大好き❤大好き❤大好きッスよ❤

―――――8月1日、晴れ、15時8分

「ここがカフェテリアの“ミルクレープとカモミール”ッス!略してミルカモ・・・ブレイブハート・アカデミーで唯一の甘味所ッス!」
「へぇ・・・塾なのにカフェテリアまであるんだ・・・」
「我らがブレイブハート・アカデミーにおいて、ここでお茶してゆくのが最高の贅沢って訳ッスね!」

ジョアンヌの手に引かれ、宿舎の係に荷物を預けてから・・・僕はブレイブハート・アカデミーの中をぐるりと1週、武道館やら体育館、教室に図書室に保健室・・・食堂に教員室など、もはや学校かと思うほどの設備の充実さを案内されていた。

そして最後に案内されたのがこのカフェテリア・・・入り口のショーケースに蝋作りの食品サンプルたちが所狭しと並んでいる。コーヒーに紅茶、色とりどり様々な甘味達が目で見て香りすらも感じてしまいそうなほどに、力強く食欲をそそってくる。

こういった場所でジョアンヌと共にお茶をする・・・デートの教科書に書かれた基本中の基本のようなこと、ジョアンヌと共にこのカフェテリアでおしゃべりをしながら・・・僕はコーヒーをダンディに飲んでいる空想をついついしてしまう。が、残念ながらまだまだ僕はその夢見るダンディには程遠いセリフを吐かねばならない・・・誠に世知辛い現実が僕を阻むのがいけないのだ。

「でもジョアンヌ・・・こういう所のメニューって高いんじゃ・・・?大変申し訳ないけど僕にはそんなに持ち合わせが・・・無いんですよね・・・」

なにせこのブレイブハート・アカデミーへの入塾のために僕は貯めに貯めたお金をほとんど使い果たしてしまっている・・・無一文とは言わないが、残額はラーメン一杯とギョーザが付けられるかどうか・・・しか残っていないのだから。奢る奢らない論争は置いておくにしても、寂しい懐事情ははっきりと伝えておくべきだろう。

「大丈夫ッスよ!・・・っていうか大切な物を渡し忘れていたッスねぇ・・・マコトとバディが組めた嬉しさで、ついつい浮かれポンチになってたッスよ・・・ええと・・・はい!コレを受け取ってほしいッス!」

ジョアンヌが懐から渡してきたのは白地にグレーでブレイブハート・アカデミーの塾章が描かれた1枚のカード・・・コンビニのポイントカードのような手のひらサイズのカードである。

「それはYGPポイントカードッス!このブレイブハート・アカデミーではYGPポイントを通貨として支払えば、様々なオプションサービスを受けられるッスよ!」
「YGP・・・ってなに?」
「ユーシャ・ガンバッタ・ポイントの略称ッスよ、ちなみに初回入会ボーナスで一律50万YGPが付与されているッス!大切に使ってゆくッスよ!」
「50万?!?!・・・っていうとどれだけいっぱい貰えてるのかイマイチ分からないんだけど・・・何かいい例えはないの?」
「1ポイントあたりの価値は外の通貨とほぼ同じッス!ジュース1本120YGPッス・・・という訳で改めて、ここでいったんお茶していかないッスか?」

そう微笑みかけながらジョアンヌが小首を傾げてくる。あんまりの可愛らしさに直視できないままコクコクと頷き、カフェテリアの中へ・・・店内は当然ヴァルキリーとそのバディによるの2人組で賑わっており、その中でも特に大柄で目立つ男を・・・その人懐っこい見知った顔を見かけた。

「おお!マコト!こっち来いよ!一緒にお茶しようぜ!」

相も変わらず気やすい奴だと肩をすくめながらも呼ばれるがままに、4人席のちょうど空いていた対岸の席にジョアンヌと座る。コーイチの隣に座っているのは柔らかなミルクティーブラウンに澄んだ水色の瞳が特徴的なヴァルキリー・・・にしても彼女も結構な高身長、コーイチとほとんど変わらない長身の女性だ。彼女もまた、聞くまでもなくコーイチのバディなのだろうが・・・・・・

「初めまして、私はフィオナ・ネフェルト・・・コーイチのバディです」
「こちらこそ初めまして、僕は園崎マコト・・・ジョアンヌのバディです」
「そしてフィオナは私と昔からのマブダチッス!マコトとコーイチもマブダチッスか?」
「おうともよ!袖振り合ったら誰でもマブダチ!それが俺の信念よぉ!」

ガハハと豪快に笑うコーイチ・・・まだ僕はマブダチだなんて認めたつもりはないのだが・・・まぁ今更になって否定するのもなんだかなと飲み込むことにする。

「ちょうど私達も席に着いたばかりなのです・・・ジョアンヌは何時ものだよね?」
「虜の果実山盛りパンケーキ!やっぱこれを食べないとダメッス!マコトも覚えてて欲しいッス!私の大好物ッスよ!」
「で、私はスペシャルジャンボクリームパフェ・・・私はこれが大好物ですからね、コーイチ?」
「おうよ!覚えたぜフィオナ!・・・で、俺たちは何を食おうかマコト・・・俺・・・こういうの
[3]次へ
ページ移動[1 2 3 4 5 6 7]
[7]TOP [9]目次
[0]投票 [*]感想[#]メール登録
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33