デキる彼女の秘密

「さぁ〜!オマエら〜!今日は稼ぎ時だ〜!しっかり働けよ〜!」

社内に万太郎部長、通称マンドリル専務のひょうきんでやかましい大声が響き渡った。


「相変わらず万太郎専務って本当にうるさいよね〜。声も大きいし、いちいち余計な小言も言ってくるし・・・」
「ホント、それに加えて身なりもハデだしまるでマンドリルよね。」
「だぁけぇどぉ、みんなが協力して大きな仕事終わらせたときはは自分のお金で打ち上げ開いてくれたり、有給だって普通に取らせてくれるから根はいい人なんだろうね〜」

三人の魔物娘の社員の会話を小耳に挟みながら、僕、「大塚昭夫(おおつかあきお)」は自分の仕事を片付けていた。


「やぁ、大塚君。順調なようだね。」

そういって書類の束を持って声を掛けてきたのは僕の先輩のドラゴンの夕凪纏(ゆうなぎ まとい)さんだ。

「君は本当に仕事の呑み込みが早いね。」
「いえいえ、先輩ほど容量は良くありませんよ。」
「そうかそうか、それじゃがんば・・・・」

ここで、不運にもあと少しで例の資料を完成するという所でエラーが発生してしまった。

「お、大塚君・・・」
「大丈夫ですよ先輩!このエラーの対処法はこの間先輩に教えて頂いたばかりなので・・・」

僕はエラーの原因を先輩から教えて貰った解決方法で解決しようとするが、中々できない。

「あ、あれ・・・おかしいな・・・」
「大塚君、ちょっと貸してみてくれないか?」
「は、はい・・・どうぞ・・・」
「ふむ・・・これは・・・これをこうして・・・こうだな・・・」

先輩は僕が解決できなかったエラーをいとも簡単に解決して見せた。

「あ、ありがとうございます・・・・」
「何、また困ったら何時でも声を掛けても良いんだ。」
「は、はい・・・」

こんな風に先輩は、僕がピンチに陥っていると必ず助けに来てくれるため、僕の中では一種のヒーロー的な存在となっている。
一昨日は床に零してしまった課長用のお茶を拭くのを手伝ってくれたり、昨日は飲み会の帰りに逆ナンしようと絡んできた人たちを追い払ってくれたりした。
そして今日もエラーの解決法が分からずに手間取っている僕を助けてくれた。
彼女には本当に感謝してもしきれない。

「大塚君、仕事が終わった後に君に話したいことがあるのだが、良いかな?」
「はい、もちろんです。愚痴とかなら日頃のお礼も兼ねてお聞きしますよ。」
「いやいや、君に話したいのはそんな暗い話じゃないよ。もっと明るく、情熱的な話さ。というわけで仕事終わりにいつもの居酒屋で落ち合おう。」
「はい!喜んで。」

そして、仕事をこなしていくうちに仕事が終わる時間となった。

「ご苦労様だぜぇ〜!ほんといつもありがとうな〜!」

専務がメガホンを片手に感謝の言葉を周囲に放っている。本当に熱心な人だなぁ。そう思いつつ、先輩と約束したいつもの居酒屋で落ち合う準備をした後、会社を出た。

「随分と遅かったね。」
「すいません。どうも支度に手間がかかってしまいまして・・・」
「気にすることは無いさ。逆に考えればそれだけ時間をかけて丁寧に支度をしてきてくれたということだろう?」

そう言って笑って見せた先輩の顔はたまらなくカッコ良かった。

「お、お心遣いありがとうございます。」
「気にすることは無いさ。ほら、早く行かないと席が埋まってしまうぞ。」

先輩に連れられる形で、いつも行く居酒屋に入った。
何年たっても相変わらず渋いレトロな雰囲気を出しているこの店は、僕たちのようなサラリーマンのオアシスだ。
隣の席では、頼りない感じのアマゾネスの社員が娘に嫌われたことを上司らしいオーガの先輩に肩を叩かれて励まされている。
もう一方では、身なりのいい刑部狸が可愛い顔の男の子の店員をナンパしている。
周りの席で起きている様々なドラマに気を取られていると、先輩にツンツンと指で突かれた。
振り返ると、ドヤ顔でメニューを開いている先輩がいた。

「さぁ今日は私のおごりだ。好きなものを注文していいぞ。」
「僕は別に何も頼まなくても良いですよ。ところで先輩、話とは一体何ですか?」
「あぁ、私には好きな人がいて、その人に告白しようと思うんだ。」

あの先輩を惚れさせるとは一体どのような人物なのだろう。
気になった僕は先輩に問い返した。

「へぇ〜いったい誰なんですか?」
「君さ。大塚君。」
「えっ・・・!?な、何故僕なんかを・・・!?」
「簡単さ。君の仕事に真摯に取り組む真面目さと優しさに惹かれたといった所かな。」

こうして、僕と先輩は先輩後輩の関係から恋人同士の関係へと発展した。
お互いを呼ぶ際にも、「先輩」「君」を付けずにそのまま下の名前へと呼び合う関係となったのだ。
デート中もフォローしてくれるし、夜の相手も中々のもので、僕なんかにはも
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