「あぁっ!ちょっ・・・重いっ!重いです先輩!いきなり何なんですかぁ!?!?」
リビングのカーペットの上、ドンッという鈍い音と共に押し倒されたフォリア・クロバが、圧し掛かる僕の重みに悲鳴を上げる。
僕の身体はすでに彼女の上に完全に覆いかぶさり、そして何より重要なことに――僕の両手は、すでに彼女の無防備な脇の下の奥深くへと、深々と差し込まれていた。
「何って、オシオキに決まっているだろう?プリンを3つ食べた・・・こちょこちょして欲しいっていう、君の『ぐら』としての意思表示じゃないか」
僕はクロバを見下ろしながら、冷徹かつ楽しげに宣告する。
視線の先、ローテーブルの上には、無残にも空になった3つのプリンの容器が転がっていた。
「うっ・・・!そ、それは・・・その・・・今日は優しくして欲しいなっていうか・・・!」
「それは都合が良すぎるんじゃないかな?」
「ひゃうっ!?」
言い訳を遮るように、脇の下に埋没させた指先をピクリと動かす。
たったそれだけで、クロバの身体が電流を受けたようにビクンと跳ね、逃れようとジタバタともがき始める。しかし、僕の全体重がかかったマウントポジションは、彼女の華奢な力ではびくともしない。
「さて、クロバ。いつものオシオキタイムだけど・・・今日のルールは一味違うよ」
「え・・・?ルール・・・?」
不穏な空気を感じ取ったのか、クロバが涙目で僕を見上げる。
「いつもなら『30分』とか『笑ったら負け』とか時間を決めるけど、今日は無制限だ」
「む・・・むせいげん・・・?」
「そう。終了条件はただ一つ。君が自力で、上に乗っている僕をどかして脱出すること。それが出来るまで、このこちょこちょ攻撃は永遠に終わらない」
「!??!?!?」
クロバの顔色がサッと青ざめる。
生粋の「ぐり」である僕と、か弱い「ぐら」である彼女。ただでさえ体格差がある上に、くすぐられれば力が入らなくなる彼女にとって、この体勢からの脱出など不可能に近いミッションだ。
「む、無理です!無理無理無理ぃぃぃ!そんなの絶対無理に決まってますぅぅ!」
「おや?諦めるのが早いな。君はクローバースートの優秀な魔法使いだろう?」
僕はニヤリと笑い、脇肉を指の腹でゆっくりと愛でながら提案する。
「魔法を使えば簡単だろう?風魔法で僕を吹き飛ばすなり、身体強化で怪力を出すなり、なんなら精神操作で開放してって命令出来たりすれば・・・すぐに脱出できるじゃないか」
そう。彼女の魔法ならば、僕一人をどかすことなど造作もないはずだ。
しかし、クロバは首をブンブンと激しく横に振って叫んだ。
「だ、だから無理なんですってばぁ!!」
「なんで?」
「先輩のこちょこちょ攻撃を前にして!キチンと魔法の制御なんて出来るわけないじゃないですかぁぁぁ!!詠唱噛むし!集中力切れるし!暴発したらどうするんですかぁぁぁ!!」
「なるほど。まぁ、そんなことだろうとは分かっていたんだけどね?」
「あ・・・あの・・・ちょっと・・・?」
今回のお仕置きに対し、ハナからそう簡単に許しを与えるつもりがないのだという宣言を食らい、クロバが絶句する。
先に言った通り、くすぐられながらでは魔法は使えない。魔法を使わなければ脱出できない。脱出できなければくすぐりは終わらない。完璧な、地獄の無限ループ。そしてもう、自分の脇腹の下には先輩の手がガッチリと食い込んでいるのだから。
「・・・さあ、楽しい楽しい無制限こちょこちょの刑の始まりだ」
「いやぁぁぁっ!ごめんなさいっ!3つ食べたの謝りますからぁぁぁ!!待っ、指っ、動かさないでぇぇぇ!!!」
命乞いは、無慈悲な宣告にかき消された。脇の下の窪みを完全に占拠していた僕の十本の指が、一斉に、そして獰猛に暴れ始める。
こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ
「あっはっはっはっはっ!!んひぃぃぃっ!!わきっ、わきぃぃぃっ!!えぐらないでぇぇぇ!!」
「ほらほら、どかしてみなよ!力を入れないと一生終わらないよ!?」
「ちからっ、入らないぃぃっ!!ぬけるぅぅぅ!!指がっ、奥までっ、あーっはっはっはっはっ!!」
体重による重圧と、脇の下を直接脳髄までかき回されるような強烈なくすぐったさ。
クロバは僕の下で、釣られた魚のようにビチビチと跳ね回るが、それは抵抗ではなくただの身悶えだ。脇を締めようとしても僕の腕が邪魔をして閉じられず、むしろその圧力で指が深く食い込むという悪循環。
「んぐぐっ!くるしっ、くるしいぃぃっ!はげしっ、激しすぎますぅぅ!!」
「無制限だからね、ペース配分なんて考えないよ。最初からクライマックスだ」
こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこ
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