一つの完璧な物を作り上げようと、人はそれを作ることにただひたすら没頭する。
だがしかし、彼らは「作り上げる」ことしか考えていない。
その為、最初は作り上げた物の極上の出来具合に大いに喜んでいるが、後々になって出てくる致命的な欠陥に大いに嘆くのだ。
〜魔物娘調査機関 副最高責任者 ザグロ・グレンウォル〜
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ある反魔物国で、恐るべき計画が立てられていた。
「司祭様!?それは本気でございますか!?」
「あぁ、本気だ。」
とある教団国ににある教団本部の指令室。驚愕している小太りの部下の態度を、豪華な椅子に座っているスキンヘッドの男、司祭は冷淡にあしらう。
「恐れながら、その研究はとても危険すぎると思います!もう一度、考え直してください!」
「お前の態度はよく分かる。だが、我が国は常に隣にある親魔物国の脅威にさらされている。幾度も撃退してきている奴等だが、回数を追うごとにその勢力の規模は増している。その為には、奴等を上回る戦力を確保しなければならない。」
司祭は本当に申し訳なさそうな態度で机に両肘をつき、手で顎の半分を隠す。
「君を呼ぶ一時間前、電報が入った。魔物軍がここへと進撃を進めていて、移動速度からして一週間でここに到達するという知らせだ。この事態は一刻も争う事態であり、速やかに事を実行する必要がある。」
パチンと指を鳴らし、司祭は映像用の水晶を召喚する。
そこに映し出されていたのは、この国に向けて進軍する魔物軍だ。
オーガやヘルハウンド、デュラハンといった血気盛んな兵士が一心不乱に歩みを進めている。
その後ろでは、黒い毛並みの馬に跨った部隊の大将とおぼしき鎧を着たヴァンパイアが居る。
「心優しい君にはさぞかし辛いだろうが、どうか理解して欲しい。」
「左様でございますか…かしこまりました。その指令、承りましょう。」
司祭の部下は深々と頭を下げ、指令室を後にした。
「すまない…許しておくれ…」
拳を握りしめ、涙を流しながら、司祭の部下、コブットリ助祭は任務を実行するべく、ある場所へと向かう。
「……。」
コブットリ助祭は教団本部から出ると、門を出て左側の道を歩く。
その足取りは重々しく、できるだけ足を進めるのを遅めたいという心境が現れていた。
「すまない…本当にすまない…」
目的地へと近づくにつれ、コブットリ助祭の罪悪感は募っていく。
握る拳も固くなり、目から出る涙の量も多くなる。
「……入るぞ。」
彼が着いたのはこの国で一番大きな農場、ホッカ農場であった。
犬と人が笑顔でトウモロコシを分け合って笑い合っている構図のサビついた看板が悲壮感を漂わせている。
この農場は、国民の食糧を生産するだけではなく、それとは別のもう一つの役割がある。
「……。」
コブットリ助祭は牧場の中心にある館の呼び鈴を鳴らす。
ボロボロになった銀色の鈴が、か細い音色を立てる。
「はい。どちら様でしょうか…助祭様!?」
中から出てきたのは、質素な衣服を着た少年だ。
彼はこの牧場主、ホッカ・ラクノー。
両親は幼い頃に病死してしまい、たった一桁台の年齢でこの牧場を継ぐこととなってしまった。
幸い、国の援助と良心のある農業大臣の助言によって経営は安定している。
しかし、今、度重なる魔物の襲撃により国の予算の大半が軍事費に割かれてしまい、この農場の経営は悪化していた。
「さぁ、上がってください。」
「すまないね。」
コブットリ助祭は一礼した後、ラクノーの屋敷へと上がる。
ラクノーはコブットリ助祭を椅子へと案内する。
「ラクノー君。実は、君に話さなければならないことがある。」
コブットリ助祭は一呼吸して心の準備を整えると、冷静な口調で話す。
「実はキミの…だが、…に利用する計画が立てられているんだ。」
「えぇっ!?」
ラクノーは計画の内容を聞き、愕然とした。
「なんとしてでも…達だけは!…達だけは…にさせたくないんです!お願いします!」
「ああ、…達は君の…だからな…。」
自分の不甲斐なさを詫びるのに、コブットリ助祭は何度も頭を下げる。
「そうなんです!…達は僕の大切な…です!お世話になった司祭様や貴方でも渡したくありません!」
「キミの気持ちは分かる。しかし残念だが、これはもう決まってしまったこと。私も君の為を思い、懸命に反対したのだが、どうしようもなかった。本当にすまない……」
必死に懇願するラクノーだったが、コブットリ助祭の意志の強さに折れ、彼の話に同意した。
「分かりました…」
「本当に…すまないね。せめてもの労いと
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