無事仲直りして数日が過ぎた。
朝の「おはよう」はキスに変わって、「行ってきます」もキスに変わって、「ただいま」は言うけど同時にキスをして、「おやすみ」はキスに変わった。
俺とイヴの関係は、もう単なる同居人じゃなくなっていた。
恋人、みたいなもの。
きっと変だと思われるだろう。俺だって変だと思う。
だってイヴは植物だ。それも他に類を見ない奇妙な植物。
身体を自在に動かせるし、意思疎通できるし、俺の唾液が好きだったりするし。
でも可愛い。
うねりうねりと蔓をくねらせる姿はとても女性的でちょっぴりエッチな可愛さがあるし。
ちょっと嬉しいことがあるときゅうって手や腕に蔓を絡めて来て愛らしいし。
蔦や葉、蕾なんかをいっぱい撫でてやるともう我慢できないって感じでキスしてきてたっぷり蜜を飲ませてくれるし。
会話はできないけれど、それ以上に態度で示してくれるから一緒にいて全然苦にならない。
人間じゃなくても、この関係がおかしいのだとしても、迷わず言える。
俺は、イヴが好きだ。
俺の手に蔓を絡めて寄り添ってくるイヴが大好きだ。
だから俺の最近の異変はきっとイヴのせいだ。
「はぁ……」
イヴのことを意識し始めてもう何日も経つ。
溜まっていた。
健全な男子高校生なら誰もが持つ欲求が溜まっていた。
オナニー欲もとい性欲。家にいる間ほぼずっと、ペニスが大きくなってしまっていた。
この数日は特に顕著で勉強もゲームも身に入らないし、イヴとキスしようものならそれだけで暴発しそうなくらい溜まっていた。
トイレで様子を見ればいつもより一回り、いや二回りは大きくなって皮も半分以上剥けかている。ちょっと触れば敏感な部分が丸出しになってしまってなかなか辛い。
特にイヴと一緒にいるときはきつい。普通に会話していてもイヴの甘い香りについ朦朧としてしまいそうになる。
イヴのことを女の子として見ているからだろうか。恋人として想っているからだろうか。人間ではなく、植物のイヴに俺は興奮していた。
そのことを自覚してしまえばもう我慢できなかった。
イヴの蕾の口に、俺の、この大きくなったモノを挿入したらどれだけ気持ちいいかとつい考えてしまう。
「あぁ、イヴ」
オナニーしたい。トイレで発散させようかと思いもしたけれど、どうせするなら。気持ちよくなるなら、イヴと……。
「ちょっと稔。いつまでトイレに入ってるの」
「!? な、なに?」
「何慌ててんのよ。ちょっとお母さん、お父さんと一緒に出掛けるから帰り遅くなるけれど、ご飯は鍋にカレーあるからそれ食べなさいね」
「え、いきなり?」
まさかの事態だった。母さんと父さんが家からいなくなる。つまり家には俺とイヴの二人っきり。
「多分、帰ってくるの深夜回ると思うからちゃんと電気消して鍵も閉めておきなさいよ。それじゃあね」
と言って母さんは父さんと出かけてしまった。どこへ行くのかは結局聞けなかったが、そんなことよりも。
「イヴと二人っきり」
俺は居ても立ってもいられず、イヴのいる自室に戻った。
イヴはいつも通り、うねりうねりとしながら鉢植えにいた。
身体も全体的に大きくなっており、蔓の細い部分と太い部分の差がより明確に出るようになった。蕾も数を増やして七本ある。俺の唾液を与えたおかげ、だったらいいな。
俺はベッドに腰かける。イヴがすぐにこっちに寄って来て、頬にキスをしてくる。いまから唇同士のキスをしようというイヴのおねだりだ。
いますぐにでもイヴとたっぷり舌を絡めたキスをしたいと思ったが、それ以上の欲求が下半身に集まっていた。
俺は深呼吸して、イヴの甘い香りを肺に溜めて彼女を見つめる。
いつもと違う俺にイヴもちょっと戸惑ったみたいで、俺の前で蕾の動きを止めた。
「イ、イヴ。その、俺たち、こい、恋人、ってこと、でいいのかな」
ド直球にお願いすることのできないヘタレな俺は外堀から埋めるような形で尋ねてしまう。
『…………♪』
でもイヴは嬉しそうに俺の腕に蔓を絡めて肯定の意を示してくれた。
「お、俺さ。イヴのこと、好きなんだ。その、人として、じゃなくてっ、植物だとか同居人だとかじゃなくて、一人の女の子として俺とは違う生き物だけど、イヴのことが好きなんだ」
好きという言葉に反応して腕をきゅうっと締め付けてくれる。イヴをよく感じられる優しい締め付けだ。
「だからさ、イヴのことを想ってるとつい俺もさ、お、男だからさ。その、興奮しちゃって……大きくなっちまうんだ」
『…………!』
俺が視線を下ろしてイヴの視線を俺の股間へと向けさせる。ポジションは上手く調整していてよくはわからないだろうけれど、俺のペニスは勃起していた。
「本当は、恋人だからとか、そんな理由でこんなのしちゃいけないんだろ
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