蛇足

「あ……んん、ふぅん……んっ!」

魔王城の一室。ベッドやタンスなど以外特になにもない豪奢ではあるけど殺風景な部屋。ここはリリアナこと私の寝室だった。
私は今、天蓋つきのキングサイズベッドに寝転がってオナニーに耽っている。公開オナニーとかの趣味はないし、彼氏も残念ながらいないので普通のオナニーなのだ。うん。普通のオナニー。他人の情事を見ながらやるという、あっちの世界ではごくごく一般的なオナニーよ。

「眼福眼福……んんっ!」

左手でクリトリスをくりくりと弄くりながら、右手でオマンコを擦る。擦りあげるごとに気分が高まっていく。もういつでもイケそうだ。
向こうもいい感じにやってるわね。

私が見ているのは、ベッドの向かいの壁。私はそこに水の魔法による幕を張っている。そこに光と空間の応用魔法をかけて、式の見ている映像を映し出しているのだ。あっちの世界で言うところの《監視カメラ》みたいなものかしらね。本人の許可は貰ってるから構わないのよ。

「んんーっ!」

お風呂場で瞳ちゃんがクンニさせてる。
愛しの彼氏さん(まだ彼氏ではないか)にオマンコを啜ってもらっているのだ。
ああ、羨ましい……。
私も、舐めてもらいたいなぁ。

あ、瞳ちゃん震えてる。イクんだ。彼氏さんにクンニされて、イッちゃうんだ。
私も。

「んっふ……ふふぅんんん……あ、ん……」

瞳ちゃんと一緒に。私も。

オマンコを擦るスピードを速め、クリトリスの皮を剥く。

『ああ、ああああああ!』

瞳ちゃんの絶叫。
それを聞いて、私はびんびんに勃ったクリトリスをつまみ潰した。

「ああああぁぁぁぁぁ!」

瞳ちゃんと一緒に私の悲鳴が、寝室に共鳴して響く。

視界を真っ白に塗り潰すほどの快楽が私の全身を襲いかかり、

「ああん、あぁぁ、出て、るぅぅ……」

チョロチョロチョロチョロチョロ……。

私のオマンコにある尿道から黄金水が、じんわりと漏れ出てきた。
この瞬間が私にとって一番気持ちいい時間。全身が幸福に包まれて、なにもかも忘れ去ることができるのだ。

「あ、はあぁ……ベッド汚れちゃうぅぅ」

またスピカに怒られるわね。でも仕方ない。だってリリムだもの。オナニーしてお漏らしなんてアリアリ。

うーん、眠くなってきたなぁ。
まあ、誰も部屋に入るなとは言ってあるし、このまま寝ちゃおうかしら。お漏らしした気持ちよさのまま寝るのも、うん、悪くない。

彼らももうこれ以上のことはしないようだし、寝ちゃいましょう。仮にあったとしても、録画はしてあるのだ。あとで見ればいい。

おやすみー。




パチンッパチンッパチンッパチンッパチンッ!!

「……んん?」

小刻みいい軽快な音。これはなにかを叩く音。ビンタかな?

目を開ける。
水幕に移る映像は驚愕の状況にあった。

『なにをして、るの?ねえ、なにを?ねえ、ねえ、ねえ、ねえ』

パチンッパチンッパチンッパチンッパチンッパチンッパチンッ!!

瞳ちゃんが、黒髪のサキュバスの娘を何度も何度もビンタしている場面だった。
サキュバスの娘は頬を真っ赤に腫らし、涙目になって、やめてやめてと目で懇願していた。しかし、どこも拘束されている様子はない。なのに、一歩たりとも逃げようとはせず、ビンタを甘んじて受けている。

「瞳、ちゃん」

そこには、瞳ちゃんと彼氏さんとサキュバスの娘がいる。そして、窓ガラスが割れていた。彼氏さんは下半身は脱いでおり、サキュバスの娘も半裸。この家には結界を張っていたはずだから。
つまりは、サキュバスの娘が彼氏さんに襲いかかったってこと?
そして、それに怒った瞳ちゃんがサキュバスの娘に制裁を加えているってこと?

でも、あれは。

『許さない』

この粘っこい、重々しい空気は。

『一生、固まってて』

サキュバスの娘の顔が恐怖に歪み、そのまま石像と化した。そうだ。瞳ちゃんはメドゥーサだ。身動きを取れなくすることも、石にすることも造作もない。そして、ゴミでも捨てるようにサキュバスの石像を窓へと投げ捨ててしまった。

だけど、それで終わりじゃない。
終わるわけがない。

今の瞳ちゃんは、危険だ。
見えてない。周りを、彼氏さんを見れてない。

『どんな女も寄せ付けない。龍郎は私だけのもの。誰もあの女もお母さんにもだって、龍郎を渡さないんだから。龍郎は龍郎は私だけのもの。龍郎龍郎龍郎龍郎龍郎龍郎龍郎龍郎』

あの娘に今あるのは、彼氏さんをモノにしたい所有欲だけだ。

瞳ちゃんが彼氏さんを眼で固める。しかも、あれは、私が教えた特性強化の魔法も使っている。
ダメだよ、今使っちゃ!
そのやり方じゃ、幸せになんてなれない!
苦しみに目を逸らしてのセックスじゃ、気持ちよくなんてなれない!
悲しいだけよ。

「なんとか、しないと…………ス
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