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……観るんじゃなかった。
……なんなのこの世界の人。あんな怖いもの観るなんて馬鹿じゃないの?なんで楽しんでいるの?なんで笑顔だ帰ってるの?馬鹿なの?死ぬの?いや、死にそうなのは私か。
うぅ、危うく漏らしかけた。リリムたるこの私がおしっこを漏らすだなんて、そんなことあってはならないのに。これから先もずっとずっとあるわけない。
はぁ、取り合えず手を洗おう。この国は魔法もないのに水が自動で流れるのね。本当にすごいわ。ウンディーネもいないのに、水も綺麗。冷たい水であんな怖いものは打ち払おう。
――ひぃっ!
わた、わ、私の後ろに幽霊が!前髪の長いお化けが!
…………ってあなた、魔物娘ね。もうびっくりした。
というか、ここで同じ魔物娘に会えるなんて珍しいわね。あなたは姉さんに連れてこられたのかしら?
んん?どうかしたの?
私に相談?いいわよ、なんでも話して。
うんうん、そうなの。気になる男の子がいるんだ?
でもガードが固いと。夢を見せようにも家に入れないと。
うーん、そうねぇ。あ、じゃあ、搦め手を使ったらどうかしら?
例えばそのターゲットの近しい人に近づいて、その人に手伝ってもらうの。どう?できそう?
ええ。その意気よ。頑張って。未来の旦那さんをゲットするのよ!
ん?まだ不安?自分のことだけを見てくれるかわからないって?誰にも触らせたくないって?
なかなか独占欲強いのね。でも、それでこそだわ。あなたこそ魔物娘のカガミ!
……そうね。それじゃあ、すごく怖い目にあわせるっていうのはどうかしら?限界まで怖い思いをさせて、その後で安心させるの。そしたら怖かった分だけ、安心しちゃって、そこに快楽を与えてあげたらあなたナシじゃいられなくなっちゃうかも。
うん。やってみる?よし、頑張れ!
上手く行ったら教えて。相談事もいつでも乗るから連絡してね。それじゃあ。
上手くいくといいなぁ。旦那さんとのラブラブ性活かぁ。早く私も素敵な旦那さんを見つけてニャンニャンしたいなぁ。
さてと。今日はもう寝ようかな。色々あって疲れたし。んー、あっちの世界もいいけど、やっぱり魔界城の自分の部屋が一番よねー。安心するわ。それじゃあ、おやすみー。スピカも早く寝なさいよー。
★★★
どこなの、ここ。霧がかかって。私、部屋で寝てたはずなのに。
っ!?な、なんなのアンタたち!血をが出てるわよ!?
ひっ、皮膚が腐って……。
やだ、こっち来ないで!いや、あっち行ってよ!
これ以上近づくと魔法で吹き飛ばすわよ!
くっ!このぉっ!
っ!?なんで!?なんで魔法使えないの!?なんで魔法が出ないのよ!
だったら空に!
あっ……飛べない。どうして……。
ひっ!いやぁ、来ないでぇ!
はぁ、はぁはぁ、ぅくっ!
なんでよ!なんでどこに行っても化け物がいるの!?
だ、誰かぁ!
それにこの町はどこなの。霧も濃くなってきて。
っ!しまった。行き止まりだわ。
あ、あああ、そんな囲まれて……。
やだ、やだやだやだ。来ないでぇ……こっちに来ないで!
ひぃ、やだぁ、ああ、触らないで、汚い手で触らないで!痛い痛い!
誰か助けてっ!
スピカ!
ママ!
イヤァァァァァァァァァァァ!!
★★★
はっ!?
……ゆ、夢?
夢、だったのね……。
は、はぁ……助かったぁ。
良かったわ、夢で。
ホントよかっ、……?
……あれ、なんか股の辺りがひんやりするような……。
……。
…………。
………………。
……………………。
これも夢に違いない。
そうだ。絶対に夢だ。
夢なら早く覚めないと。
だから寝よう。
今すぐ寝よう。
目を覚まそう。
……。
リリムの誇りにかけて誓う。
私はお漏らしなどしていない。
……して、いな、い。……グスッ。
[漏]
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