むかし むかし。おおむかし。
まおうさまが まものを みんな かわいいおんなのこに するまえの おおむかし。
ある もりの なかで、 コボルドの おかあさんが、 あかちゃんを みつけました。
「かわいそうに、 もし あの ヘルハウンドに みつかったら たべられてしまう。」
おかあさんは、 まっくろな けなみの あかちゃんを だきかかえて じぶんの いえに かえりました。
そして、 じぶんの あかちゃんと ひろってきた あかちゃんに、 おなじように おっぱいを すわせながら いいました。
「ふたりとも、ぶじに げんきに そだってね。」
おかあさんは まいにちまいにち ふたりに ごはんを あげたり だっこして あげたりして たいせつに そだてました。
そして、 あるひ。
おかあさんが、 ごはんをもって いえに かえると ふたりが おおきくなっている ことに きがつきました。
おかあさんは おおよろこび。
にひきは げんきに じゃれあって います。
しかし、 もりの なかで ひろった あかちゃんは あの らんぼうものの ヘルハウンドの あかちゃんだと おかあさんは きがついて しまいました。
そして よる、 おかあさんは もりまで くると、 すやすや ねむっている ヘルハウンドの あかちゃんを そこに おきました。
「ごめんね…」
そういって おかあさんは とぼとぼと かえろうと しました。
あかちゃんから とおざかれば とおざかるほど むねが くるしく なっていきます。
そのときでした。
「うぇーん!」
あかちゃんの なきごえを きいた おかあさんは、
「ごめんね…ごめんね…」
と なきながら あかちゃんを だっこしました。
「だいじな わたしの あかちゃん。 こんなことをして ごめんね…」
おかあさんは あかちゃんを だっこしたまま いえに かえりました。
そんなふたりを つきと ほしの ひかりが やさしく てらして いました。
それから、 おかあさんは ふたりを おなじように かわいがり なまえを つけました。
コボルドの こには、
「おひさまみたいに げんきで あかるい、 このこは サニー。」
そして ヘルハウンドの こには、
「とっても あまえんぼう。 だけど とっても やさしい。 このこは ラブ。」
と。
それから、 ふたりは コボルドの おかあさんが もってくる くだものや おさかなの ごはんを たべて おおきく なりました。
コボルドの サニーと ヘルハウンドの ラブの ふたりは、 なかよしです。
まるで、 ほんとうの しまいのように。
またあるひ、 サニーが ともだちの グリズリーと あったときの ことです。
「サニー、 こんなところで あそんでいたら あぶないよ。」
「どうして?」
「このちかくには ヘルハウンドが すんでいるからさ。」
「ヘルハウンドって だれ?」
サニーが きくと グリズリーは こたえました。
「ヘルハウンドは ずるくて らんぼうで よくばりな きらわれものだ。からだはゴツゴツしていて、 キバはするどくて めはギラリとひかってる。おそろしい まものさ。」
そのことを きいた サニーは こわくなって いえに かえりました。
「おかあさん… グリズリーさんが こわい ヘルハウンドのことを おしえて くれたんだけど… からだはゴツゴツ、 キバはするどくて めはギラリとひかってる。 まるで ラブのことみたい。 だけど わたしは ラブが ヘルハウンドだなんて おもわないな。」
しょんぼりとして サニーが いうと おかあさんは やさしく ふたりを だきしめまして いいました。
「ちがうよ。 ラブは サニーのいもうと。 どっちも わたしの こども。 おかあさんは ふたりとも だいすきだからね。」
ふたりの あたまを なでながら おかあさんは なみだを こらえて わらっています。
「うん! ぼくも、 おかあさんのこと だいすきだよ!」
ラブが、 むじゃきな えがおで いいました。
それから つきひは ながれて ふたりは もっと おおきくなりました。
サニーは おかあさんとおなじくらい、 ラブは おかあさんと サニーより すこし おおきな からだに なっています。
「きょうも ごはんを とってきて おねえちゃんと おかあさんを よろこばせて あげよう!」
いまでは ごはんを とりにいく しごとは ラブに まかされていました。
からだも おおきくて ちからの つよい ラブは おかあさんよりも おおく ごはんを もってかえれる からです
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4]
[7]
TOP[0]
投票 [*]
感想