ある日のこと。
気がつくと、俺こと「晴宮巧星(ハルミヤ コウセイ)」は椅子に座らされていた。
手前にはアンティーク調の机、その奥には白い髪の美女が同じように座っている。
「ようこそ…ベルベ…じゃなかった。クロスの狭間へ。貴方は、世界を救う英雄の一人に選ばれました。」
「私が…英雄…?」
いきなり自分の身には重すぎる試練を告げられ困惑してしまう。
職業柄以前に学生時代そこそこオタク文化をかじっていたので、なんとなく分かるがこれは「異世界転生」というやつだ。
だいたい現代日本人がなんらかのきっかけで剣と魔法のファンタジー世界の住民として生を受ける物語なのだが、なんだかんだで立派なヒーローとなってしまう…のが大まかなあらすじである。
しかし、冴えない一般人が世界を救うヒーローとして世に送り出されるという点にはやはり疑問を覚えてしまう。
ましてや自分が冴えない一般人だと自覚している身からすれば尚更だ。
「そうです。貴方には世界を救って頂くべく…英雄となって欲しい。」
「お聞きしたいのですが、何もないただの一般人である私に世界の命運をかけるのでしょうか。」
「いい質問ですね。簡潔に申しますと、その世界は貴方だからこそ救える世界なのです。」
「私だからこそ救える世界…ですか。」
「はい。もう一度言いますが、貴方だからこそ救える世界なのです。」
俺だからこそ…救える世界?
そんな理由が選出基準だったのか?
「逆に言ってしまえば貴方にしかこの世界は救えません。どうかお力を貸して頂けませんでしょうか。」
美女は語気を強めた上で話を続ける。
どうやら本気で俺に懇願しているようで、嘘の雰囲気は微塵も感じられない。
一瞬高度な詐欺のテクニックかもしれないという思考が頭によぎる。
しかし、自分は人生において一度も思い切った行動ができずにいた人間なのでたまにはそういった話にあえて乗ってしまうのも良いかもしれないという思考が新たに生まれた。
それに加えて生きているのか死んでいるのかすら分からない日常を送っていたので、そんな日々から抜け出したいという意思も心の奥底にある。
「いかがなさいますか、晴宮様。」
催促するように美女が判断を仰ぐ。
答えはもう決めた。
「…わかりました。その世界を私に救わせてください。」
俺は提案に乗った。
いや、根底にある自分の弱さが相手の提案を呑んでしまっていたというのが正しいだろう。
「ありがとうございます。それでは単刀直入に言いますが、貴方はこの世界でサマナー…悪魔を使役して戦う者として生まれ変わるのです。」
パチンと美女が指を鳴らすと、一枚のカードが俺の手元に現れる。
大きさは普通のトランプほどで色は青みがかった紫紺、質感は金属のように鈍く輝いている。
「それは悪魔と契を交わす召還符です。強く念じれば…悪魔は貴方の想いに応えてあなたのパートナーとなるでしょう。」
強く念じろとは随分アバウトな説明だが…やってみよう。
悪魔を使役する者になるという、アニメやゲームのような展開が今起こっていることに今ひとつ実感が沸かない。
いくら現実から離れたいと思っていたとはいえ、これは離れ過ぎではないかと思う。
「…!?」
突如、目の前が暗闇に覆われていく。
というよりは、今いる場所が急に裂けたかと思うとその先にある漆黒の闇が広がる空間に転移したような感じだ。
一体どうなっているのかと不安になり周囲をキョロキョロと見渡す。
やはり、先の見えぬ闇が広がっている。
「貴方が私の坊や…いや、マスターね?」
妖艶な女の声で我に返り、正面を見るとそこには先程と同じく美女がいた。
ただ違うのは肌は青く、眼は黒地に赤い瞳が輝き、頭からは角、腰からはコウモリのような被膜に覆われた翼、腰の付け根からはツルリとした質感の尾が生えている。
さらに胸は頭2~3個分はあろうかというくらい大きく、尻も同じぐらいの幅があった。
一方腰回りはムッチリと膨れた乳と尻とは対象的に綺麗なくびれを作っていた。
煽情的な格好と合わさり、まさに「この世のものとは思えない女だ。
「そう…なるのか…?」
彼女が俺と行動を共にすることになる悪魔。
豊満な体から溢れる強大な力とムワリと発せられるフェロモンに充てられ俺はいつのまにか彼女の元へと歩み寄っていた。
「よほど私が欲しいのね…
#9825;良いわ、私が契約したいと思う子は…心の底から私を求めてくれる人だもの…
#9825;」
彼女が少しでも身を動かすたびに激しく揺れる巨大な乳房を見せつけられる度に気が気でなくなる。
俺より頭一つ背の高い彼女なのだが…
その肉厚で柔らかな質感の身
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