第6話 軍勢襲撃

奇跡的な再開から早くも2週間。その間3人は三者三様にトレーニングを重ね、着実に力をつけていた。
輝幸は使用する武器にハルバードを選んだが、斬り付けるよりも柄での薙ぎ払いや殴打で攻撃する戦い方をとっている。元の世界では肉弾戦を主体としていたが、相手がバットやパイプなど棒状の物を持っていたなら、それを奪って戦うことも多かったため、我流ながら棒術は得意だったのだ。
一方竜哉が使うのは、俗にクレイモアと呼ばれる細身剣と、ツヴァイハンダーと呼ばれる長剣。常人ならどちらも両手で持たなければ、戦うどころか引き摺る事や持ち上げることすら間々ならない代物だろう。
彼は実家が剣道の道場で、幼い頃から剣道を習い、多くの大会で上位の成績を挙げてきた。しかしその一方時代劇の殺陣やアクション映画の戦闘シーンも好み、それらに憧れ過度とも言える程筋トレを積んできた。
当然ここに来てからもそれを続けているのだが、魔力とやらの影響もあってか体力も大幅に上昇し、時に剣の切っ先を地に着け休みをとることもあるが、重厚な鎧を身に纏い、遠心力で2本の剣を勇ましく舞うように振り回すその姿は、まるでまだ見ぬ戦いに期待するかのようで、戦士の素質を十分感じさせた。
そして神楽はと言うと、なんと強力な魔法を次々と取得していき、今では後方支援を主体としながら、前衛でも十分活躍できるようになった。
ある財閥重役の令嬢として生まれた彼女には元々才能豊富で、立場柄それを活かせる様な英才教育を受けていたこともあり、秀才として名を通していた。その非凡振りがこちらに呼ばれた影響か、魔法に関しても開花したようで、特に水、風、雷など気候に関する魔法は最初の一週間でコツを掴み、今では回復、探知など補助系の魔法も使いこなしてみせるまでの学習力を見せた。
ちなみに回復魔法を覚えた神楽は、早速訓練を終えた輝幸と竜哉に使用してみたのだが、なぜか輝幸の失明した左目にだけは効果が無かった。正確に言えば傷は治れども視力は戻らなかったのだが、視力も戻せると思っていた神楽はショックを受け、暫く自信を喪失してしまった。今でこそなんともない様に明るく振舞っているが、内心では未だそのことを引きずっており、時たま暗い影を落とすこともあった。

「ここでの生活も大分慣れてきたと思うし、着いてからずっと魔物との戦いに向けて特訓してきたけど、二人とも随分と強くなったよな」

食堂で昼食を取っている最中、輝幸がパンを頬張りながら二人に向けて話しかける。普段は三者三様別々に鍛錬を受けているため、合同演習など集団行動前提の訓練が無ければこうして顔を合わせられる機会は余り多くない。加えてこれまで他の学友達は一切見つからず、彼らが今どうしているのかや、またいつ離れ離れになるのではと不安に感じることもあって、食事や睡眠の際など全員が一緒にいられる間は、こうして自然と3人でゆったり過ごすことが当たり前になっていた。
一方話しかけられた二人に眼を向けると、先に反応したのは紅茶を飲んでいた神楽の方だった。ティーカップを受け皿に置き、ナプキンで口を拭きながら飲み込み、返答する。

「確かに私も、日に日により多くの魔法が使える様になって、その威力がより強くなっていってるのは実感してるかな。でも、やっぱり凄いのは竜哉君とゆき君だよ。二人とも喧嘩慣れしてるし、一緒に何度も修羅場乗り越えてきたから、戦ってるときは息ピッタリだもん」

彼女が語るように、輝幸と竜哉は時に協力して闘うこともあった。きっかけは剣道部の先輩達がその腕前から竜哉を妬み、制裁しようとした所を輝幸が発見し、乱入したことだった。
以来時として仲違いを起こしたこともあれど、抜群に息の合ったコンビネーションを発揮できる程に仲が深い。

「いや、神楽さんも十分実力をつけてるよ。俺たちはただ武器を振るうだけだが、貴方はそれより複雑かつ高度な技術と、種類によっては莫大な魔力とやらの要る魔法をバンバカ使えるんだから」

それに対し竜哉は、口の中に溜め込んでいたパンとサラダをスープで胃に流し込むと謙遜気味に返す。どうも体力が増加した分空腹も激しいようで、他の二人に比べ彼の前に並ぶ皿には、中身が多めに盛られていた。

「さすが校内総合テストの成績上位常連だよな。俺も魔法は試してみたけど、適応の低さも相まってイメージはできても全然発動できんかった」

輝幸も便乗し、元の世界にいた頃に挙げた彼女の功績を持ち出し賞賛する。その際に自分の経験を引き合いに出したが、実際挑戦したときにはごく簡単な魔力を発射するような魔法でも、確実に発動させるため呪文を詠唱したにも拘らず、いくら発射する魔力を固めようとしてもその途中で飛散してしまっていた。
指導を担当した魔導師には、「魔法は誰にでも使えるし、彼の場合主神からの加護によるも
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