雪原の暴食竜 〜いっぱい食べる君が好き〜

〜寒冷地帯にある親魔物領のとある家庭の食卓〜

コラッ!ピーマンもちゃんと食べなきゃ駄目だろっ!

やだ〜!ピーマン苦いし嫌い〜!

そんな事言っていたら明日からおやつ抜きだぞ!

やだ!おやつ抜かれてもいいからピーマンだけは食べたくなーいーのー!

やれやれ・・・・。
なら、これからパパがお前に面白いお話をしてやろう。

えっ!?どんなお話!?聞きたい〜!

そうか、そんなに聞きたいか。
聞かせてやってもいいが、その代わりにちゃ〜んとピーマン食べるんだぞ?

うん!わかった!
・・・。ぱくっ。もぐもぐ・・・。
パパ〜、ちゃんとピーマン食べたよ。
だからお話しして〜。

よし!偉いぞ!約束通りお話を聞かせてあげよう。
昔、あるところに一人の魔物学者と言って、魔物についてみんなが今まで気がつかなかったことを発見するお仕事の人がいつものように森に入って、誰も見たことがないような魔物を探していたら、ドドドドドッ!と後ろから大きな音がして、振り替えって見たらワームが木をなぎ倒していたんだ!
しかも、ワームは学者さんの方を向いたもんだから、学者さんは襲われるんじゃないかと驚いて腰を抜かしちゃったんだ。
だけどワームはそんな学者さんのことなんかどうでもよさそうに、なんとなぎ倒した木をムシャムシャ食べ始めたのさ。
ワームはあっという間に倒した木を平らげたかと思ったら、次は地面に生えていたキノコや草まで食べ始めてたんだ!
地面からすっかり何も無くなった所でワームはお腹一杯になったのか満足そうに何処かへ行ってしまったんだ。
学者さんは魔物は何度か見てきたけど、森の一部を丸ごと食べるワームなんて初めて見たわけで、それからというものそのワームが忘れられず、お仕事を放ったらかしてそのワームばっかり見ているようになったんだ。

森を食べちゃうなんてすごい食いしん坊なんだね!それからどうなったの?

まったくそうだよね。
さて、話の続きだけど、学者さんがいつ見てもワームはいつも何かを食べてばかりいたんだ。
木の実、お魚、お肉、ハーブ、ハチミツ、薬草、水草、エビ、さらにはすごく強い毒を持ったキノコや虫、岩、魔界銀までも食べていたんだ!
つまりそのワームは普通の魔物が食べられないようなものまでおいしく食べていたんだ!

すごーい!

それだけじゃないんだぞ!
それから何年か後、学者さんがワームに夢中になっていた間できていなかった他の魔物について調べるお仕事をしに今住んでいる所よりも遠くて寒い国へ行ったんだ。
そしたら、そこにもあのワームがいるのを見たんだ!
ドラゴンの仲間は寒い所が苦手な子が多いんだけど、あのワームは全然平気そうにしていたのさ。
食べた物のおかげなのか前に見たときよりも鱗や甲羅も分厚くなって強そうになっただけではなくて、色も雪のように真っ白で、氷のような美しい艶も出ていたんだ。
さらにおっぱいも大き・・・ゴホンッ。
その時のワームは観光客といって、その場所に遊びに来ている人達に食べ物を貰っていたんだ。
特にパンを美味しそうに食べているところはまるでお前と・・・いや、子供のようですっごく可愛いかったんだぞ!
学者さんが大きくなったワームを感心しながら見つめていると、ワームが学者さんの方に寄ってきて、「ちょーだい、ちょーだい」と、学者さんに食べ物をねだりだしたのさ。
だけど困ったことに学者さんは食べ物を持っていなかったんだ。
持ってきたお弁当も食べちゃったし、おやつに買った果物もみんな食べちゃって無かったんだ。
学者さんは「ごめんね、僕は食べ物持っていないんだ。」と申し訳なさそうに謝って帰ろうとしたら、ワームが

「じゃあ貴方を食べちゃおっと!」

と言って学者さんを脇に抱えてすごい早さで雪を砂煙のように巻き上げながら自分の住処の氷の洞窟へ行ったんだ。この洞窟は不思議なことに冷たい氷でできているのに中は暖炉を炊かれているかのように暖かいんだ。
学者さんは森でワームと会ったときのことを思い出して、今度こそ食べられてしまうと怖くて泣き出しそうになったんだ。
その時、ドドドドッ!と大きな音がして一人は大きな剣を担いだ男の人で、もう一人は派手な色のボウガンを構えた女の人が洞窟に入ってきたんだ。
この二人は密猟者といって珍しい生き物を殺したり捕まえたりしてお金を稼ぐ悪い人達なんだ。
その二人は特に魔物を狩ることを得意にしていて、剣を担いだ男の人が「こんなに珍しいヤツは金になるに違いねぇぜ!」と言うとそのワームに剣を降り下ろそうとしたんだ。
すると、学者さんがなぜか両手を広げてワームの前に立ったんだ。
多分そのワームが悪い人に傷つけられるのが嫌だったんだろう。
さっきまで怖がっていたのに変だよなぁ?
学者さんが今にも真っ二つされそうになったその時、バシィンッ
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