「不思議の国というだけのことはあるな」
子供の非現実的な空想と大人のえげつない性欲を詰めてシェイクした
箱の中身をひっくり返したような光景が歩いてるだけで目に飛び込んでくる。
「素晴らしいでしょう?常識に囚われないエロスと悪戯心こそが
この世界のモットーにして真理なのです。むふん」
と言って、世界の主であるハートの女王がない胸を張って偉そうに自慢してきた。
「自制というものが失われた世界とはこういうものなのかもしれんな」
「解放に満ちていると言ってほしいのです。
まったく、魔へと堕とした女勇者を何人も妻にしている魔物男のくせに
つまらない普通の人間のような感想を言うんですね。そっちのほうが不思議なのです」
またその話か。
「堕としてない。逆にあいつらが総出で俺を奈落に引きずり込んだ」
「立場も生まれも主義も違う個性的な女性達が
偶然にもあなた一人を性的にロックオンしたというんですか?
恋愛小説の主人公じゃあるまいし、都合よすぎですよ?
……あ、ここがそのお店なのです」
どうやら目的地についたようだ。反論するのは店内に持ち越すとしよう。
「い、いらっしゃひませぇ〜」
間の抜けた女性の声が俺達をお出迎えしてきた。
ウェイトレスの格好をした半人半馬の魔物――ケンタウロスが
後ろからウェイター姿の男性に犯されながら、とろけた笑みを浮かべて近づいてきた。
好色まっしぐらな魔物にしては珍しく厳格な種族らしいのだが
俺の目の前にいるタイプはそういったイメージとはかけ離れている。まるでバイコーンだ。
「こ、これは女王様ぁ、ようこそ、いらっ…ひぃい!
あ、あつっ、熱いのドピュドピュってえええぇ、今は接客中ぅうっ、んうぅ…!」
どうやら中に射精されたらしい。腰を震わせながら
荒く息をついているウェイターの様子からして間違いないだろう。
「案内は不要なのです。私達は勝手にスーパーゴールデンルームに行ってるので
後からおすすめメニューを適当に持ってくるのです。あ、あと、チーズケーキもです」
「お、おおせのままにぃ、いたひますぅ……」
「ところで、疑問なんだが」
「はぃ?」
店があるということは支払いも当然あるということになる。なら、このふざけた世界にも
取引の一定の指標となる物質、つまり、通貨があるということなのだろうか。
「答えは…………」
「答えは?」
「こ、た、え、は〜〜〜〜〜〜〜〜」
「さっさと言え。なんだその無駄な溜めは」
「ノリのわるい男ですね、まったく。
…なんかあんまり言いたくなくなったですけど、まあ簡単に言うと、ないです。
暇つぶしにお店ごっこをしながら接客プレイを楽しんでるだけです。
たまに、何かしらの品物を要求したり、身体で払ってもらうこともあるようですが
それは客側と店側の話し合いで決まったり決まらなかったりです。要はどうでもいいのです」
ここは不思議の国じゃなくて大雑把の国だったようだな。
「ここが私専用の個室、スーパーゴールデンルームなのです!
光栄に思うがいいのです。ここに足を踏み入れた男性は貴方が一人目なのです」
「それはわかったがそろそろコレ取っていいか?」
俺は自分の股間からぶら下がるモノに吸い付いている物体を指差した。
実はこれまでに二度も射精してしまっている。一回目は街の入口で執行されていた
ヴァンパイアへの拷問に興奮して。二回目はさっきのウェイトレスについ興奮してだ。
マリナ達が知ったら嫉妬のあまり鬼と化しそうなので絶対に言えない。
「それは認められないです。諦めるです。
気持ちいいのを素直に受け止めて楽しむがいいのです。ふふふ」
「いや、気持ちいいのは確かだが」
だがおかしな話である。魔物娘と交わった男は自慰や人間との交わりでは満足できなくなり
身も心も魔物娘に陶酔するというのが定説だ。なのにこのピンクロは
手コキとフェラの中間のような程よい快感をペニスにもたらしてくれている。
「それは、ここが不思議の国だからなのです」
「この世界でのみ効果があるということか」
「流石に外界でまで作用するものを造りだすのは私でも無理なのです。
お母様なら創造できるかもしれないですが、『作り物のおまんこなど邪道!手淫以下だ!』と
キッパリ切り捨てられるのがはっきりわかるです」
魔王にそんな発言されたら嫌だなぁ。
「ですが、ただの偽おまんこというわけでもないのです。それに溜め込まれた精は
加工されて、この国の、番を持たない魔物にとって貴重な栄養になるのです」
「……なんだ、案外いろいろと考えてるんだな。意外だったよ」
「失敬です。私は仮にもこの国を収める――」
思考がストップした。
壁にかけられた、一枚の絵画――。
それが目に入った瞬間、俺は思わず二度見して、絶句した。
女王の話など聞いてる場合ではない。
素肌の
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