同時に俺もインキュバスに引き上げられたらしい。
だから、あれだけ激しい交わりをした後でも全然平気だった。お互いどっちのものかわからないほどの粘液や汁塗れになったが、感じるのは充足感と多幸感のみ。
「はぁ、すごかった……次はどんな感じでする?」
「次はここを犯してくれませんか? ご主人様の太くて硬いオチンポでオナホのように」
「……どこでオナホなんて言葉覚えたの?」
「内緒です♪」
なんて一緒に寝ながらもう次のセックス内容について話し合うくらいだったからな。
満足感はある。だけど、好きな人ともっとシたい。そんな飽くなき快楽を一緒に求め合う。それが魔物なんだと知った。
本当にイヴと結ばれて良かったと、過去のことを思い出しては何度も思う。あのとき、種を育てずに捨ててしまっていたらと思うと……いや考えたくもないな。
何はともあれ、あれから十年ほど。俺とイヴはいまも一緒にいる。取り巻く環境はかなり激変したけれど。
まず、魔物娘の存在が世の中に完全に認知された。
大規模術式とやらひとまずは成功したものの、掛かり切らなかった者もいたらしい。それに影響されてか、改変された記憶を取り戻す者も現れたそうだ。
だけど、混乱はほとんど起きなかった。もうすでに魔物娘は浸透しきり、その存在がどれほど有益か否が応でも知ってしまっていたのだ。俺みたいに。
綺麗だし、器量よしだし、最高のお嫁さんだ。女の人だって人間の頃よりも遥かに美人になれて、好きな人と結ばれやすくなる。
さらには根本的な魔力の性質のおかげで世界の貧困は減少しつつあるそうだ。というかアンデッドの魔物娘もいるので、既存の死生観が完璧に崩されていた。そうでなくとも色々と世界規模で根回ししていたそうなので、混乱は起きなかった。
俺たちとしてはもう隠れてこそこそする必要がなくなったので諸手を挙げて喜んだ。
実は母さんがサキュバスになっていたことが、イヴが魔物娘になってすぐ判明したので、家ではすでに声を出しまくりのセックスになってたけど。
どうやら以前飲ませてあげた蜜。あれに魔力が含まれていたため、サキュバスになってしまっていたそうだ。夜よく出かけていたのもラブホテルに行くためだったかららしい。大人は狡い。
そんなこんなで俺とイヴの周りの環境も変わって過ごしやすくなった。周りの目を気にせずたっぷりとデートとセックスを楽しむことができるようになったのが一番大きい変化だろう。
一応、高校は出たけど、進学はせずそのままキサラギの伝手で魔物娘の経営する会社でしばらく働いた。そして二年ほど前に結婚式を挙げると同時に退職し、俺とイヴはいまある公園にいる。
『触手の森公園』
そう名付けられたこの公園は、俺とイヴが初めて一緒に出掛けたあの寂れた公園だった。
そこはいま、イヴの前身であるテンタクル・ブレインやその他多種多様な触手が生息する日本初の触手の森となっている。
鬱蒼とした木々と見紛う大きな触手が蠢いていて、少し中に入ればもう陽の光もほとんど届かない妖しげで淫靡な魔力の光が灯る世界となる。
ここは俺とイヴが様々な人に協力してもらって作った森だ。
最初の提案はイヴ。あちらの世界にある本場の触手の森をこちらにも作りたい、自分のように他の触手の娘たちにも、最愛の人を見つけて欲しいという想いからだった。
なかなか突拍子もない提案だったけど、俺とイヴのように他の娘たちも良い出会いをして欲しいという想いは同じだった。
でもやはり難しいかと思ったけど、とりあえずは予算も考えずにイヴの構想に色々と肉付けして、やりたいことできそうなことを練ってみた。企画の方向性は触手との恋愛。
で、刑部狸のキサラギに相談してみたら速攻面白いと言われて、援助を申し出てくれた。
「資金面とかで援助する代わりなんすけど、お二人に公園の維持管理をお願いしたいっす。二人はテンタクル・ブレインと男性のカップルの理想みたいなものっすから。見本になってくださいっす」
そうして仕事を続ける傍ら、キサラギの援助を受けて寂れた公園の土地を買い取り開拓。図鑑世界から持ち込んだものや、こちらで育てた触手植物たちを公園に植え、彼女たちの生息域敷地いっぱいに広げることにした。
開拓の最中、魔力に影響されて色々な魔物娘が生まれたりと、なかなか面白い経験ができた。ドリアードなんかは森の精とやらが魔物娘化した存在だとか。こっちの世界にもそういう不思議な存在はいたということらしい。
そうして彼女たちには開拓時のみならずいまで
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