日程:1日目 昼 〜女の子のピンチにヒーローが助けに来るのはお約束〜

ズニュウ・・・グニュウ・・・・

「はぁ・・・はぁ・・・。んぁぁ・・・。」

ナマコの容赦のない乳責めにバスティアナが息を荒らげている。

もはや・・・、これまでか・・・。
すまない・・・ワタル・・・。
下等な怪物な屈してしまうような情けない私を許してくれ・・・。

意識を朦朧させているバスティアナがナマコに全てを委ねようとしたその時。

「バスティアナッ!」

ワタルが全速力で泳いでこちらに向かっているのが見える。

奴の毒にやられて幻でも見てしまっているのだろうか・・・。
幻とはいえ、人(竜)生の最期にワタルに会えて幸せだ・・・。

「大丈夫か!?今、助けてやるからなっ!!!」

ビッビッビッビッビッビッ

ワタルは物凄い勢いでバスティアナの体からナマコの触手を素手で払いのけていく。

ナマコも負けじとバスティアナの体に巻き付けている触手の一部をワタルの体のほうにも触手を伸ばすが、

「このっ!!!こいつ!!!バスティアナから放れろ!!!」

ワタルは自分のほうに伸ばされてきた触手を鷲掴みにするとそのまま千切って放り投げた。
触手を千切られてナマコが若干怯む。

「どりゃああああっ!!!」

ワタルはナマコの胴体を掴むと、力任せにナマコを遠くの方へ放り投げた。

ーワ、ワシの毒が効かんとは!?そ、そんな馬鹿なあぁぁぁぁぁっ!?ー

※上の台詞はイメージです。

放り投げられたナマコはしばらく空中を舞っていたが、やがて高度を落としていき、遠くの遊泳禁止区域のネットの奥の海域に大きな水飛沫と音を上げて着水して沈んでいった。

「あ・・・・」
「もう大丈夫だぞ。診療所まで連れてってやるからな!なんとか持ちこたえてくれよ!」

ワタルはそう言うと意識を失っているバスティアナをお姫様抱っこの姿勢で持ち上げて、ネイレスやマーメイドも驚く早さで陸まで泳ぎ出し、近くにいたライフセイバーに声を掛けた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜ビーチの診察室〜

「う・・・・こ・・・ここは・・・・・。」

バスティアナはビーチの診療所のベッドの上で目を覚ました。

「良かった。気がついたか。」

意識を取り戻した彼女の目に最初に写ったのは、優しい笑顔の夫だった。

「私は・・・海で浮かんでて・・・それで・・・怪物に襲われて・・・」

バスティアナはあのおぞましい光景を思い出して身を縮めて身震いする。

「大丈夫だ。無理に思い出さなくてもいい。」

ワタルはバスティアナを自分の方に抱き寄せ、背中を擦ってやる。
夫の手の温もりを感じたバスティアナは安心感を得て落ち着きを取り戻した。

「無事に意識を取り戻されたようで何よりですね!」

医療所でバスティアナを手当てしたシー・ビショップが、バスティアナに明るい口調で語り掛ける。

「しかし、バスティアナさん、あなたは本当に凄いですねぇ!」
「な、何がですか?」
「あなたがさっき襲われたと言っていた怪物の件なのですが、あれは最近発見された新種のナマコで、魔力を生命エネルギーに変換する性質を持ち、普段は海底で魔力を含んだ海草を食べている大人しい子なのですが、エサとなる海草が少なくなると、海にいる魔物娘を触手で捕らえて、触手にある媚毒で動けなくした所を、死なない程度に体液を吸い取ってエネルギーとなる魔力を補給する習性があるんです。」
「そ、それがどうかしたんですか?」
「あのナマコの毒はあのミノタウロスやオーガですら、ほんの一滴で股間から潮を噴いて絶頂して気絶してしまうほど大変強力で、危険なものなのですが、貴方はそれにかなりの間耐えられていたようですね。あなたの体に溜まっていた毒を全て絞り出させて貰ったのですが、なんと大きなタライ一杯分も出たんですよ!あんなに恐ろしい毒が!この前同じように被害に遭われて、5日間も入院していたヘルハウンドのプロレスラーの方からも小さな注射器一本分しか出なかったというのに!あなたは、あれだけの毒を注入されながらたった1時間程気絶していただけで済んだんですよ!」

シー・ビショップが興奮ぎみになって
手に持ったカルテをバンバン叩く。

「これは大変強靭な精神力と肉体を持った方にしかできない芸当ですよ!ひょっとしてあなた、軍隊に入っていたり、格闘技なんかを経験されていたりしませんでしたか?」
「は、はい。ついこの間まで魔王軍で隊長を務めていたんです・・・。」

魔王軍という単語を聞いてシー・ビショップは驚愕して目を丸くした。

「ままままま、魔王軍っ!?こ、これは大変失礼致しましたっ!」
「い、いえいえ。」
「ど、道理で・・・。一般の魔物娘の方があんな量の毒を食らったら1ヵ月間はイキ続ける羽目になりますよ・・・。」
「そ、そんなに凄いんですか、私・・・。」

シー・ビショプの力説ぶりにバス
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