愛しい彼女と人生ゲームと今後の人生

「すいません・・・まだ、進路先が決められなくて・・・」

この学園では2年生の3学期初めに最初の進路希望調査を行い、それをもって3年生の特別カリキュラムが作成される。町の兵士になりたいのならばヴァルキリーの先生へ弟子入りするような剣術のカリキュラムが組まれるといった形だ。

そしていま担任の先生へと共に見下げるのは白紙の進路希望調査・・・提出期限は先週末で、今日で三日ほどオーバーしていることになる。

自分で言うのもなんだが学力だとか内申点だとかは中の上、つまり選り好みしているわけでも今までさぼっていたツケが回ってきたわけでもない。

ただ・・・クロバと共にいるだけだけで・・・それだけで心の底から満足してしまい、挑戦する意欲が・・・熱意が何となく持てずにいるだけだ。

―――――先生が早めにまとめたかったから実際の締め切りはあと3日後だ、それまでゆっくりと悩みなさい。君の人生だ、誰かに言われたから・・・で選ぶ道も良い、自分で決めた道もまた良い・・・だがその選択を将来後悔することだけは無いような道を選ぶんだぞ。

現在午後6時前・・・進路指導室を出て一人廊下を歩いてみる・・・恋人のフォリア・クロバは先に帰って晩御飯の支度をしているだろう。

―――――いつも傍にいて腕に抱き着いてくるクロバ・・・正直歩きにくいのにそのぬくもりがないだけで・・・冬の寒さが身に染みる。
―――――他愛のない雑談でも楽しそうに笑って聞いてくれるクロバ・・・その花開くような笑顔にいつもドキドキさせられる、きっと自分は毎秒一目ぼれしているに違いないだろう。
―――――朝昼晩と毎日栄養たっぷり頬っぺたが落ちそうになるご飯を作ってくれるクロバ・・・苦じゃないのかと一度訪ねてみたら、そりゃあ苦労はありますけど・・・この顔を見てもやめさせたいんですか?・・・なんてこれまた満面の笑顔で微笑みかけてくれた。
―――――毎日疲れ果てて眠りにつくまでセックスをさせてくれるクロバ・・・最近は回数が増えてゆく一方で・・・クロバはより一層美しく・・・淫らになってゆく・・・そのカラダに溺れているのは確実で、だからと言ってこんなにも幸せなセックスを我慢するという選択肢は微塵もない訳で・・・。

そんな物思いにふけって歩いていると現代遊具同好部の部室前にたどり着いた。
―――――そう言えばここで初めてクロバと出会ったんだっけ・・・。
購買部の人気商品であるジャンボホットドックを運良く買えて、昨日夜更かししすぎて昼休みに昼寝をしてしまって食べ損ねて、ようやくの放課後、教室で食べてもよかったけれど、どうせなら温めて食べようとこの部室、今もパンデモニウムとやらで恋人とイチャついているだろう偉大なる先輩が家に余っていたというオーブントースターを寄贈してくれたからこそ自分はクロバと出会うことができたのだ。

空恐ろしいほどの奇跡と奇跡の組み合わせ、どれか一つでも掛け違えていたら今は無かっただろうと思う。

懐から部室のカギを取り出す・・・クロバと出会えたあの日からこの鍵はラッキーアイテムだと思って大切に持ち歩いていた。
クロバと結ばれてからはめっきり来なくなってはいたが、この部屋は大切な部屋なのだ。

鍵を開けて扉を開けて中へと入る・・・しばらく掃除をしていなかったから大変なことになってるだろうなあ・・・と思ったら思わぬ先客、何とクロバが中で掃除をしていたのだ。
なにやら魔法で動くハタキが高所の埃をはたいていたり、落とされた埃を掃除機がひとりでに吸い込んでいったり・・・そんなクロバはテーブルを拭いていたようだ。

「あっ!やっぱりここに来ましたねえ先輩♪進路が決められずに悩んでうろうろ歩いてたんでしょう?」
「クロバには敵わないなあ・・・全くその通りなんだ・・・」
女のカンか・・・自分が分かりやすいだけなのか・・・多分両方だろう。もうこうなったらクロバにも胸の内を明かしてしまおうと思った。今後の人生は・・・クロバと一緒に歩んでいくことだけは決定事項なのだから。

「ふーむ・・・なるほど・・・つまり私と永遠にイチャラブセックスしていたいというのが本音だけど、それだと堕落しすぎていて私に甘え散らかすことになるから、何かの拍子に私に嫌われでもしたら生きていけないから怖い・・・という訳なんですね」

赤裸々に胸の内をさらけ出した、誰かに悩みを打ち明けるという行為はそれだけで胸がスッと軽くなる・・・。

「そんな先輩にいいアイデアがあるんです!うふふ・・・ゲームしましょう?人生ゲーム!」
何処からともなく取り出されたのはハイパー未来予知式人生ゲーム・・・と書かれたゲームソフトとゲーム機だ。
「このゲームは超高精度に未来予知を行ったうえで選んだ先の人生が楽しめちゃうという・・・先輩の人生シュミレーターなの
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