MHK夏休みスペシャル・水底尋子特集

まかいの森の歌


光のなかに出れないものが
闇のなかにうごめき誘う

まかいの森の 闇の中では
明日は来ない まかいはクライ クライ


空に歌声 木々がささやき
花びら歩き 闇が見つめる

まかいの森は不気味なところ
朝からずっと まかいはクライ クライ


腕をのばせど なにも触れない
うしろを見れば 誰かが笑う

まかいの森は 二度と出れない
入れば終わり まかいはクライ クライ

(間奏)

どこにあるか 皆知ってる
どこが果てか 誰も知らない

まかいの森は動き続ける
昨日は向こう まかいはクライ クライ
明日は隣り まかいはクライ クライ


* * * * * * * * *


森ヘオイデ


草ふむ音が聞こえない キミは旅に出たんだね
毎週来ると約束の場所にキミは来なかった

森の暗がりでボクと 素敵な遊びをしよう
いつものように笑って 森へおいで
ボクの


金で飾った天使像はキミのために笑わない
腰にさげた鉄の剣はキミの足を傷つける
それでもキミは旅に出る 鉄の剣を持って
ボクの暮らす森の中はとても平和なのに

朝の露の匂いのする 糸で編んだスカーフ
緑色の蔦の指輪 夢見心地のワタ帽子
森で見つけた宝物 みんなキミにあげる
あの日のように笑って 森へおいで
ボクの


今夜 キミを連れていくよ 真夜中に迎えにいく
キミの好きなルビー色の瞳が映る月明かり
秘密の迷路の奥に キミは迷い込む
心をつないだ糸が静かに絡んでゆく

森の暗がりでボクと素敵な遊びをしよう
昔のように笑って 森へおいで ボクの

(間奏)

森へおいで 森へおいで
 ボクはキミを傷つけない
森へおいで 森へおいで
 悲しいことはなにもない
そんな残酷な神の 呪いを抜けだして
ボクと遊ぼう あの日のように
森へおいで ボクの

森へおいで 森へおいで 森へおいで 森へおいで  森へおいで 森へおいで 森へおいで 森へおいで  森へおいで 森へおいで 森へおいで 森へおいで  森へおいで 森へおいで 森へおいで 森へおいで  森へおいで 森へおいで 森へおいで 森へおいで  森へおいで 森へおいで 森へおいで 森へおいで  森へおいで 森へおいで 森へおいで ボクと


* * * * * * * * *


深海楽団


暗い海の底 あなたを呼んでる
とぎれとぎれの 少女の泣き声
ひとつの名前を 一日くりかえす
耳にした者は 二度とは戻れない

海の上は嵐
船は渦にのまれ
神に祈る声も
波に消されて

沈みゆく船の 儚い命を
小さな白い手が
その胸に抱きとめる


泥に埋もれた 純銀の十字架
持ち主の影は どこにも見えない

いつか来るその日を
夢見る乙女たち
海底の呪縛を 解かれさまよい出る

沈め この寂しい
深い海の底へ
もう孤独の涙 流すことはない

夜毎に聴いてた あなたを呼ぶ声
今夜は二人で 同じ調べを聴く

(間奏)


海の上は嵐
波は窓をやぶり
神に祈る声も
すべて海の底

渦巻くさだめの 止まらない加速
偽りの教えに生まれた僕たちを
哀れみ哀しみ 歌声はつづく

はるかな海から今夜も君を呼ぶ


* * * * * * * * *


解説

水底尋子:
シンガーソングライター。
一般にはMHK「まもののうた」の歌手として知られるほか、映画「ペド戦記」の音楽を手がけ、原作者をして「最高」と絶賛された。
・代表曲:『恋するコカトリス』『まかいの森のうた』

同じ事務所のナカノシマ根雪と仲が良くラジオ等で共演する事もあるが、もっぱらフリーダムな相方のツッコミ役となっている。
また文筆活動も盛んで、「それ逝け!腐Hiゲーマーズ」「Amazonessが変なもの売ってる」など、エッセイや小説も手がける。

20/08/31 16:54更新 / なげっぱなしヘルマン
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