私は、ルヴィン・カリオステル。ヴァンパイアだ。
強靭な力と、華麗なる技、優れた知恵を持ち合わせているヴァンパイアは、夜の帝王、闇の支配者とも呼ばれている。
特に私は、そのヴァンパイア一族の中でも大物のカリオステル一族出身だ。
だが、家柄を鼻に掛けてふんぞり返る小物じみた行為はしない。
家柄の良さだけが取り柄の無能に貴族など務まらないからである。
幼い頃から毎日鍛錬と教養を積み、とにかく己を強化していった。
その甲斐もあり、全世界からヴァンパイアの令嬢が集い、貴族としての品格、強者としての実力を競うグランプリでは毎年一位を取っている。
その実力を認められ、一族が保有している土地の領主を任された。
だがしかし、私はそんな程度で満足せん。
もっと強大な存在となって、領土を広げ、自分と一族の名を轟かせてやるのだ!
しかし、自己鍛錬や屋敷にある本を読みふけるだけではどうも物足りない。
そこで私は、己を強くする手掛かりを求めるべく、一族一の大魔術師である姉上が建てた大書庫に向かうことにした。
姉上は知識を自分のものにするべく、この大書庫を絶対に見つけられないような深い森の中に建てたのだが、情けないことに、地図を無くしてしまい、場所が分からなくなって放置してしまったのだ。
だが、私は姉上のように愚かではない。
姉上が書庫を建てた際に持っていた見取り図と地図を、こっそりくすねて複製しておいたので、らくらく辿り着けた。
まったく。姉上は魔法に関して私以上に優秀なのだが、ドジ加減さのせいでいつも失敗している。
さて、もう大書庫に着いたようだ。
姉上よ。貴方が取り寄せた優秀な知識を、この私が貴方よりも先に吸収して差し上げましょう…フハハハハハハ!
とりあえず、意気揚々と目ぼしい本を物色しているのだが……
「…地獄のモンスタースプー、バイキンフリーザ様の逆襲、ウホッ♂やらないか♂歪みねぇいい男100選、良いよ!来いよ!野獣先輩名場面集♂1919選、おい!引きこもり!オフ会0人の真実…」
ロクな本が無い…全部姉上の趣味のオタク本だ……
だが、優秀な私はこういう事はもう想定している。
こういったどうでも良い本は、本棚の横にどんどん積んでいく。
「………………ついに、見つけたぞ!」
ロクデナシ本を片付けていると、それらの間に挟まれていた古めかしい魔導書を見つけた。
姉上、まったくこういうセンスに関しては稚拙な物だな!
私は嬉々として、その本の中身を開いた。
「…………ほう。成程……」
どうやらこれは唱えた者に試練を与える術で、その試練に七日間耐え切ることができれば、魔力・肉体強度・精神力が飛躍的に上がるものらしい。
「畜生の試練」という題名が気になるが、そんなことは後で調べれば良い。
強くなるためなら手段は選ばん!
早速唱えるとしよう!
「………………!………………!我に試練を与えよ!」
よし、完璧だ。学生時代は常にテストはオール満点だったこの私にかかればこれくらい容易い。
ピンク色の光が私のからだに吸い込まれていく。
良いぞ!体中に力がみなぎっている感じがする!
だが、特に胸と尻の部分が物凄く熱いが、これは魔法の副作用か?
わずかな間に、私の体の中に光が全て吸収された。あの本にはこれで試練を受けたことになると書いていたが……
「さて、用は済んだし帰るとしよう。」
私は外に出て、翼を広げて飛び立とうとするが、一向に飛ぶ気配がない。
おかしい……翼を羽ばたかせている感覚はあるのだが……
「くっ!うぎぎぎぎぎ!飛べっ!飛ばぬかっ!」
私は必死になって翼を動かすが、体はまったく浮く気配がない。
「はぁ……はぁ……」
無駄にエネルギーを使ってしまった……とにかく体中汗だらけで気持ちが悪い……そういえばあの書庫は、住み込みで研究することを視野に入れているから、浴室が設置されていたな。そこで汗を洗い流すとしよう。
私は書庫に駆け足で戻るが、どうも重々しい感じがする。
まるで、胸と尻に重りが付いているような……………
シャワーを使うべく、浴室に入る。
そこで、たまたま鏡に映った自分の姿を見てしまったのだが、私はそれに衝撃を覚えた。
「………………!!」
なんと、平らだった胸には頭二つ分以上はあろうかという乳が付き、尻の肉もかなり肥大化していた。
腹部には光と同じ色の紋章が浮かんでいる。
「な、なんだ…………!この体は………………!」
これは悪夢であって欲しかった。
しかし、胸の下を腕ですくい上げてみると、ズッシリと重い乳の重圧が腕にのしかかる。
せっかく適度な美容と運動で培った自慢のスレンダーで美しいボディが、駄
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