これまでのあらすじ
〜〜紆余曲折の末に搾乳の手『ミルキーハンド』に目覚めた俺であったが
つるぺた娘の前では無力であった。
悔しがるロリ三人を尻目に俺はこの能力の使い道を模索するが、どう考えても
エロ方面にしか活用できないという結論に達したのだった〜〜
「そいやぁ!」
玉座の間に充満している濃密な淫の魔力。俺はそれを凝縮して天空へと打ち上げた。
どこに落ちるかはわからないが、落下地点ではこの国の支配者から与えられた
恩恵に感謝をしてから、肉欲の宴が始まるはずだ。
この『エロお裾分け』は、本来、魔力の扱いに長けている今宵がやっているのだが、
「……はにゃああぁ………」
このように、正気を失うほど快楽に溺れてへばっている時は
俺が代理をしているのである。
「これでよし」
俺は頭上に掲げた腕から生やした何本もの狐尾を仕舞い、硬い床に盛り付けられた
魔物娘のアヘアヘ白濁和えをぐるりと眺めてから、満足感を胸に酒をラッパ飲みした。
最近ほとんど無休でセックスしてたせいか、マリナ達も満足して
寛容になってきたらしく、やるだけやった後なら飲酒しても構わないという許可がでている。
逆に言うとそれだけやらないと飲ませてくれないのだが。
「ふう……」
乱交したあとの酒は格別だ。はらわたに染みていく。
「だが、セックスして酒飲んでばかりもいられないがな」
――教団からの風当たりは、いっそう厳しくなった。
『悪夢のごとき魔王の四女とあの忌まわしき『勇者喰い』は
主神のよって地獄の火に投げ込まれなければならない。
そして闇の誘惑に負けて魔物へと変貌した者達はみな腹を切って死ぬべきだ』
などという過激なスローガンをかかげる派閥が台頭している有様だ。
「とはいえ……悩ましいものだな」
これといった名案があるわけでもない。
俺がやれる対策は基本的には『待ち』である。悪評が大きくなるのは苦々しいが
訂正することも広まるのを喰いとどめることもできない以上、じっと傍観するしかない。
下手に動けばさらに悪化するのは過去が証明している。
つまり、教団の息のかかった連中が攻めてきたら
俺の肥大したネームバリューで脅すなり、力を見せ付けるなりして退かせ、
デルエラが動くようならリークする。そのための駒は手にある。
「そんなことしていいんですか?」
何を言っているんだこの人は、という目つきで
駒もといミニ王子――ミリュス・ロアが確認してきた。その横にはフタナリ王女こと
ティネス・ロア(旧名ティナード・ロア)がこれまた同じ目つきで俺のほうを見ている。
出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる完成されたボディと
まぶしいほどの美貌は、並のサキュバスよりはるかに淫魔らしい魅力に満ちている。
ぶっちゃけミリュスのほうがよっぽどアルプっぽい。
「背に腹は変えられない。というか、やっとかないと後々やばい。
幸いにも俺にはそれなりに権力がある。多少はバレても隠蔽が可能だ。
…俺が直接向こうに行ってチクってもいいんだが、どうにも嫌われすぎてるからなぁ。
しかもマリナ達の目が厳しいし」
「後者においては完全に自業自得だろう」
その通りなので反論できない。
「だが、過剰な方法による魔界の拡大が、多大な犠牲を払いかねないという
考えには同感だ。それに、人の子ではなくなったとはいえ、私も強引な手は嫌いだ」
「あ…………やっぱり嫌いだったの?」
「違う違うよミリュスの場合は違うからとにかく違うから問題ない」
泣きそうな顔をした弟にして夫に慌ててフォローする姉にして妻であった。
「まあ例外は何にでもあるから気にするな。
その弁解の続きは後でベッドでゆっくりやってくれ」
「そ、そうだな。そうしよう。いやそうじゃなくて!
…………え、えっと、どこまで話をしたんだったか……」
ニヤニヤしてしまうほどのしどろもどろ具合だった。
「…じゃあ、現時点では待機ということですね」
「うむ。何か活発な動きがデルエラにあれば、教団のほうにはお前達を派遣して
熊さん経由で知らせる。ヘリィには別ルートで伝える予定だ」
俺が魔物たちや教団から逃げまとっていた頃、たまたま助けてくれたインキュバスの少年。
お礼代わりに与えてやった『魔を喰らう』力で己の主人たる
ツンデレヴァンパイアからツンを抜いてしまったそうだが、それはこの際どうでもいい。
確か……ウィット………ウィット・アルバス……という名前だったか。
あの少年は俺にシンパシーや恩義をそれなりに感じているみたいなので
伝令の役くらいなら気軽にこなしてくれるだろう。たぶん。
「…実を言うと、俺はそれほど深刻には考えてない。
人間や他の魔物と比べても寿命の長いリリムが、こんな短いスパンで
新しいターゲットに突撃するとは思えないからな」
戦略的長期撤退していた俺
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