―――――たとえ神や世界を敵に回しても僕はフィーネと共に添い遂げる・・・その覚悟だった。
―――――大切な人、愛しい人、そのためならばどんな艱難辛苦であろうとも立ち向かって行ける・・・そう思っていた。
そんな僕の悲痛な覚悟は・・・たった数時間でその役目を終えてしまう。だってこの世界は・・・惹かれあうべき者達が必然的に結ばれ、愛する者と愛し合うこと・・・その邪魔をすることは例え神であろうとも成しえない。
―――――魔物娘と結ばれたカップルは・・・ハッピーエンド以外ありえないという世界の法則は決して変わることがないのだから。
―――――――
今朝がたのこと、部屋の扉が不意にノックされて僕ことエドガー・フラテリーは心臓と共にベッドから飛び上がらんばかりに驚き、そして目覚めた。
さぞすっ頓狂な声を上げながら少し待ってくださいと叫び返し、慌てて脱ぎ捨てられた衣服をかき集めながらフィーネを揺さぶり起しにかかる・・・が、この愛しき眠り姫は未だのんきに夢の世界でまどろんでいるようで・・・ひとまず自身の身なりだけを整え、フィーネの分の衣服をベッドの中に押し込むように隠してからようやくドアを開けることが出来たのだった。
「朝早くに申し訳ございません、お客様宛に速達の荷物が届けられましてね」
「え・・・ええ、どうもありがとうございます」
ドアの先には宿の従業員さんが小さな箱を手に持ち待っていた。廊下を見渡す限りその奥に衛兵の姿は見えなかった。
ひとまず荷物を宿屋の従業員さんから受け取って、去ってゆく後姿を見届けてからゆっくりとドアを閉め、鍵をかけなおしてから大きく深呼吸を繰り返す。なにせドアの先に憲兵達が待ち構えていたとしても・・・今の僕にはドアを開けて応対する以外の選択肢などなかったのだから。
「はぁ・・・心臓が飛び出るかと思った・・・」
「飛び出たら私が押し込んであげるよエドガー・・・・むにゃ・・・」
「・・・まったくこの眠り姫様は・・・のんきなことで・・・」
無邪気に寝こけているフィーネの顔を見たら怒る気すらどこかに行ってしまった。気を取り直して届いた荷物を見てみるとなんとあて先は第8主神教会からだった。封を開け、中身を開くとそこには1つの書類と2冊の本が入っている。それらを手に取る前にちょうど愛しの眠り姫がお目覚めになったようで・・・
「ふあぁぁ・・・おはようエドガー・・・むにゃ・・・おはようのキスがまだだよエドガー・・・早くキスしてくれなきゃヤダよ・・・?」
「あはは・・・分かったよフィーネ」
おはようのキスを唇に・・・昨日までの僕らとはお互いの関係が変わってしまったということを今更のように実感する。
昨晩のこと、僕はフィーネとセックスしてしまった。そのこと自体に後悔はないし、その時のことでフィーネは人間ではなくダークプリーストという魔物娘に生まれ変わってしまった。
現役の聖職者があろうことか同じ聖職者と性行為を行ってしまい、挙句の果てには魔の存在と交わってしまったという事実は・・・もう公にバレてしまえば身の破滅どころの騒ぎではない。
僕が助かる道は、フィーネを教団の衛兵に突き出して、すべてをの罪をフィーネに被せることだけだ・・・もちろん、そんな選択は絶対に選ばれることのない選択肢であり・・・僕は主神様を裏切る道を選んだ。
その覚悟をフィーネも受け止めてくれた結果・・・僕とフィーネは誓いを交わし、表立って宣言することこそできないが、夫婦になった訳だ。
――――――――
「ふむふむ・・・永遠に時が止まった世界パンデモニウム・・・行き方は・・・ふむふむ・・・愛する伴侶と永遠にイチャラブし続けたいという思いが我慢しきれなかったり、緊急避難としても使ってよし・・・なるほど・・・なるほど・・・」
届いた荷物の本の一つを真面目な顔付きで書類を読み耽るフィーネ・・・背表紙にはダークプリースト向け基礎魔法書と書いてある。さすがに分厚い本だから先に付箋紙が貼られており、必要最低限の目を通してほしい箇所だとメモまで挟み込まれていた。
たくさんの事が書いてあるから掻い摘んで言うと、主神教団の衛兵達にバレたりして危険が差し迫った時や、もう2人が全てを投げ出してイチャイチャラブラブしたいと我慢ならなくなった時に行く世界・・・永遠に時の止まった世界であるパンデモニウムへの行き方。さらにダークプリーストとしての魔力を隠すための工夫と魔法の指南。その他・・・こっそりとえっちなことをするための認識阻害魔法達だった。
そして1枚の書類には2人で同時に触る事と書かれた何か複雑な模様の押印が押された白紙の紙。貼られた付箋紙には記憶共有術式印、触れると全てが分かるよ!と書いてある。
ワクワクしているフィーネと息を合わせてせーのと同時に触
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