僕とフィーネが足止めを食らっているこの山間の町は、雪を頂く王冠の名前・・・「ウインタークラウン」という。なんでも町の近くにある3つの山が王冠みたいな形をしていて、雪が降る季節になるとそれが真っ白に染まるから、それにあやかってウインタークラウンと名付けられたらしい。
そしてウインタークラウンに臨時で設営された「第9主神教会出張所」にて、僕とフィーネは司祭として日々働くようになって1週間が過ぎようとしていた。そう、1週間も教会として運営してみてハッキリと分かったことがある。
この町の住人はみんな・・・少々ギクシャクしているのだと。理由ははっきりとわかる・・・性欲の欲求不満が原因である。
この町の住人は皆それが分かっていて、それを何とかしたかったのだ。しかし、主神教が深く信仰されているこの町で、内容が内容だけにおいそれと誰かに打ち明けることもできない・・・だから皆、懺悔したかったのだろう。そうでもなければわざわざ高いお金をみんなで出し合って、新しく教会を建てようだなんて思いもしないだろうから。出来たばかりの簡易的な懺悔室は日々満員御礼、僕とフィーネは交代で懺悔担当とそれ以外の業務を分担して日々をこなしている。
そんなあくる日、お昼過ぎて夕方の時間、教会の業務時間が終わろうとしている頃の時である。
「懺悔のお仕事お疲れ様・・・ねえフィーネ、ぶっ続けで申し訳ないけど・・・ちょっと相談したいことがあるんだけど・・・良いかな?」
「うんいいよ・・・っていうか私も相談したいところだった・・・多分私達同じこと考えてるよね?」
懺悔室から退出してゆく最後の1人を見送ってから、フィーネに相談を持ち掛ける。その美しい碧眼が少しだけ困ったように垂れさがっているところを見る限り、懺悔された内容は恐らく主神教を信ずる者にとっては、ある意味でどうにも解決法が見つからないものな訳で・・・
「僕が懺悔されただけでも今日だけで若い男性から5人・・・欲求不満で主神教を信じる意味が分からなくなったって・・・」
「私も同じ・・・新婚夫婦の奥さんが悩んでた・・・夫が日々欲を抑え込んでいるのが見ていて辛いって・・・私達で何か助けになれないかな?」
懺悔の内容は神と神の使いたる聖職者との間だけの秘密・・・これが鉄則ではあるが、それでも僕らはあえて相談し合っている。悩みという物は、ただ誰かに告白するだけでも違うものだが・・・それでも僕らは更にもう一歩・・・みんなのために力になりたかったのだ。
「そもそも主神教自体が禁欲を教えとしているし・・・夫婦で愛し合ってくださいねって提案しようにも、この町のほとんどの人は深く教えを信望していて、子を成すことすらもためらうっていうし・・・」
「そうそう、主神の教えは子種を出す行為すらもダメだってガッチガチに縛っているからなぁ・・・これじゃあ愛し合う2人が我慢するだけになっちゃうからなあ・・・」
若い司祭は2人して悩む。性欲を満たすにはつまるところ・・・愛の営みをするか、自慰行為に耽る必要がある。でもそれは主神の教えに真っ向から相反する行為だから口にするのもおこがましいこと。秘めるべき事だとこの町の住人をきつく縛っている鉄の戒律である。
・・・・・・あれ?なんだかすごい違和感を感じるのは何故だ?
「・・・なんだろう・・・一番いい解決法が喉元まで来てるのに・・・出てこないよエドガー!!!!」
「僕もだよ・・・・・・なんだっけ・・・なんでそもそも僕たちは性欲に困ってないんだっけ・・・主神教会の司祭なのに・・・なんで・・・・・・」
「あーーーーーーーーっっっ!!!!!」
瞬間、2人が顔を見合わせながら、声高らかに天啓が舞い降りる。それは僕らにとってあまりにも日常化していた行為だったからこそ、真っ先に思いつきもしなかった答えであり、この問題を真っ向から解決できる素晴らしく素敵な方法である。
「魔法のオナホールでおちんちんを洗って貰えばいいんだ・・・!この町皆に配ればいいんだ!・・・・・・ってすぐにそんなに用意できるものなのかな?」
「大丈夫!本部には在庫が十分そろってるはずだし、魔法による転送だったらすぐにでもやってくるよ!・・・早速だけどみんなに連絡するね?」
早速フィーネが魔法で第8主神教会と連絡し始めるのを見届けながら、明日の予定を確かめる。ちょうど明日は昼から礼拝の日・・・この町の住民のほとんどが参加するだろうその場において、魔法のオナホールの素晴らしさを説き、そしてみんなへと配ると宣言する・・・そうすれば、皆の欲求不満が完璧な形で解決できるに違いない。
「はい・・・はい・・・!ありがとうございます!ではまた・・・はい・・・私達2人で頑張ります!」
僕が明日の算段を建てたところで、ちょうどフィーネも魔法による
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