Tips・・・グラン・フォグリア王国
年中を通して濃ゆく霧が煙る山間部の中央に築かれた王国で、城下は堅牢な城塞都市、上層部は貴族や教団幹部たちの住まう煌びやかな街となっている。
主神教団の権力が国の政治にまでも強く影響しており、魔王を討つための勇者を養成し、祝福を授けて送り出すことを最重要の国策として取り組んでいる。レスカティエが陥落してから、長く勇者輩出量第一位であることを誉としているが、勇者育成のための資金源は国民に課せられる重い税によって賄われているのが実情である。
元は旅人だったハロルドがこの王国を訪れた折、路銀を稼ぐために傭兵として兵士の仕事をこなしてゆくうちにその実力を買われ、勇者として祝福を授かることになったことが、この物語の全ての始まりだった。
なお、勇者の剣を返却する旅の最終目的地である。
Tips・・・淫魔の大号令
力あるリリム、または魔物娘によって発令される他に類を見ない大規模なお婿さん探しの号令。
大抵の場合、号令の発令先は反魔物領の国であり、ひとたびこの号令の矛先となった国は抵抗むなしく、すべからく陥落してしまう。
当初は反魔物領だった国は魔物娘の勢力下に飲み込まれ、あっという間に国中の独身男性は皆等しく伴侶と結ばれて幸せに暮らすようになる。
反魔物領だったことなど皆すべて忘れ、目の前の愛しき伴侶へと夢中になってしまうのだ。
――――――――――――――――――――
満月の夜まであと1週間。グラン・フォグリア王国まで地図上では後1日という王国直近の町、夕暮れ空の時間帯にフォグレイブの町へとハロルドとミシェーラは立ち寄っていた。
―――――おっと旅人さん!号外の新聞をどうぞ!
野宿よりも宿をとフォグレイブへと立ち寄った2人に、町の入口で渡された号外の新聞・・・その新聞には非常に・・・とても・・・きな臭い記事が書かれていた。
「・・・ミシェーラ、この記事は一体何なのだろうか?」
「ええ、本当に・・・何なのでしょうね?」
―――――号外!勇者ハロルド・カーライル!遂に魔王を討ち取る!来る次の満月の日にて、戦勝祝賀式典を開催!
グラン・フォグリア国営新聞社から発行された号外新聞の大見出し・・・そこには“魔王を討ちとった”と大きな文字で書かれている。さらには見出し1面に大きく刷り出されているのは、勇者の剣を構えた勇ましい姿のハロルドの写真だった。この写真には覚えがある。魔王を討つ旅へと出立する前に、勇者の剣を構えた姿を記念に1枚撮っておきたいとか・・・教団が願い出てきた写真である。
つまり記事の内容はともかくとして、この号外新聞に写し刷られているのがハロルド・カーライル本人であることは明らかだった。
「これは私の女の勘なのですが、魔王はまだ討たれていないかと思います・・・真っ赤な嘘っぱちの記事ですね」
「ははは・・・何から何まで・・・きな臭さしか感じない」
やれやれと肩を落とすハロルド。ミシェーラは号外の新聞を丁寧に折り畳み、懐へとしまい込んだ。
「はぁ・・・全く勘弁してくれよ・・・厄介事の匂いしかしないじゃないか」
全く・・・教団へ勇者の剣を返却した後に、ミシェーラとグラン・フォグリアを観光してからユメハツカへと帰るつもりだったのに。予想外の陰謀の予感にハロルドはため息が止まらない。
「このまま無策でグラン・フォグリアへと辿り着けば、どうなるのか分かったものではありませんね」
「そうだな・・・とにかく情報を集めよう、ひとまずは宿を取って、酒場で情報屋に当たってみよう」
フォグレイブの宿屋は町の入口付近からも見える近場にあるようだ。気を取り直して宿へと歩こうとするハロルドの袖口を、クイクイとミシェーラが引っ張った。
「ハロルド様、大丈夫?おっぱい揉む?」
「っっと、ミシェーラいきなり魅力的な事を言わないで欲しいな?」
ミシェーラが真面目な顔つきで自らの豊満な胸元を両腕で持ち上げるように、軽く上下に揺さぶってみせる。たぷんむにゅんと魅惑的に揺れ動くその乳房・・・その柔らかさは手で揉み込んで恍惚、ペニスが挟まれて放蕩、毎日たっぷりと味わった事のある至福の柔らかさである。
「ハロルド様ったら先程からため息をたくさん着いてらっしゃいましたから・・・そんな時は、おっぱいを揉むと殿方は元気になるのだとか?」
「ありがとうミシェーラ・・・あぁ、もちろんおっぱい揉む、でも酒場で情報を聞いてからな?」
「うふふ・・・そうですね・・・今夜は久しぶりにこの胸を以て、たっぷりと貴方を甘く癒して差し上げましょう」
見上げるようにしながら胸元を揺さぶり、ゾクりとするほどの色気を持った流し目がハロルドに向けられた。予告甘やかしパイズリ・・・その甘美なる響きがハロルドの自制心に多大な
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