瞳に監禁されて、三日と経った。
俺が解放される兆しはなく、毎日勉強を教えてもらう日々だった。
その中で、色々と卑猥なことをされたりもしたが、本番までもつれ込むようなことはなかった。
正直、俺が理性を保てていることに素直に拍手を送りたい。瞳の裸体や情欲をそそる行動によく耐えられたものだ。とは言え、俺の理性は薄氷一枚で支えられているようなもの。もし、瞳に誘われたら耐えきれるかどうか。
襲いかからないという自信は、全くない。
日中は瞳は学校に行っているので、俺は無人の家に一人きりだ。トイレ等もあるため首輪は解除してくれている。しかし、首輪に込めた魔術と同様のものが外への鍵に掛けられているらしく、俺は外には出られない。
なんせ、暇だ。俺は一人きりで暇を持て余し、テレビを見るか本を読むかしかないが、それも飽きた。昼ご飯は瞳の作りおきがあるから問題ないが、暇はどうしようもない。なにもしないでいいのは楽だけど、一人だとかなり寂しいぞ。
せめて瞳がいてくれたら。
と俺は、俺を暇にさせている元凶を求めている。苦笑するしかない。
「瞳もなんでこんなことを……」
さっぱりだ。何度聞いても教えてくれないし。
魔物娘化した理由も全然教えてくれない。頑なに口を閉じて、俺が折れるしかなかった。
もし、仮に。仮に瞳が俺のことを好きだとして。
「……」
自分で言っていて恥ずかしい。けど考えるのはやめない。少しでも瞳のことを知りたい。
なんで魔物娘化したんだ。
本当に好きだとしたら、瞳は俺に襲いかかって無理矢理にでもセックスをするはずだ。魔物娘とはそういう存在じゃなかっただろうか。これと決めた人を徹底的に愛しまぐわう存在じゃなかっただろうか。
でも、瞳はそんなことをしない。いや、普通じゃ考えられないエッチなことはしてくるけど。恋人でもここまでやらんだろ、っていうくらいのことはしてきてるけど。
それでも、俺を無理矢理犯すということはしてこないんだよな。
魔物娘はその辺りの自制は効くものなのだろうか。
いや、もしかして。
瞳は別に俺をどうこう思っていないかもしれない。好きとか嫌いとか関係なくて、ただ幼馴染みとして魔物娘として遊んでいるだけなのかもしれない。
だとしたらすごい恥ずかしいな、俺。
こうして、やきもきしてるのが滑稽にしか見えない。
でも普通なら、幼馴染みだからといってここまでしないよな。それは魔物娘だからすることの幅が広がっていることなのか。魔物娘博士でもあるまいし、この俺にわかるわけないか。
考えれば考えるほどどつぼに嵌まる感じだ。時間はあるとはいえ、これでは答えなど出るとは思えない。瞳とどうなりたいんだよ、俺は。
「瞳、す、す、…………すきやき」
無理無理!言えるか!言わされることはあっても、俺から言えるか!
でもなぁ、この気持ちはな。昔の瞳に対してなのか、今の瞳に対してなのか、それが判然としないんだよな。
だから困る。
口では瞳がどんなになっても気にしないと言った。でも、それが本当に俺の本心なのか俺にはわからない。自分が理解できない。疑わしい。
メドゥーサという魔物娘になった瞳を、俺は本当に受け入れることができるのか。
本当に俺は瞳をまっすぐに見れるのか。
あの眼を見返すことができるのか。
胸を張ってこの気持ちが本心だと言えるのか。
怖い。俺の気持ちが俺の本心ではないと考えると怖い。
憎い。はっきりとしない疑わしい自分が憎い。
俺にもっと素直さがあれば。なまじ理性なんかなくて、もっと本能で、この気持ちに従順であれば。
そうであれば悩むことなんてないのに。
俺は狂おしいほどに胸を掻き毟り、ベッドに寝転がる。寝れば問題が解決するわけでもないのに。
―♪―
異変に気づいたのは、寝返りを打った頃。昼前だろうか。
窓にいた。
怖い怖いお姉さんがいた。
「みぃつけぇた」
闇が象ったような深い黒色のショートカットの髪。それ同じ色の悪魔のような羽。にやりと笑むその顔は、聖職者を堕落せしめんとする娼婦のごとき悪魔の表情だった。
世浪桃花さん。俺の一個上の先輩で、俺に好意を寄せてくれている人物。
その人に俺がここにいるのがバレた。
「学校に来ないからどうしてかと思ったら、こんなところにいたのねえ。風邪で休みなのも嘘ってわけだ」
「世浪さん、どうしてここに」
窓は開いてない。だから小声で言った俺の声は聞こえないと思ったのだが、
「怪しかったからねえ。石神さんが。君が来なくなった翌日から魔物娘に変わってるんだよ?しかも、君と石神さんは幼馴染み。なんかあったと考えるのが普通だよ。とは言え、気づいたのは今さっきだけどね。確証もなかったけど正解でよかったわ」
世浪さんはそう言いながら窓に手をかけようとする。すると、
バ
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