そのご

これまでのあらすじ
〜〜人間やめた知り合い数人に求婚されてジパングまで逃げたり
たまたま出会った目つきの悪い小娘退魔師をからかったりしてたら
デルエラの怒りが爆発した〜〜

メルセ「うい〜〜っ。おい、もっと飲めこらぁ〜〜」
あなた「飲んでるじゃないですか」
メルセ「そっかあ……ぐびぐび……………ぷはぁ!
ああ、そうだぁ、お前知ってるか?
見習いのガキどもがよぉ、コソコソ言ってたんだが、なんでも、気の強い女は
ケツの穴が弱いんだってよ。
ひっく……お前がさ…もし強い魔物に出会って、どうしようもなくなったら
試してみたら、いいさ………………なんてな。あっはっはははぁ……」
あなた「はいはい名案名案」
メルセ「ごくごくっ………そ〜だろぉ〜?
ういっ、アイツらもたまにはさ、賢いこと言うよな〜〜〜〜〜」

……こんなどうしようもないゴミメモリーを引っ張り出すくらい
俺は切羽詰っているのか……
などと自分の走馬灯に失望しつつ、俺は移動させられていた。
わかりやすくいうと、デルエラ率いる
レスカティエ魔軍の戦利品(なまもの注意)になっているということだ。
「…いい加減に観念しなさいな。男の子でしょう?」
魔界の巨馬に引かれた屋根なし馬車の上で、
周囲の人外女たちの視線をチラチラ浴びながら憮然としている俺に
隣に座るデルエラが声をかけてきた。
彼女はその手に己の魔力で作った鈍く光る鎖をもち、その鎖の先はというと
嫌なことに、俺の首にはめられた輪っかにつながっている。
「これ外してくれね?」
「うふふ、それはダ、メ、よ」
人差し指をフリフリしながら要求を撥ねつけてきた。
この鎖と首輪には、支配と呪縛の力がふんだんに籠められているらしく
レスカティエへの帰途の間になんとか壊せないかと四苦八苦したが
どうにも俺の力では無理だった。
鍵穴はあるのだから、デルエラが持っているはずの鍵さえ手に入れば…
「あの子達も先に戻って初夜の用意をしてるんだから、あなたも
おとなしく精をつけて準備しておきなさい…ほら……」
どこから取り出したのか、デルエラが俺の鼻先に
ハート形の果実が盛りだくさんになったバスケットを差し出してきた。
「こんなもので俺は懐柔されんぞ」
とはいえ好意を無碍にするのもあれなんで
俺は渋々おかわりまで要求するのだった。
そういえば、後からデルエラに聞いたのだが、今の俺は
『逃げ足が速いがいざとなるととても強いオス』というイメージを
魔物たちにもたれているらしい。
好意的なイメージではない可能性を祈る。これ以上押しかけ妻はいらねえんだよ。

レスカティエへの道のりは快適そのものだった。
帰りがけの駄賃というか、ついでというか、たまたま反魔物国家の小国が
あっさり魔界にされたりしたがそれ以外は平穏だった。
「気まぐれで国を落とすとかあんた無茶苦茶だな」
「その私にいまだに牙をむく貴方も大概だけれどね」
ぐうの音もでなかった。

それから数日が過ぎ――
いよいよ明日にでもレスカティエの国境そばまで
着くかという日に、俺は鍵の所在をそれとなく聞いてみると、
デルエラは『これよ』と、ボンデージ服の左胸部分から
鎖と同じ色合いと材質の鍵を取り出してみせた。
「それをくれれば今ならまだ許してやるがどうする?」
などと凄んでみせたら鬼デコピンがきた。

…………久々に見るレスカティエは、すっかり魔界そのものになっていた。
だが、デルエラ自ら率いた軍が凱旋してきたためか、
彼女の話と違い、街はそれほど薄暗くはなく
むしろ赤い魔性の光が強く輝き、煌々と街と軍勢を照らしていた。
「終わってみれば、それなりに実りのある遠征だったわね」
「これで終わっていればの話だったがな」
俺は合鍵でいまいましかった首輪を外すと、体内に溜め込んでいた
あの果実の魔力と俺の魔力の混ぜ物をすべて口から撒き散らした。
凱旋パレードは大パニックとなった。
混合された魔力を浴びたせいで魔物たちは正気を失い、異性同姓問わず
お互いの身体をこすりつけ交わり始めた。
そう、デルエラ以外は。
「いったいどうやったの?」
「タネを明かす手品師はおりませんよ、デルエラ様?」
あえて丁寧な口調で俺はデルエラを挑発した。彼女はこうみえて
中々に気が短いうえにパレード台無しもあり、内心では
血管がピクピクしてるはずだ。
「そう………………なら、実力行使といこうかしら」
今にも飛びかかりそうなデルエラから目線をそらさず、俺はパチンと指を鳴らした。
「ひゃっ!?」
デルエラが軽くのけぞった。ボンデージ服の隙間から
俺の魔力塊(蛇タイプ)が彼女の後ろのすぼまりへと潜り込んでいたのだ。
「こんなものをいつの間に…!」
「時間ならこの帰途の合間に腐るほどあったよ。
あんたの攻撃をさんざん受けてなんとか吸収した、あんた
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