やっぱりお正月と言えば、初笑いだよね

穏やかな元旦の昼下がり。僕らは初詣を済ませ、自宅のこたつで完全にリラックスモードに入っていた。テレビ画面には、特番のお笑い芸人たちが映し出され、賑やかな笑い声がリビングに響いている。僕は座椅子に座るクロバの背後から、彼女をすっぽりと包み込むように抱きしめていた。こたつの温かさと、僕の体温にサンドイッチされたクロバは、猫のように目を細めて脱力しきっている。

「ふふっ・・・あの芸人さん、またあんなこと言ってますよ」

画面の中のボケに対して、クロバがクスクスと上品に笑う。平和だ。あまりにも平和なお正月だ。テーブルの上にはみかんとお茶。そして、いつもの「空になったプリンの容器」は・・・ない。

そう、今日のクロバは何も悪くない。ただ純粋に、お正月を満喫しているだけだ。

だが。僕の中で、ふつふつと湧き上がる衝動があった。それは「ぐり」としての本能。そして、新年の縁起を担ぎたいというちょっぴり歪んだ使命感である。

「ねぇ、クロバ」

「ん・・・なんですかぁ?先輩」

彼女は完全に油断している。その証拠に、彼女が着ているモコモコの部屋着のセーターは少し大きめで、僕が腕を回しているせいで襟元が緩み、そして・・・袖口からは無防備な脇へのルートが開通していた。こんなのこちょこちょして下さいと言っているも同然な無防備さである。

「お正月といえば『初笑い』だよね」

「はい、そうですね。今テレビ見て笑ってるじゃないですか」

「うーん・・・でもさ、それは『テレビを見ての笑い』であって、クロバ自身の心と身体の底から湧き上がる『本気の笑い』じゃないと思うんだ」

「・・・はぇ?ちょっといってる意味が・・・」

クロバが首を傾げた、その瞬間。僕は彼女の腰に回していた両手を、素早く、かつ滑らかに脇の下へとスライドさせた。

「やっぱ、こういうのは縁起物だからね。思いっきり、初笑いしておこうか」

「えっ・・・?!ちょっ、待っ・・・!?」

ぐむにゅっ!

僕の両手は、モコモコのセーターの裾と袖口から同時に侵入し、クロバの無防備な脇の下をガッチリと捉えた。

「ひゃうっ!?!?!?」

「あけまして、こちょこちょおめでとう!」

「なっ、なんでですかぁぁぁ!?ぷ、プリン食べてない!何もしてない!お正月そうそう何をするんですかぁぁぁ!?」

クロバが素っ頓狂な声を上げて身をよじるが、背後からの抱擁は完璧なロック技となってクロバの動きを封じている。もはや詰み、こちょこちょ攻撃に対し、クロバに打つ手はない。

「何言ってるんだいクロバ。『笑う門には福来る』だよ?今年一年の幸福を願って、僕が君を大爆笑させてあげるという、愛の儀式さ」

「い、意味が違いますぅぅぅ!!それは自然に笑うものであって、強制的に笑わされるものじゃ・・・んひぃっ!?」

問答無用。脇の下に収まった僕の指先が、新春の喜びを表現するかのように軽快に動き始めた。

こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ

んぐふっっ・・・
#10084;んっひっひっひっ
#10084;いっひっひっひっ
#10084;ひはっ
#10084;ふぐっふふふっ
#10084;んっふっふっふっ
#10084;んっひっひっひっ
#10084;」

「おや?意外と耐えるねクロバ」

いきなりの脇攻めに大爆笑するかと思いきや、クロバは歯を食いしばり、顔を真っ赤にして必死に笑い声を押し殺している。くすぐったくないわけがない・・・セーターの下で、僕の指は彼女の最も敏感な脇の窪みを撫で回し、柔らかな脇肉に対して指先をぐにゅむにゅと食い込ませているのだから。

「ま、負ける、もんですか・・・っ!お正月から、先輩の思い通りには・・・んぐぐっ!んっひっひっひっ
#10084;」

「すごいすごい!くすぐったいだろうによくもまぁ我慢出来てる!偉いよクロバ!」

「そ、そんな褒めなくていいですからっ!んっふっふっふっ
#10084;こちょこちょするのやめてっ・・・んひはっ
#10084;」

僕の指先が、脇の下を捏ねるようにくすぐるたび、クロバの喉から奇妙な音が漏れる。彼女は必死に「上品な初笑い」を守ろうとしているのか、それとも単に「ぐら」としての変な意地が出ているのか。

「いっひっひっひっ
#10084;ふぐっふふふっ
#10084;んっふっふっふっ
#10084;く、くすぐったく・・・ないです・・・っ!んっひっひっひっ
#10084;」

「嘘おっしゃいな、ビクンビクン震えてるし、声だって随分とくすぐったそうにしてるじゃないか」

「気のせいです・・・っ!これは武者震い・・・んひっ
#10084;ふぐっ
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