清純スケベ系ケルピーお嬢様

俺の名はフランツ、西へ東へまだ見ぬ秘宝を追い求めるトレジャーハンターを生業にしている。そんな自分がいま追い求めるお宝は・・・涸れ果てた泉でさえもたちまち太湖へと変貌させると言い伝えられる「湧き水のサファイア」と呼ばれる宝石だ。

お宝の居所を示す確かな情報を得られたまではよかったのだが、何と湧き水のサファイアは深い深い湖の水底へと沈んでいるというのだ。さらにその湖というのはこのあたり一面の大水源たる数十か所点在する湖のどれかと来た訳で・・・しらみつぶしに探すにしても途方に暮れていたわけだ。

そうは言っても仕方ない、周辺を探索し疲れた足腰を降ろして残り少なくなった水筒の水をくみ取ろうと湖のほとりを覗き込む。水底は深く見えないが透き通って奇麗な水だ、両の手でひとすくいしてゴクリと飲み込む・・・美味い。

ちょうどこの湖がこの大水源の中心部のようだ。ここを拠点として明日から湖を探索するとしよう。重たいリュックからベースキャンプを設営し終えるころにはすっかり空が赤く夕暮れていた。

ウッドストーブに細く切り落とした枝を数本差し込んで火をつけたらスキレットを上に置く。スキレットが十分に熱しられたら硬い干し肉を放り込む。ジュ――ッと景気の良い食欲をそそる音をBGMにこれまた硬く焼しめられた長いパンをナイフでひと切れ切り分けて肉の隣へと並べる。旅の最中でも食べられるほど保存がきくのが利点だが、このパンも肉も火を通さなければ硬くて食べられたものではないのが玉にキズだ。
比較的柔らかくなった干し肉に塩を振りかけたらパンの上に乗せて、いただきま・・・

「あら、お客様?ごめんなさいね、おまたせしちゃったかしら?」

 お嬢様のような気品にあふれ清純さと無垢さを感じる。ケンタウロスの魔物娘・・・?いや、魚のようなヒレのある長い尻尾が目についた。ここに来る前に酒場のマスターが言っていたこのあたりの大水源に住んでいるというケルピーと呼ばれる魔物娘が彼女なのだろうか。

「私はケルピーのアイラ、もしかして貴方がフランツさん?」
「ああ、俺がフランツだ。もしかしてサテュロスの・・・酒場のマスターに話を聞いた口かい?」
「ええそうよ、貴女にお会いしたかったの。ちょっと待っててね、お買い物してきたもの片付けてくるから」
 
ざぶりと湖へと入ったと思ったらあっという間に姿が見えなくなるほど深く潜っていってしまった。泳ぎの得意な水生の魔物娘・・・彼女ならば湧き水のサファイアのことを何か知っているだろうか。

透き通った水面を眺めながら干し肉と共にパンをかじっていると人影が見えたと思った瞬間ざぶりと彼女が水面から顔を出した。両の手にいい匂いのする小鍋を抱えている。
「私も晩御飯ご一緒してもいいかしら?スープをごちそうするわ」
「お言葉に甘えて、お嬢さん」
 
どういう仕組みかはわからないが一切水に濡れていない鍋を開くといい香りのするコンソメスープが湯気を放った。思わず無言でマグカップを彼女へ手渡し、なみなみとコンソメスープが注がれたカップを返されると香ばしい香りに生唾が口内にあふれる・・・それをごまかすように音をたてないように気を付けながらひと啜り・・・とんでもなく美味い・・・!! 
旅の身の上では硬い保存食ばかりでろくなものを食ってこなかったにせよ、あまりにもおいしすぎる。夢中で硬いパンをスープへ浸して口へと放り込む、あれ程硬かったパンが口の中で勝手にほどける感触に恍惚としてしまう。
「そんなにおいしそうに飲んでくれたのならばうれしい限り、おかわりもどうぞ」
 圧倒的な食欲に勝てず、ありがとうと一言、マグカップを手渡しお替りを受け取る。パンも肉も食べ終わり、あとはこの極上のスープをちびちびと味わうことにした。

「ふぃぃ・・・ごちそうさま、いやあ・・・本当に君のスープは美味しかったよ。ありがとうな」
「うふふ・・・お粗末様でした」

 嬉しそうに微笑む彼女の顔に思わずドキリとして顔をブンブン横に振って気を取り直す、あんなに美味しいスープをごちそうになったのだ、何かお礼をしなければ・・・といっても今は手持ちも寂しいし、女性への贈り物になりそうなものだって・・・あるにはあるが・・・仕方ない。

「アイラさん、これはスープのお礼だ、取っといてくれ」
「こんなに大きな宝石の付いたペンダントなんて・・・とても釣り合わないじゃないの?」
 俺が手渡したのは大振りの青い宝石がはめ込まれたペンダント・・・俺のおふくろの形見だ、だが惜しくはない、俺の師匠の教えの一つ・・・誰かに優しくしてもらったのならば今の自分にできる最大限の礼をもって答えよ・・・だ。しかし理由はそれだけでもなかった、このペンダントを付けている彼女の姿を・・・見たくなったからだった。

「確かにこれだけだと俺が払
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