かくしてリリム姉妹の代理戦争の火蓋が切って落とされた。
十日後、このレスカティエにて、双方が選出した腕利き同士が
熾烈な争いを繰り広げることになる。
争いのきっかけは実に情けないものだが勝敗の結果はきわめて重要だ。
穏健派が勝てばそれに越したことはない。問題は過激派が勝利を収めた場合だ。
裏工作をしたいところではあるがデルエラの目が光っているので
うかつな事はできない。してもいいが後が困る。現時点で既にかなりの遺恨があるというのに
さらにヘイトを上乗せするのはまずい。
デルエラを怒らせる→デルエラが憂さ晴らしに暴れる→デルエラはやばい
→レスカティエはやばい→レスカティエの君主はやばい
こういう連想が成り立つ。
完璧な情報共有が不可能な以上、レスカティエの誰かが何かをやれば
話が人づてに伝達されていく過程で尾ひれやガセネタがついたり内容の取りこぼしがおきて
俺のせいにされる確率はそれなりに大きい。有名税というやつだ。
「それで僕を穏健派の代表メンバーに入れるということですか」
「理解が早くて助かる。報酬は、死人キノコを半年分、首尾よく勝てばさらに倍だ」
死人キノコというのはレスカティエでの俗名であり、一般的には
アンデッドハイイロナゲキタケという無駄に長い名称の、生者が食べると胃腸に大当たりするが
不死者やその影響を受けたインキュバスにとっては極めて美味らしいキノコである。
昔、あやうくマリナに食わせられそうになったことがあるが
食べたフリをしてうまくごまかしたのを思い出す。あの非道なお嬢様に仕えていると
手品レベルの向上を余儀なくされると理解した瞬間だった。
「よくこんなに用意できましたね」
「ポローヴェという魔界国家を知ってるか?
そこの精霊使いの才媛とやらが、こないだ安定した栽培に成功したんだと。
まあ、したはいいが一部の魔物にしか好まれない代物だし、実験材料としても微妙なので
どうしたらいいか処分に困ってたのをミリュスに買い叩いてきてもらった。
その精霊使いは利益どころか栽培費用の元すら取れなくてヘコんでいたそうだがな」
「そうそううまくいかないのが世の中ですしね」
「同感だな」
買い叩かずにそれなりの値で買い取ってやればよかった…とも思ったが
それに気をよくして大量に在庫を抱えだしたら向こうが悲惨なことになるので
早めに現実を教えてやったのは正解だろう。
「で、出場する他の二名は決まってるんですか?」
「十四女のほうはともかく六十三女はこれといったアテがなくて
四苦八苦してるみたいだな。裏でヘリィと相談しているようだが……。
それより問題なのは、よりによって過激派サイドからマリナが出ることだ」
「止めなかったんですか?」
「止まらなかった」
「ああ、そういえばウィルマリナさんってデルエラ様の熱烈な信奉者ですもんね」
「それもあるが、なにより、止める大義名分がない。
有無を言わせず止めようものなら、それこそあの四女がヒスを起こす」
「いっそ穏健派として立場を明確にしたらどうですか?」
「レスカティエを二つに割れというのか?」
近い将来そうなりそうではあるが自分から亀裂に楔を打ち込んではいられない。
「代理戦争が終わるまでお城に引きこもってセックスしてればいいじゃないですか。
それならデルエラ様にも言い訳できますし、簡単でしょ」
「出番の時だけ交わりを中断してちょっと出てこいと言われたら断れんぞ」
「使い物にならなくなるほど快楽で頭をトロトロにするのは?」
「だがそこまでやると、それと同時に俺からの精で
パワーアップしかねない。あいつも立派な魔物娘だからな」
「この際ウィルマリナさんについては諦めましょう」
ついにウィットが匙を投げた。
〜〜〜〜〜〜
「……おっ、おっきいぃ、大きいのが中をズリズリしてるのぉ。
ああっ、あなたのおちんぽ奥まで当たるぅうう……」
やれることがなくなったので当日までひたすら嫁達とまぐわうことにした。
決して現実逃避して性欲に溺れているわけではない。代わる代わる九種類の膣をえぐり倒して
こみ上げてくる熱いほとばしりを吐き出すことで今後のために力を蓄えているのだ。
違法なお薬を常用してたら頭がぶっ壊れてしまった
馬鹿の戯言にしか思えない主張だが、インキュバスにとってはこれが正論なのである。
「そうだ、そうやって、いい声で鳴くんだ。ほらっ。
ふっ、ふうっ、俺をもっともっと興奮させてみろ…………ううっ」
「ああんっ、あっ、ああぁああああぁぁーーーーーーー!
なっ、鳴くから、やらしく鳴くからぁ……わ、わたっ、私で興奮してええぇ…!」
とはいえ、かつて勇者だったお嬢様の腰のくびれを掴んで
後ろからパンパンしてると強くなっていくとか、どう考えてもこのシステムおかしい。
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