人類から、人類の敵へ

〜〜〜あいまい人物紹介〜〜〜
はじめ=古代知識に秀でたバフォメットの面白半分な実験による被害者その1。
忍者の末裔だった祖父からそれなりにレッスンを受けてたりするのだが
本人に言わせるとその内容は『びっくりするほど地味』だったとか。

恵(めぐみ)=被害者その2。高位の魔物であるドラゴンへと生まれ変わる。
中学では空手部に所属していた。その拳打や蹴りは今では文字通り
必殺の一撃と化している。

一也(かずや)=被害者その3。アルプへと生まれ変わり性別が変更される。
人間をやめたせいなのかは不明だがなぜか腰に届くほど伸びた髪に
白が混じっているのは(これまで前例がない)アークアルプ化しているからだろう。
編み物が趣味。

ゼレア=加害者。英知はあってもそれを生かす頭はおそまつ。

ミナ=加害者の助手。まだ未熟だが頭の回転は速い。
〜〜〜〜〜〜


昨日の大騒動で壊れかけた建物を修理してるため
俺たちは青空教室で山羊ロリからこの世界の常識について学んでいた。
「さて、わしらの立ち位置じゃが、はっきり言うと
大多数の人間から激しく敵対されておる。魔物じゃからな。
この二人はともかく、お主はインキュバスじゃから厳密には魔物ではなく
人間の枠内に分類されるのじゃが、敵対されているという点ではさして変わらぬ」
「そうなのか……まあ、当然といえば当然だな」

この世界にあるほとんどの国々は、二つの派閥のどちらかに属する。
神々のトップである『主神』を崇める宗教団体の治める教国や、国民のほとんどが
魔物に対して嫌悪や恐怖の感情を抱く反魔物国家といった敵対派。
それとは逆に、魔界に堕ちてしまったり、あるいは魔物との融和を求めたりする
親魔物国家というのが友好派となっているらしい。
比率としては敵対派が圧倒的多数。友好派がまあまあ。中立派が残りのわずか。
(他にも、本当かどうかは知らないが、魔物と人間が
ただただ朝も昼も夜も交わりあっているだけの大陸もあるそうだ。
間違いなく文明のレベルが向上しないだろうな、そのリアル酒池肉林は)
量を質でカバーしまくってるのが魔物の現状なのだろう。
「この地からはるか遠く離れたところにあった『レスカティエ』という
教団でも二位の規模を誇る国を魔王様のご息女の一人が陥落させはしたが、
それでもなお、敵対派の勢力はいまだ甚大なのじゃよ」
山羊ロリのわかりやすい説明を聞いて、恵が悲しげにうつむいた。
「…仲良くしたらいいのにね」
「ボスキャラの台詞とは思えんな」
恵が俺にアイアンクローをしかけてきた。これでは何も見えないし痛い。
「その言い方やめないならこのまま振り回すわよ」
「すんませんしたー」
俺の謝罪の口調に多少イラッとしていたが、大きなため息を
一つついてから、恵は離してくれた。
「仲違いはやめようよ。こんな時こそ皆で団結しないと」
「おっぱいの台詞とは思えんな」

と言って一也のでかい胸をつついたらお返しにすごい雷撃を喰らった。

「……うぐぐ、床に流して散らさなかったら
かなりのダメージを負ってたところだぞ。少しは加減しろバカ」
「少しはしたよ」
それはそれは冷たいお答えでした。
「あのさ、なんでそんな避雷針みたいなマネできるのあんた。ありえないでしょ」
「言われてみるとおかしいね」
「このくらい元からできたじゃん。そんなことも忘れたのかよ。
お前ら二人とも幼馴染なのになんなの。俺に関するデータだけ足りなくないか?」
などと呆れてるとちっこい横槍がきた。
「いやいや、そんなわけなかろう。おそらく、そういう風に
お主の記憶のほうが、肉体の変異と向上に合わせて変化したのじゃろうて」
「お前は何を言っているんだ。俺は昔っから異能を使いこなせるんだっつーの」
これだから異世界の人外は困る。
「そっか、はじめの場合は容姿じゃなくて中身と記憶がおかしくなったんだね」
「しかも変態じみてきてるし。
……いきなりつっつくなんてデリカシーなさすぎだよ」
一也が頬を膨らませてそっぽを向いた。
「へいへい、すんませんしたー」
さらに横目で睨まれた。


………………


「ちょっといい?」
山羊ロリの話が一段落ついたので水飲んで休憩してたら
一也が手招きしてきた。
「なんぞや」
「こっちこっち」
用件を語らずに俺を木陰へとグイグイ引っ張っていく。
誰にも見られたくないようだが、秘密の相談でもしたいのだろうか。
「こんなとこまで連れ込んでどうしたんだ」

ぎゅっ
「おわぁっ」

唐突に股間を掴まれた。
「さっきはよくもつついてくれたね。今度はこっちの番だよ」
「いや、おい、何をどうする気だ」
脳裏に嫌な予想が浮かぶが、まさにそれが、現実のものになり、
「…あはっ、これがはじめのおちんちんなんだ…」
俺は、ズボンを下着ごと足元まで
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