旦那様の誓い、私は幸せ導く明かりとなる

 その日の学校は何時もにも増して騒がしく、そわそわとしていた。

―――――おい聞いたかよ?あの魔物の娘・・・キャンドルガイストってんだっけ?俺らと同じ学年らしいぜ!?
―――――ちょっとその情報は古いな・・・なんとこのクラスへ編入らしいぜ?
―――――まっっじで!?!?うっわ・・・テンション上がってきた!!!
―――――遠目でしか見えなかったけど物凄い可愛かった・・・俺一目ぼれしちゃったかもしれない。

 クラス中で盛り上がる男子とそれを冷ややかな目で見る女子たち・・・僕の平穏な学校生活が終わりを迎える処刑の時、いつも以上に早起きして一番乗りで学校へ登校したした自分の延命処置が終わるとき、コーデリアが紹介されるであろう朝のホームルームを待つ。

「え〜このクラスに新しい仲間が加わることになりました、皆さんもう既に随分と騒ぎになっていたので気が付いているかと思いますがキャンドルガイストという魔物娘のコーデリアさんです・・・どうぞ入って!」

 すっかり白髪になった初老のおじいちゃん先生が簡単な前振りと共にコーデリアへと入室の合図を告げる。ガラリと扉が開かれて教室へと入ってきた絶世の美女を前にクラス中の男子の心が奪われた。

「どうも、はじめまして。キャンドルガイストのコーデリアと申します、どうぞよろしくお願いいたします」

 クラス中の男子の心がコーデリアに捧げられた。心の底から一目ぼれした結果何一つ言葉を発することができなくなって、口をパクパクとさせ続ける男子達とひそひそと小声でめっちゃ美人だとか胸でっか!とか脚長っ!っていうか燭台みたいなのねえとか好き勝手にしゃべっている女子と二分された教室。

「さて、コーデリアさんの席はどこにしようか・・・」
「僭越ながら先生、あの隣の席を私は希望します」
「おぉ、ちょうど開いておる席だね・・・皆もそれで構わんか?」

 指さされた先の席は僕の隣の席・・・以外にも反する声は挙がらずに、コーデリアが隣の席へと座った。その代わりに僕はクラス中の呪詛交じりの視線で串刺しにされながらこちらを無表情ながらに見つめるコーデリアを見て僕は覚悟を決めた。

「ようやく貴方のお傍にいられます、旦那様」

 男子からは呪詛が口から溢れんばかりに飛び出し続けて、女子からは黄色い声できゃあきゃあと盛り上がる声が・・・阿鼻叫喚に教室は包まれた。

「えーと、みんなお静かに・・・次の一限目の私の授業は自習にするから・・・コーデリアさんとも交流を深めておきなさい。それではあんまり騒がないようにね」

 おじいちゃん先生が良かれと思ってか、自習という名の尋問時間をたっぷりともうけて去って行ってしまった。扉がバタンと絞められた瞬間に僕とコーデリアの周りは男女ともに輪になるように囲まれてしまった。やいのやいの一斉に質問を浴びせられてしまうので何が何だかわからないと返すと尋問の様子は記者会見のように進行されることになる。

―――――旦那様・・・と御呼びしましたが、お二人は許嫁か何かの関係でしょうか?
 はい、その認識で間違いありません。僕の口からサッと答えた、コーデリアに言わせると私は旦那様に使っていただいている身の上とかなんとかと言って話がややこしくなるからだ。きゃあきゃあと黄色い声援に呪詛交じりの声がカメラのフラッシュのように僕らへと浴びせられ続けている。

―――――お二人は同棲なさっているのですか?
 はい、そうですが・・・とコーデリアが即答し、女子達が再び歓声を上げる。男子からは呪詛交じりのうめき声が上がる・・・。

―――――もしかして二人とも同じベッドで寝てるとか・・・?
 はい、その通りでございます・・・再び即答されたその答えにクラスの熱狂ぶりは最高潮の物へと変わっていった。それこそ隣のクラスの先生がうるさいぞ!っと注意しに来るくらいには騒がしいクラスはひとまず先生の注意で指し水を受けてクールダウン。その後は当たり障りのない・・・お互いが知り合ったきっかけや、お互いの好きなところ・・・スリーサイズからお姉さまと御呼びしても良いですか!なんてお願いまでもあったりして。自習の時間はあっという間に過ぎ去って、他の午前中の授業も誰一人として身に入っていないのは誰の目から見てもハッキリとしていた。

「旦那様、かなりお疲れのご様子ですね」
「質問責めどころか尋問だったよ・・・」

 二限目以降の授業合間の休み時間の度にも取り囲まれるように質問責めにされ、どうにかこうにか昼休み、少しくらい2人きりになりたいからと追っ手を撒くように弁当を片手に校内中を駆け巡ってやってきたのは今は使われていない旧校舎内の空き教室だった。

 無造作に並べられている机と椅子を並べ合わせた僕らはようやく一息付いて2人分の弁当を広げる・・・手
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