愛しい彼女と学園祭と射精我慢ゲーム

季節は秋の中頃、自分の通う学園では魔物娘と融和を果たした記念日に二日間の学園祭が開催される。小中高と大学まで併設されている超巨大な学園のお祭り、その規模や人気は伊達ではない。近所の住民だけでなくこの学園祭を目当てに遠方から多数の人がやってくるのだ。
人が増えるということは出会いが増えるということ。いまだパートナー募集中の魔物娘たちも色めきあう一大イベントであり、毎年学園祭で生まれたカップルたちもたくさんいるわけで。その学園祭で愛しのダーリンをゲットするために・・・出し物は何をするか・・・やいのやいの白熱する議論を自分は欠伸を噛み殺しながら聞き流していた。

自分も独り身であればあの議論の輪に飛び込んでワンチャンスでもなんでもいいから彼女が欲しいと必死にもなっているのだろうが・・・早く議論が終わらないかな、と眠い目をこする余裕がある。
それもそのはず、自分自身にはそんじょそこらの幸運どころではなく人生の幸運3週分くらいをつぎ込んでなお一度あるかどうかの奇跡の元に。

自分にはフォリア・クロバという恋人がいるのだから。

学園祭の出し物は進行委員会の元に集計されて採用されたものが後に発表、コアメンバーの任命の後にその他のスタッフメンバーを募集、要は気に入った出し物に自由参加である・・・というルールなのだが。自分のクラスの出し物・・・まだ決まらないのだ。早く帰ってクロバとイチャイチャしたい・・・。


「という訳で2日目のメイド喫茶の裏方手伝いになったから1日目ならフリーだから手伝えるよ?」
「わかりました、私も2日目はメイド喫茶の手伝いに申請しますから1日目に私たちの出し物・・・トランパートのおまじない屋さん手伝ってくださいね!先輩!!」

ようやく会議が終わった放課後、電話越しにそう報告するとクロバがウキウキ嬉しそうにしているさまが目に浮かんだ。
しかし、おまじない屋さんの手伝いとは何だろうか?受付係かな?学園はお祭りに向けて忙しそうに準備に追われる若者でにぎやかだった。

そして学園祭一日目の日。カラりと晴れ渡った秋空の元学園長が開催の宣言、学園入り口のゲートが開かれて大勢の人々がやってきたのだった。

キキーモラのメイド喫茶やホルスタウロスの乳絞り体験、サンダーバードの電気あんま、キャンサーのソープ屋さん、魔物娘がその種族性を活かした出し物が目白押し。

その中でもひときわ大盛況なのがトランパートのおまじない屋さん。ここの恋愛成就のおまじないは凄く効果があると評判が高く、パートナーのいない魔物娘にとっては願掛けにもってこいな大人気スポットなのだ。
それに輪をかけて人気の出た理由はクロバの発現させたラッキースケベ率極大上昇魔法。パートナーのいない男子達の・・・年頃の男子には美少女揃いの魔物娘にラッキースケベなことがしたいという当然の欲望の元、クロバの対応列は長蛇の列になったのだった。

「整理券です、呼ばれて返事がなくても2回までなら呼び出します、それ以上は無効の整理券になってしましますから気を付けてくださいね」

ひっきりなく来るお客さんをさばきつつ部屋の中を見ると一人ひとりに魔法をかけていてはキリがなかったクロバは部屋の中に男子達を一列に並べて舞い踊るように魔法を乱れ撃っている。クロバも器用な真似をするもので、絶対に下着までは見せていないようだが、見えそうで見えないスカートに男子達が鼻の下を伸ばしているのが気に食わない・・・。

そんなクロバにワンチャンスを狙って声をかける輩はいない、理由は左手首のピンク色のリストバンド、自分も左手首に同じものを付けている。既にパートナーのいる男女は左手首にピンクのリストバンドを付けるのが学園祭でのしきたり。そのしきたりを破って手を出そうものなら何処からともなく懲罰委員会とか書かれた腕章を腕に巻いたクノイチが現れて不埒物を連れ去ってゆく・・・だから誰も手を出せないのだ。

絶世の美少女を前に指をくわえて立ち去る男子達、さんざん目の保養ができたのだから我慢してほしいものだ。

「お疲れ様です先輩、もう少ししたら今日はもう二人とも上がってよいとのことですよ♪」

忙しく列をさばいていると気が付いたらクロバがやってきた。今まで魔法を乱れ撃ちしていたのだがそんなにヘロヘロになっていなさそうで少し安心する。

「クロバこそお疲れ様」

隣の椅子へと腰かけて身を寄せて嬉しそうにギュッと抱き着いてくるクロバ、右腕に柔らかで幸せなぬくもりが広がる。そして先程クロバのことを諦めきれないように指をくわえていた男子達の妬みの視線が突き刺さる。悪いが、自分の恋人だ。絶対に渡さないからな・・・
なんて正直愉悦感に浸っているといつの間にかクロバが机の下に潜り込んでいるではないか。

(うふふ・・・先輩、射精我慢ゲーム
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